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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2008年7月25日
これが事実なら?

 先週より、経済に関心のある人は、フレディマックとファニーメイのニュースに釘づけになっています。この処理をまちがえば、すぐに世界経済恐慌に入ってしまうからです。
 経済問題の「超プロ」で、このページのおなじみのKさんは、すでに、今月はじめからこの問題についてレポートを私に送ってきてくれていましたが、7月16日には、つぎのようなレポートを送って来ました。
 それを読むと、だれもがびっくりすると思います。私の一存で一部カットしましたが、その大部分をここに紹介します。

船井さんへ
                                  08.7.16 Kより

 Too big to fail (大きすぎてつぶせない)が、ついに Too big to bail (大きすぎて救えない)になってきました。FRBと米財務省は、7月13日にアジアの市場が開く前に、異例の声明を出し、<必要に応じてフレディマックとファニーメイに融資するし、株式の取得もする>と発表しました。これを受け、東京市場は一端上昇したものの、続かず、この問題の抜本的な解決に懸念が広がっています。何と言っても、問題が大きすぎるのです。すでに破綻状態といわれる2社ですが、保有、保障している住宅ローン関係の債券は5兆ドル(530兆円)に上り、トリプルAの格付け(日本国債よりも上)のもとで、全世界にばら撒かれています。世界66ヵ国の中央銀行をはじめとして、一番保有額が大きいのは中国、ついで日本となっています。なかでも日本のある大銀行は、何と3兆3000億円保有しており、その額は自己資本の4割というから、驚きを隠せません。日本の大銀行が、その大半の資本が実質倒産会社の債権だというのですから、開いた口がふさがりません。前回のレポートで指摘したように、アメリカ政府はフレディマックとファニーメイの債務を保証している、などとは発言していません。それどころか2004年当時のスノー財務長官は<我々は大きすぎてつぶせない、という議論を信じない。現在、市場は両社(フレディマック、ファニーメイ)の債券に政府保証がついているとのごとく扱っているが、その考えには強く反対する。そのような認識は健全なものではなく、誤解を解かなければならない>と述べているのです。
 ここでこの2社の歴史を遡ってみますと、1938年、大恐慌後の住宅促進政策のため、特に退職軍人の住宅ローン買い上げ機関としてファニーメイが創立されました。その後、1954年、一部が民営化され、そのあと、1968年完全に民営化されたのです。そのときに政府保証の部分を切り離してジミーメイが創立されました。いわば、そのときに政府保証される部分と民間部分に分割されたと言っていいでしょう。その後、オイルショックを経てフレディマックも創立され、1980年ごろから両社は住宅ローン証券を発行するようになったのです。もちろんこの両社はアメリカの住宅政策の中核をなす企業でしたから、政策的な関与も強かったでしょう。それゆえ半官半民のように考えられ、<暗黙の米政府の保障>があると考えられてきました。また住宅価格も1933年から下がることなく、上がり続けてきたので、深刻な問題は発生してこなかったものと思われます。
 ただ、現在の両社の業務をみてみますと、住宅ローンの組成、発行、そして保障、この保障時にはデリバティブ取引を使います。また売り切れないローンに関しては、自己保有をしています。そのための資金調達は社債発行しているわけです。これら一連の業務は、まさに今アメリカの金融界で起こっている縮図といえるものです。
 問題は、この莫大な額です。約5兆ドル(530兆円)といわれる住宅ローンの保有、保障のうち、およそ1兆6000億ドル(168兆円)の自己保有の債券(この買取資金として1兆6000億ドルの社債が発行された)の中には、かなりのサブプライムローンが含まれているといわれています。売れないローンだから自己保有になっているわけで、この辺の構図はシティやメリルなどのSIV(特定目的会社)を使った形と同じです。現在住宅価格の下落が止まりませんから、損失は拡大しているはずです。プライムローンといわれる優良ローンも4%近くに延滞率が上昇してきています。プライムローンの場合、サブプライムに比べて、額が張るので、その影響は延滞率をベースに金額でみればサブプライムの数倍になります。この自己保有の1兆6000億ドルと、出てくるのであろうプライムローンの不良化を考えると2兆ドル(210兆円)くらいの問題は、すでに起こっているかもしれません。仮にこのようになった場合、アメリカ政府は、いくら保証できるでしょうか? アメリカ国債の発行額の4割もの額を公的資金で出すのでしょうか? 保障しなければ、金融危機は世界中に伝播します。日本の金融システムにも重大な危機が発生します。しかし、もしこのような多額の保障をすれば、ドルの地位は地に落ち、米国債の暴落とドルの暴落は避けられません。
 方法がないのです。とりあえず、米政府とFRBは目先の資金繰りをやっただけです。今後の問題が起きれば、そのたびごとに資金を融通するでしょう。逐次投入ということです。そうこうしているうちにも景気悪化は進んでいきます。デリバティブ市場を知り尽くしている金融工学のノーベル賞学者マイロン・ショールズは<大変なことが起きる>と言っています。ジョージ・ソロスは今回の米政府の措置をみてインタビューに答え<これで終わりではない>と即座に答えました(転載ここまで)。
         

 これらは多分、事実でしょう。が、これらが事実なら、これからの世界経済はどうなるのか? 
 皆さんが各自で考え、もう少し調べ、やはり各自で対応してください。 
 ともかくびっくりさせられることが、いまおこっています。
                                            =以上=

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