資産運用のプロが教えるお金の話

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指標から日本株を考える
2008.06(第20回)

 運用の成果はどのようにはかるのでしょうか? 
答えは簡単です。どの程度利益が得られたのか、つまりたとえば10万円投資して、いくら利益を得たのか、はたまた元本をいくら喪失したのか、という至極単純なものです。投資はその投資に至るまでの過程、つまり投資対象の選択、売買のタイミングが難しいのであり、実際に投資をすれば、あとは市場原理に従うことになります。
 もちろん売買のタイミングは自身の能力にもよりますが、売買に関しては、ルールを定め、機械的に行ったほうがよいと考えます。皆さまはおそらく、それぞれの運用方針に基づいて運用をされていると思います。情報社会といわれて久しい今日、私たちの周りにも様々な情報があふれています。投資に関する情報も、ひとたびインターネットの世界に入れば無数にあります。「投資に関する情報」という意味で、投資家の方々が投資の参考にするための指標を「インデックス」と呼んでいます。代表的な指標には、「東証株価指数(TOPIX)」、「日経平均株価」などがあるのはご承知の通りです。ここではそれらの指標の説明は省かせていただきますが、今回は、上場企業における2つの指標を例にあげ、各指標を通して日本株式をみていきたいと思います。

 株価の形成要因はさまざまです。おそらく人によりその見解は異なると思いますが、簡単に言うと、形成要因になっているのは業績でしょう。ただそれ以外にもビジネスモデルの優位性、経営陣、人気、成長性、利回りなど、単なる業績だけでなく、将来においても利益を生み続けられる投資がなされているか、利益を生み出す仕組みが確立されているか、また、投資家から理解を得ているか等、さまざまな要因があります。その中でも「PER」と「PBR」と呼ばれる指標は、株式投資の判断における著名な指標と考えますので、今回はこの指標に触れてみたいと思います。
 「PER」とは、利益を用いた株価のモノサシであり、「Price Earnings Ratio」の略で「株価収益倍率」と呼ばれ、株価をその企業の一株あたりの利益で割り算して算出されます。株は将来の業績に対して投資されるのであり、将来が有望視される企業ほどこの倍率は高くなります。たとえば、一株あたりの利益が同じ100円であっても、株価が500円(PER:5倍)と1,000円(PER:10倍)の企業があれば、それは投資家が後者の企業の将来をより期待しているということです。ただこの数値は倍率であることに変わりなく、基準がありません。
 つまり3倍だから安い、10倍だから高いという共通の基準はありません。上場企業の中にはPER100倍の企業もあれば、1倍の企業も存在するのです。その倍率が高いか低いかの基準はすべて個人に属しているのです。 
 これが投資への過程の難しい所以の1つです。

 一方「PBR」とは、会社の持つ資産を用いたモノサシであり、「Price Book-value Ratio」の略で、株価純資産倍率と呼ばれ、株価を企業の一株あたりの純資産で割り算して算出されます。PBRが1倍という場合を考えてみましょう。PBRが1倍ということは会社の解散価値と時価が同じであるということになります。解散価値とは会社が事業を辞める場合、借金を返済して、なお会社に残った財産に対し、その残余財産を投資家で分けるというのが趣旨です。単純に言うと、PBRの倍率が高い企業は、純資産価格より会社が買われている(人気がある)証でもあります。逆に1倍以下の企業は、本来の価値より時価が低く、場合によって買収される危険性をはらむことになるのです。わかりやすくいえば、PBR1倍以下とは、たとえばキャッシュを100万円もつ会社の株価が80万円であるという状況です。つまり、キャッシュ100万円を有する企業を80万円で購入できるということです。

 では、現在の日本株式はどうなのでしょうか。先に申し上げた基準であるPERを見てみましょう。2006年2月における東証一部上場企業の平均PERは32.3倍、それが2008年2月には17.6倍です。PBRは1.8倍が1.0倍になっていますし、PBR平均値が1.0倍ということは、1倍以下の企業が多数上場している事実を如実に物語っています。この指標だけを見ても、いかに日本株に対する期待が薄れているかわかります。
 ただ見方によっては割安と見ることもできます。これも投資過程が難しいとする所以(ゆえん)の1つです。

 この他にも投資判断における指標はたくさんありますので、ぜひいろいろとお調べください。ご自分に合う投資指標を選択することも、運用の成功への近道と考えます。

文責:(株)船井財産コンサルタンツ 久世 晋司
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