中村陽子の都会にいても自給自足生活
このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。
有機とかオーガニックという言葉には、拒否反応を示す一団が存在します。農薬・化学肥料を使う慣行栽培の農家の方たちや、JAの方たちです。日本の高温多湿の気候では、雑草や菌や虫たちが繁殖するので、農薬を使わないと作れないと思っている農家は多く、実際に、日本で作物を無農薬で作るには、かなりの技術が必要なことも本当です。
しかし、JA常陸の秋山組合長もおっしゃっている通り、この70年間余りの農薬投入の結果、菌や生きものがいなくなった土は育てる力をなくし、限界に達していることも確かです。
「JAもオーガニックでなければ生き残れない」という言葉は秋山組合長から出てきました。
しかし、まだまだ農村地帯では、有機とかオーガニックという言葉は受け入れられず、それならば、言葉にこだわる必要はなく、「名を捨てて実をとる」方がいいと思います。例を挙げると、ある自治体では、「地産地消の愛情給食」という名で進めています。
また、自治体の方にオーガニック給食のご相談をすると、必ずJAS有機の農作物が圧倒的に不足しているので無理だという答えが返ってきます。この問題を解決するために、オーガニック給食の意味を考えてみたいと思います。
子どもたちの給食に有機JASという規格は必要なのか?
文科省は、学校給食の食材の地産地消を推進しています。これは各自治体も意識してがんばっています。地元の農家が地元の子どもたちが食べる給食の米や野菜を育てて、給食室に届けるということは、とても素晴らしいことです。
一つ問題があるとすれば、日本の農薬の残留基準が世界トップクラスで高く、基準を守っていても、それが本当に安全かどうかは分からないということです。そこで、農家や食材を作る方たちに、殺虫剤ネオニコチノイド系農薬や、除草剤グリホサートや、その他の添加物など、子どもにとって少量でも危険な症状が出るという研究などの勉強をしていただき、その上で、自分の子供や孫に食べさせたいものを作って納品していただけばよいのではないでしょうか?
有機JASという規格は、広い市場に出して顔の見えない消費者の信頼を得るための制度であり、地産地消の地元愛と親の愛で作られ届けられる農作物や食品には必要ないのではないでしょうか? そして、子どもたちに田んぼや畑に行って育っているところを見てほしいし、農家の方のお話を聞いてほしいと思います。
有機JASという規格や基準の世界は、へたをすると、土を使わない野菜工場の中で無農薬で有機液肥で作られた工業製品のような有機野菜が、全国のオーガニック給食の巨大な給食センターに届けられるということもあり得ますし、これは違うと思うので。
オーガニック給食の言葉のもつ意味とは
オーガニック給食には、もっと温かい人間の信頼関係によってつくられた広い定義が必要だと思います。必要な要素を4つ考えてみました。
1.子どもに最高に良いものを食べさせようという親の愛と地元愛
2.危険があるかも知れないものは回避するという 子どもを守る予防原則の方針
3.地球の自然環境と生物多様性を守っていく循環型の生き方、自然と共生する姿勢
4.次世代に持続可能な農業と安全な食糧に困らない日本を残す決意
ということで、オーガニック給食は、規格や基準よりも、お互いの幸せを考える有機的な人のつながり、未来を考えるオーガニックな心で作るものと定義したいです。
素晴しい学校給食法第9条第1項
ここで、文科省の素晴らしい法律をご紹介します。学校給食法第9条第1項です。(一部抜粋)
・学校給食は、全ての児童生徒に対して実施するものであり、その食材には安全性が厳しく求められている。
・学校給食衛生管理基準の食品の選定において、「有害なもの又はその疑いのあるものは避けること」と定められている。
・また同基準に置いて、「有害もしくは不必要な着色料、保存料、漂白剤、発色剤その他の食品添加物が添加された食品(中略)については使用しないこと」と定められており、食品添加物の摂り過ぎによる味覚、肝臓、自律神経、免疫力、ホルモンバランスへの影響や、農薬の不適切な使用による食材への影響については課題も指摘されている。
・さらに食物アレルギー対応において、加工食品はアレルゲンの特定が困難になる場合があることから以下の点に留意する。→ということで武蔵野市は加工品は使わず、すべて手作りすることに決めています。
現在、武蔵野市の食材選定基準は、家庭でもなかなか徹底できない程の高レベルですが、これは学校給食法に基づいて作られているのだと言えるのです。
問題なのは国の農業政策と農薬の残留基準
日本の給食は世界最高水準です。毎日一から美味しく調理して出してくれます。栄養所要量も計算されています。農家は農薬の使用基準を守って、気候変動の中、過不足なく生産し提供してくれています。文科省の学校給食法も素晴らしいものです。
問題なのは、小規模農家がほとんどの日本で、農家が低収入で廃業に追い込まれているのを放置している農業政策と、外国から要求されるままに農薬の残留基準を上げる国の政策です。
発達障害児が26年間で68倍になっている文科省のデータや、食物アレルギーで食べて60分以内にアレルギー反応が出て医者が認定した子どもの数が18年前から22万人増えて52万人になったというデータも、科学的に因果関係が証明されていないことを理由に、農薬や食の安全基準を見直すことをしません。危ないかも知れないものを子どものために回避するという予防原則を採用せず、どこまでも科学主義を貫いてきます。アメリカに追随しているのです。このように子どもたちや国民のことを考えてくれないのが、今の政府の実態です。
しかし、大丈夫です。給食は自治体の裁量なのです。ですから、自治体が日本の子どもと農業を守れるのです。国からの政策の下請けにならず、自治体の住民のことを考えて政治をしてくれる地方自治体を作り上げましょう!
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首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。
1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。
長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/