トップが語る、「いま、伝えたいこと」
7月のFOMC(連邦公開市場委員会)は市場の予想通り2カ月連続で0.75%の利上げを決めました。これで、2カ月で1.5%もの急激な利上げを実施したことになります。これは、レーガン政権下で10%超のインフレ退治に臨んだ伝説のポール・ボルカーFRB議長の時以来の出来事ですが、一部そのようなセンセーショナルな報道がなされますが、金融市場はかなり成熟されてきているのか、それほどの高揚感はありません。逆に、アメリカの景気後退が感じられる中で、利上げがいつストップされて、逆にいつ利下げが始まるのかがささやかれるようになり、そんな動きを先取りする形で株高円安の流れが一瞬出現しています。
2週間前に心配していた140円台の円安は、いったんは回避されたように思います。原油価格もピークを過ぎた感があり、特に日本の悪いコストプッシュ型のインフレは少し収まる方向に動いていくような気がします。できれば、この悪いインフレがきっかけでもいいので賃金が上がっていくことで景気回復につながっていくいいインフレがやってきたら日銀の黒田総裁の就任以来の念願がようやく叶っていく方向性が見えてくるのかもしれません。今回も、金融政策の転換をするべきだという市場の要求を拒否し続けた黒田総裁の勝ちのような気がします。
一部のヘッジファンドの中には、日本の長期金利はもっと上がっていくはずだ、さらにこれだけの財政悪化の状況を考えれば暴落してもおかしくないという見方から日本国債に対して空売りを仕掛けた勢力がいました。しかし、長期金利が落ち着いてきていることや円高傾向が強まっていることの背景に、彼らが手仕舞っていることによる買戻しの動きも影響しているのかなという気がします。1992年にジョージ・ソロス氏がイギリスの中央銀行であるイングランド銀行に仕掛けて勝利したポンド危機という事件がありました。当時と違い、いまは日米英という金融が完全に自由化したソブリン(国家)にヘッジファンドが戦いを望んでも容易に勝てない状況になっているのではないかと思います。
これで長続きするかどうかはわかりませんが、株価も一時的には落ち着くのではないかと思います。基本的には金余りの状況は続いているので、市場は来年以降の利上げストップや利下げを織り込み始めたと考えてもいいと思います。ただ、多分行き過ぎたらそれを修正する強烈な下げ局面もあると思うので、流れを注視しておいた方がいいとも思います。
コロナ発生以降、出前を活用することが増えた方も多いのではないでしょうか。様々な業者がありますが、非常に便利なシステムです。私も、特に先行していたUberイーツについては定期的に活用したものです。今回はそのUberについての本を紹介していこうと思います。
『ウーバー戦記』(草思社)は、アメリカのジャーナリストであるマイク・アイザック氏によって書かれた本で、創業にかかわったトラビス・カラニック氏を中心に、Uberの歴史を紐解いていく内容です。Uberは数年前、アメリカを席巻したベンチャー企業でした。本業である配車サービスで全米、さらには世界中の移動の仕組みを変えた、と言っても過言ではない変革をもたらしました。物語の中心人物であるカラニック氏は、過激な言動で知られ、非常に奔放的だったようです。非常にオタク気質の強い人物と書かれているように、幼い頃から科学にのめり込み、社会に出てからも親友も恋人も作らずに新たな企業を創ることに熱中していました。
最初のファイル共有サービスを生業とする会社での失敗。その後の二つ目の事業での成功。二つの経験を経た上で始まった配車サービスを生業とするUberは、非常に大きな組織となりました。あけすけに過激な内容が書かれており、非常に強引な、非合法、もしくは倫理的に問題のある手段を用いながら会社を拡大させていった様子が見てとれ、アメリカで大きな成果を上げる為にはここまでする必要があるのかという現実を知ることができます。
大きく成長し、アメリカンドリームを掴んだカラニック氏や関係者ですが、物語としてはハッピーエンドとは言えない終わりを迎えます。爆発的に成長したUberですが、その分沈んでしまうのもあっという間でした。前述のとおり、創業者の気質、強引な手段を利用した代償というべきか、創業者であるカラニック氏は大きな資産を手にはしましたが会社を追われ、Uber自体も創業当初の勢いは見る影もない状況です。
本書を読んでいると、日本では本業である配車サービスが上手くいかなかった理由についてもある程度理解できました。それは、海外の粗悪なタクシー事情を利用し、ユーザーを獲得して市民権を得ることで会社を拡大させていった彼らが、一定以上の水準でタクシーが整備されている日本でそれをすることは難しかったからだと推察できます。しかし違う分野、多くの人間が不満を持っている利権、ここを上手く切り崩せば多大な利益をあげることができる。そのようなヒントをもたらしてくれたのも確かでしょう。
本書を読み、一つの成功をおさめた企業の栄枯盛衰の過程を知る。それは投資やビジネスの際に参考になるのではないでしょうか。蛇足ですが、日本でもタクシーをアプリで呼ぶのが当たり前になりました。私はまだ利用していませんが、都心で夕方の繁忙時には流しで空車のタクシーを探すのに苦労するほどになりました。カラニック氏のもたらしたインパクトはこんな形で我々の生活にも確実に影響しているようです。
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2022.08.22:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】“時”とは何者か? (※佐野浩一執筆)
2022.08.15:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】新しいわたし (※舩井勝仁執筆)
2022.08.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】人格を磨く (※佐野浩一執筆)
2022.08.01:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】Uber戦記 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長 株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他 1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。 大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。 2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。 講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















