トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2024年7月1日
恩送り (※舩井勝仁執筆)

 円安が止まりません。再び160円台に突入して一部専門筋の間では170円台になる可能性も言われ始めています。相場とは面白いもので、この観測筋という人がこれぐらいはあるかもというアドバルーンを上げて、これを目標に相場が動いていく傾向があります。最近までは168円もと言われていたのが、少し切りあがってきたようで政府日銀の為替介入次第ですが、まだ円安が続くのかもしれません。160円台が定着してくると金利が上がってくるという懸念が強まってきます。実際にauじぶん銀行が新規の住宅ローンの優遇レートを、同行が2015年に住宅ローンに参入して以来はじめて上げるというニュースが大きく流れています。
 ある意味、企業に対する貸し出しレートなども上がってくることが予想され、いままでの経営者によっては最適なインフレは進むが金利は上がらない状態から、調達金利も変動するという当たり前の状態が復活していくことになります。問題は、金利がある世界をいまの大企業や中堅企業の経営者が経験したことがないということです。大きく見れば、インフレで実質的な返済金額は下がっていくのですが、借入を計画するときの返済コストは確実に上がり、大きな決断をしなければ借入れをして新規事業はできないことになります。デフレの時代はそれが幸いしたのですが、インフレの時代は給料を上げていかなければ生き残れなくなるので、新規事業参入の決断ができなければ中期的に見れば負けていくことになります。
 経営者に限らず、私たちは新しい時代に適合するための頭の切り替えが必要になります。例えば、高齢者で貯めた預貯金という金融資産で余生を過ごしていこうという計画を立てていた人は、インフレの定着によって資産の目減りに対応しなければならないということになります。そうすると、預貯金ではなく株式や投資信託などの資産運用を考えなければいけないことになりますし、デフレの時代のようにいつまでも節約で乗り切るという発想では上手く生きていけなくなります。相場の世界は甘い世界ではありませんが、それなりの勉強をしていただいて生活防衛に頭を切り替えていかなければいけないのかもしれません。

 ただ、あまり悲観的になり過ぎるのもどうかなとも感じます。100円を切るような円高時よりも日本国として大きく考えれば対処の方法はいくらでもあると思います。まず、輸出がしやすくなるのですが、ご自分の分野で何が海外に売れるかを考えてみるのはいかがでしょうか。海外に売り込まなくても多くのインバウンドの観光客が来てくれるようになり、その消費は7兆円になり、輸出産業として考えると半導体を超えて自動車産業に次ぐ2番目に大きな産業になりました。これは、実はイタリアやフランスなどのヨーロッパの大国が経てきた道であり、先人の遺産を使って稼がせてもらうステージに国が成熟してきたということだと捉えて、ここで自分ができることを考えてみるのはいかがでしょうか。
 第2次安倍政権が始まってまだインバウンドが始まりだした頃のことですが、大阪の寿司屋に入ってびっくりしたことがあります。
 小さなカウンターには中国人の家族連れが座っていたのですが、大将が下手な(失礼しました)英語で家族連れを大笑いさせていました。大笑いする度に高級なネタを注文していたのが面白くてしばらく観察させていただいていたのですが、大阪商人のたくましさを垣間見た思いです。舩井流ではいいところを見つけ出してそれを活かすのが基本ですので、この大将に見習って遠慮なく儲ける道を考えていただければと思います。

 今週は佐藤芳直著『恩送り』(径書房)を紹介させていただきます。現在の日本は、社会や経済面では斜陽傾向にあります。以前のような経済的な強みは失われ、少子高齢化は年々加速し、未来に希望を見出すのが難しい状況は日々悪化しています。そんな中で、船井総研時代の大先輩で当時は上場会社としては最年少の取締役になられた佐藤先生は、日本が持つ独自の文化や礼儀正しさ、長い時間をかけて築き上げてきた信用、世界中から尊敬と関心を集めるそれらを大きな強みとして見出し、それは『恩送り』によって作られたものである事を説いています。
 日本に多くの観光客が訪れる理由、他人を思いやれる行動が賞賛される理由、それらは全て、その素晴らしい文化がもたらしているものです。『情の世界』という言葉が本文中に出てきますが、いまでもそれは色濃く残っており、それによって一見非合理のようで、実は合理的である社会が生み出されているのは、この国で過ごしていれば誰もが実感する事はあるでしょう。優れた道徳観や知性を多くの人が共有し、個人ではなく集団で生きる事ができる、これを広い範囲で実行できるのは、日本の特異性であり強みとなると考え、恩送りによって未来へと繋いでいく事ができれば、まさに理想的な循環です。
 しかしいまの時代、それらは少しずつ失われつつあるモノでもあります。どうやって継承していくのか、恩送りを続けられるのか。相応しい形を模索するという方法も考えられますが、最も効果的なのは、自分が恩送りの意識を忘れずに、佐藤先生のように発信し続ける事で広めていく事でしょう。後に続く人の事を考えて善く生きる、祖先からの積み重ねの上に今の自分がある。祖先から頂いたものを未来へと受け渡していく事は大切な使命である、それを肝に銘じて生きていく、そんな意識を持っていきたいと改めて思わせてくれる一冊でした。
 佐藤先生には「ザ・フナイ」の200号に登場していただいて、舩井幸雄のことを存分に語っていただきました。父が一番愛した愛弟子だったことは自他ともに認める大きな存在ですが、舩井幸雄ならいまの時代言うであろうことを、ある意味格調高く代弁していただいている本だとも言えるので、ぜひお読みいただければと存じます。
                           =以上=

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2024.07.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】老荘思想と舩井幸雄 (※佐野浩一執筆)
2024.07.01:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】恩送り (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役会長
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長
株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他
1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。
大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。
2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。
講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。
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