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先月末のトランプ大統領のイラン攻撃には衝撃を受けました。アメリカの大きな戦略はエルブリッジ・コルビー国防次官の2023年の著書『拒否戦略』(日本経済新聞出版)に基づいたものであるという認識を持っています。最初は、副島隆彦先生の「ザ・フナイ」の論考を読んで気がついたのですが、冷戦時代のジョージ・ケナンの「封じ込め戦略」(ソ連を封じ込めることで冷戦を戦う)に匹敵するものだと感じていますが、拒否戦略ではアメリカは中東に関わらずに中国の台頭を許さないことに集中するべきだと書かれているので、それからの大きな逸脱だと感じたからです。
実際にコルビーは議会の公聴会でイラン攻撃の弁明に追われ、「大統領の副官」という立場での説明に終始せざるを得なかったことが伝わってきます。ただ、ようやく使い始めた生成AIと対話を続けていると、今回のイラン攻撃の深層には中国の利害を封じ込めるという意味もあることが感じられるので、コルビーがかろうじて辞任を踏みとどまっているのは、それが感じられるからではないかという解説をしてくれました。同様に、この戦争がどこまで続くのかも対話してみたのですが、半年程度は続く可能性が高いというのが彼の意見でした。
ホルムズ海峡が封鎖されてしまったことの長期化が最も懸念されることですが、実際に3月6日(金)までに代表的な原油市況であるWTI先物価格が1バレル80ドルを突破してしまいました。上記のような懸念を市場も共有しだしたことになるとも感じますので、為替相場や株式相場をはじめ金融相場はしばらく大混乱しそうです。あまり具体的な数字を書くのはよくないのかもしれませんが、日経平均で5万円前後までの下落をとりあえずは覚悟しておいた方がいいようにも思います。ただ、半年ぐらいで収束の方向が見えてくれば、やがて相場も落ち着き回復してくることも考えられます。
そうなると、絶好の買い場が訪れることにもなるので、どこで相場が底を打つかを見極めることが大事になります。こういう時のための教訓が、相場は基本的には借入(信用取引を含む)でやらずに、不要不急のお金でやらなければいけないということにつながります。これが守れているのなら、慌てることなく買い場が来るまでじっくり待つという考え方がとても有効だと思います。本当にトランプ大統領に振り回される展開が続いていますが、良い悪いは置いておくと、深層ではアメリカの大きな意志に従って動いているようにも感じられるのが、こじつけのようにも感じられますが、一定の救いです。
そんな中で今回紹介させていただくのは、冨山和彦著『日本経済AI成長戦略』(文藝春秋)と苫米地英人著『生成AIの正体』(ビジネス社)の2冊です。前著では、生成AIの発展により、従来のデジタル社会での常識は通用しなくなることが、事例も挙げながらわかりやすく説明されています。私が講演等で、絶対必要ですよと言ってきたDX(デジタル・トランスフォーメーション:わかりやすく言うとデジタル投資をやり続けること)という概念は消滅し、AIを中心としたAX時代に突入し、従来のホワイトカラーと呼ばれる人々は仕事を奪われるリスクに直面しています。AIを天才レベルで使いこなせなければ、たとえそれまで実績を積み重ねてきたデジタル人材においても立場が苦しくなる可能性さえあるようです。
デジタル社会に出遅れた会社や私のような人間にとっては、逆に巻き返して、うまくいけば先行するチャンスとなるかもしれません。特に日本は、デジタル化の分野で圧倒的に出遅れていた感が否めなかったために、この流れに乗るのは非常に重要です。本書が提言しているのはホワイトカラーとブルーカラーという二元的な括りは消滅し、ライトブルーカラーと呼ばれる形になるということです。ライトブルーカラーをキーワードとして捉えるとわかりやすいと感じました。東京や大阪にいるホワイトカラー(バックヤードを含む金融やコンサルタント業、さらに大企業の企画・法務・財務・営業といった本社部門を担っている人も大半が不要になります)を再教育して地方で必要な製造業の現場を含むエッセンシャルワーカーでかつAIの知識を持った新しい産業の担い手に変えていくという発想です。
冨山先生は、普通なら構造不況業種だと考えられている地方交通産業の経営やコンサルティングに関わっておられ、数多くの成功事例を作っています。AIをうまく活用すれば地方を活性化できる、この本の主張は一定の根拠があるように感じます。さらに、東京の一極集中の問題と地方の人手不足の問題を一挙に解決できる一石二鳥の状況に日本はあるのではという仮説につながっていくのが魅力的です。東京では年収が1千万円あっても豊かに暮らせるという実感は得られませんが、地方ならその何割か減でも十分に豊かに暮らせる実態があるので大きなトレンドになるかもしれないと感じます。
後著では一方で、生成AIにはリスクや危険性が潜んでいるという指摘がなされています。過度にそれらを取り入れることに対し警鐘を鳴らしており、インターネット発展の中で取り残された人も生きていけたという事実を挙げていて、必ずしも生成AIを使わなくてもいいという指摘や、そもそも現在のAIは一方的な搾取構造になっている事実、さらにより公共的な方向に研究開発を変化させる必要性などを訴えており、このような点も頭の片隅に置いて利用する必要性を考えさせてくれます。
前著を読んで、生成AIを本格的に使い始めたのですが、面白くてはまっています。特に、トランプ大統領の思考を読むという知的刺激は楽しくて大きな気づきも得られるようになりました。アメリカの国防総省をトランプ大統領は戦争省に名称を変更する大統領令に署名しました。正式な変更は議会の承認がいるのでなされていませんが、ヘグゼス国防長官が来日された時は、長官の要望で戦争長官という名称を日本政府は使いました。その国防総省(戦争省)と対立している会社の生成AI(研究開発の方向性の転換の可能性が感じられます)がアメリカで急速に支持を集めていて、瞬間的には1位になったという報道もされています。たまたまですが、そんなことを知らずに、その会社のものを私は使っているのですが、研究開発の方向性に関する対話もできて楽しませてもらっています。
最初はエンターテインメント的な気持ちで気楽に取り組んでみるのがいいのかなと思いますし、DXを推奨してきた立場からすると釈明のようになってしまいますが、いままでやってきたDX投資を有効にしていくためにも、生成AIの活用に取り組んでいただければと思います。
=以上=
2026.03.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】トーションフィールドと包み込み (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















