資産運用のプロが教えるお金の話
このページは、資産運用に関するコンサルティングのプロ会社・(株)船井財産コンサルタンツがお届けする、お金に関するコラムページです。皆さまに役立つ、読んで納得の耳寄り情報をお届けします。
『金融』と『食』を考える
2007.12(第14回)
最近の時事ニュースには、耳を疑うような話題が多いですね。皆様はどのようにお感じでしょうか??
特に連日連呼されるのは『サブプライム』という言葉。最近の各ニュース番組で毎日必ず一度は取り上げられるこの問題、今回は本問題と私達の生活について考えてみたいと思います。
『サブプライム』。この言葉をヤフーで検索すると、「主にアメリカ合衆国において貸し付けられたローンのうち優良顧客(プライム層)向けでないもの」(Wikipedia:サブプライムローン)とされています。狭義の意味で使用される場合の本用語は、米国の低所得者層に向けに貸し出されたローンとなるようです。ではいったいこのローンに何が起きたのか、それは皆様ご承知のとおりでございます。
不動産への過剰融資における金融機関の不良債権問題であれば、日本で実際に起きた「バブル」と同様ですが、今回はここに、今まで本コラムで何度か取り上げてきた「証券化」というシステムが加わり、問題がさらに複雑化しています。日本に起きた「バブル」。これは土地の値上がりを見込み、本来の価値以上に金融機関がその不動産に貸付を行いました。しかし実際不動産が適正な価格に戻ると、値上がりを見込んで融資したお金は、金融機関にとって「回収できないローン」となり、たちまち不良債権化、バブル経済が崩壊しました。
「サブプライム問題」も途中までは一緒です。米国の右肩上がり経済成長を背景に返済能力を超えた貸付を行い、結果として返済が不能となり、ローンは金融機関にとって不良債権化、各金融機関に損失が発生しています。ここまでならば、これは米国の金融機関の問題で終わるのですが・・・、なぜ、米国の金融機関のローンの焦げ付きが私達の生活に直接影響するのか?? ここからが本題です。
以前の本コラム(第11回)でREIT(不動産投資信託)について触れさせていただきました。この仕組みは、法人等が不特定多数の人間からお金を集めて不動産を購入し、管理をし、利益を上げ、出資者に対してその出資金額に応じて利益の分配が行われます。非常に簡潔な言い方ですがこれが不動産投資信託の大まかな仕組みであり、これが不動産の証券化という仕組みです。出資者は不動産を所有するのではなく、その証券を所有する形式だからです。
では「 サブプライム問題」 とは何か、詳細を述べ始めると複雑になってしまいますので、簡潔に申しあげます。まず、米国の金融機関は低所得者に対して行ったローンを証券として不特定多数の投資家に販売します。これがまず一回目の証券化です。ちなみにこの残高は昨年末段階で8,500億ドルといわれています。さらに、このいくつかの住宅ローン債権を組み合わせた債権と他の金融商品を組み合わせて販売します。これが二回目の証券化、つまり証券化された債権がさらに証券化されたということです。そしてこの段階で、この債権は世界各国で投資を募ったのです。当然日本の金融機関もこれに乗じたわけです。
したがって、その根本となる借り手が返済不能になれば、金融機関は投資家に金利が払えず、すべての根幹が狂います。さらに証券化の証券化により、実際の損失金額の実額を把握するのが難しくなり、損失金額が把握できないという信用不安を呼び、さらに追い討ちをかけるように、格付機関がサブプライム以外の証券化商品の格付けを格下げし、これにより証券化商品の価格は更に下落するという事態になるのです。このように負の連鎖を起こしたのが今回の問題の概要です。損失総額は20兆円以上ともいわれています。
ではこの問題がどのように私達の生活に影響するのか考えてみたいと思います。
様々な影響が考えられますが、今一番如実に現れていると私が考えるのは、前回のこの場で申しあげた「物価の上昇」です。金融機関の損失計上と物価の上昇、一見すると無関係に思われるかも知れませんが、そうではないのです。
このサブプライム問題が取りざたされるころから急激に値上がりしているものがあります。そうです「資源」です。なかでも先物相場における小麦の値段の高騰に注目しています。小麦は「食品産業の鉄」とまで言われるほど私達の食生活に密接した食材原料です。しかも日本においては、小麦は自給率2%という状態であり、ほぼすべてを輸入に依存している状況です。この小麦価格が上昇しているのです。なぜか??
私は前述のサブプライムローン問題の影響と考えます。つまり同問題の表面化により、投資家はこの証券化債権を売却し、投資先を失った巨額マネーは小麦等の資源相場に向かったと考えられます。
私達の身近な商品が相次いで値上がりしています。ここに商品名は記載しませんが、誰もが聞いたことのある有名商品です。皆様お気づきですか?? 前回も申しあげましたが、企業努力で解決できる問題ではなく、価格転嫁せざるを得ない値上がりなのです。値上がりと簡単に言っても、企業にとっては深刻な問題です。考えてみてください。
値上がりは消費を抑えるからです。サブプライム問題?? 関係ないと思ってはいませんか?? グローバル世界において、もはや対岸の火事といえる問題ではないのです。
今回の一連の問題はそれだけではありません。世界経済を支えていた米国経済の減退の影響は、今後ますます顕著な形となって現れてくるでしょう。それは資産運用の場面でも同じだと考えます。
次回はその運用についてお話をさせていただければと思っています。
文責:(株)船井財産コンサルタンツ 久世 晋司
| 第22回 | 『国と個』を考える |
| 第21回 | 『極』を考える |
| 第20回 | 指標から日本株を考える |
| 第19回 | 『運用』を考える |
| 第18回 | 『巨額マネーの流れ』を考える |
| 第17回 | 値段の形成を考える |
| 第16回 | 『国』のお金を考える |
| 第15回 | 『運用』を考える |
| 第14回 | 『金融』と『食』を考える |
| 第13回 | 『値上がり』を考える |
| 第12回 | 巨額マネーを考える |
| 第11回 | 不動産投資市場を考える |
| 第10回 | 格差社会到来 路線価から考える |
| 第9回 | 『不動産市場』を考える |
| 第8回 | 『投資』を考える (パートII) |
| 第7回 | 『投資』を考える 〜私達の預貯金の行方〜 |
| 第6回 | 投資信託を考える 〜資産残高と国民資産〜 |
| 第5回 | 投資信託を考える |
| 第4回 | 資産承継を考える |
| 第3回 | 不動産市場の実状を考える |
| 第2回 | 『不動産の価格』を考える |
| 第1回 | 人口問題を考える |
私たちは「相続・継承・不動産」等を業務の主軸とし、個人財産、法人財産、財産運用等の
コンサルティング業務を展開、お客様の観点から「財産相談」すべてをお任せいただける
プロフェッショナル集団です。国内最大のコンサルティング会社として日本版プライベート
バンクを目指しております。
資産運用に関するご相談は
(株)船井本社財産コンサルタンツへ
http://www.funai-zc.co.jp/
TEL:03-5321-7020(代)

















