資産運用のプロが教えるお金の話
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格差社会到来 路線価から考える
2007.08(第10回)
8月1日に、国税庁から2007年分の路線価が発表されたことをご存知の方も多いことでしょう。前回、不動産市場が人の流れに影響されるとお話しました。また、この連載のはじめのころに、不動産の2極化の進行についてもお話させていただきました。そして今回は、この8月1日に発表された路線価の数値について、今までお話してきた内容を振り返りながら見ていきたいと思います。
まず不動産にはいくつかの価格があります。これは第2回でお話させていただきました。今回発表された路線価とは、その年の相続税・贈与税の土地の評価の基準になります。2007年中に相続が発生した場合には、2007年の路線価が基準になるため、国税庁から発表されるのです。3月に発表されたのは公示地価であり、これは国土交通省から発表される毎年1月1日現在の土地価格であり、これが一般取引の目安とされる価格です。そして路線価は公示価格の8割ほどといわれています。詳しくは第2回、第3回をご参照ください。
さて話を戻しますと、今年発表された路線価。新聞等の見出しには、【路線価上昇】とか、【平均8.6%上昇】というような見出しが見られました。確かに平均すると路線価は上がっているのです。これは事実です。ただ何度も申し上げるようですが、少しこの細部を見てみると驚くべき事実があるのです。
まず全体平均から見てみましょう。全国約41万地点の標準宅地の平均路線価は、1平方メートル当たり12万6000円(前年比8.6%増)で、2年連続で上昇したとされています。これは3大都市圏で大幅に上昇したことに加え、下落を続けていた地方でも中心部で上昇に転じた地点が増えたことが要因と考えられています。
では次に都道府県別に見てみましょう。すると事実は単純明快。東京、大阪、名古屋等の大都市圏では上昇したものの、全国31県ではなおも価格の下落が続いているという事実があります。まさに2極化です。
さらにもう少し詳しく見てみます。都道府県庁所在地の最高路線価で最も上昇した地区は、大阪市も御堂筋の40.3%、次で、横浜駅西口バスターミナル通りで35.9%の上昇。一方、下落率が最も大きかったのは、鳥取市栄町の若桜街通りで、10.5%の下落でした。つまり、3割以上地価が上昇する地域があれば、1割近く下落する地域があるということです。まさに2極化時代。これから不動産を購入しようとする方は、本当に慎重にならねばならないことがお分かりいただけると思います。
では何故ここまで顕著な格差が生じるのでしょうか? 人の流れだけの影響でしょうか・・・。少し考えてみてください。
1980年代のバブル時代。この時代にはこういった格差がなく、都市部から地方まで全国で一様に地価が高騰しました。しかしここ数年の地価動向は数値からも明らかのように、バブル期とは違い完全に格差をともなっています。この差に原因があるのだと考えます。つまり、この格差は実需と仮需の差と考えられます。現在やここ数年において地価を押し上げている要因となるマネーは、不動産を投資対象としてのみ捉えたマネー、いわゆる不動産投資信託(REIT)やファンドマネーだからです。統計によれば、今年6月までの1年間に不動産投資信託(REIT)が日本各地で約1兆5千億円の物件を購入したそうです。つまりこれらの資金が流れた都心部では地下が高騰し、流れない地域では下落するという構図です。土地の有効利用が期待できる都市部とそうでない地方部で差が開くのは至極当然かもしれません。現在不動産を購入しているのは、バブル期のような一般の人でなく、運用を専門とする投資家が購入しているのです。これが格差の原因と考えております。こういった状況が続けばこの格差はますます深刻なものとなる可能性があります。
皆様きちんと事実を捉え、正しい判断力を保つために外部の様々な情報に耳を傾けましょう。
文責:(株)船井財産コンサルタンツ 久世 晋司
| 第22回 | 『国と個』を考える |
| 第21回 | 『極』を考える |
| 第20回 | 指標から日本株を考える |
| 第19回 | 『運用』を考える |
| 第18回 | 『巨額マネーの流れ』を考える |
| 第17回 | 値段の形成を考える |
| 第16回 | 『国』のお金を考える |
| 第15回 | 『運用』を考える |
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| 第13回 | 『値上がり』を考える |
| 第12回 | 巨額マネーを考える |
| 第11回 | 不動産投資市場を考える |
| 第10回 | 格差社会到来 路線価から考える |
| 第9回 | 『不動産市場』を考える |
| 第8回 | 『投資』を考える (パートII) |
| 第7回 | 『投資』を考える 〜私達の預貯金の行方〜 |
| 第6回 | 投資信託を考える 〜資産残高と国民資産〜 |
| 第5回 | 投資信託を考える |
| 第4回 | 資産承継を考える |
| 第3回 | 不動産市場の実状を考える |
| 第2回 | 『不動産の価格』を考える |
| 第1回 | 人口問題を考える |
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