トップが語る、「いま、伝えたいこと」
情報源はマスメディア中心で、スマホは連絡を取るためのツール。大雑把に言えば、これがこれまでの一つの世界観でした。中高年の世界観と言ってもよいかもしれません。
子どもたちをはじめ若者世代は、起きている時間の多くはスマホに触れ、友達と話しながらも動画を観たり、ゲームをしている……。
両者は物理的に同じ空間に生きていながら、見えているもの、感じていることが全く異なるように感じます。まさに、「分断」です。
インターネットの登場とデジタル技術の発達により、人間が活動している実存する世界よりも、デジタルでつながっている世界のほうが、これから大きくなっていくことが予想されています。
しかもそこにAIが登場したわけで、AIが人間の知能を超える転換点、いわゆるシンギュラリティが近い将来起きるとされています。一説によると、それは2045年とされていましたが、もはやもっと速まって、2027年にもう起こってしまうのではないかという説も浮上しています。
そんななか、その過渡期であり、まさに先ほど述べた、2つの世界が互いに見えないまま共存しているパラレルワールドに、ぼくたちは存在しているのです。
ぼく自身は、“ほんもの”という領域をお伝えしたいテーマとして定め、株式会社本物研究所という会社をもうかれこれ23年ほどやっています。どちらかというと、テーマはアナログです。つまり、人の癒し、健康、食、水、暮らしということになりますので、デジタルという領域とは一線を画するところにあるとお考えかもしれません。
しかしながら、この“ほんもの”という領域にも、デジタルの波が押し寄せています。そして、近い将来、これらがAIと融合すれば、いったいどんな未来が待ち受けているのだろうと思うと、とてもワクワクするのです。
たとえば、『数霊REIWA』『数霊ZENWA』シリーズなども、その一例となります。
『数霊REIWA』は、その人が抱えている問題に必要な情報(波動コード)を拾い出し、水に転写できる装置です。出来上がった水は自分専用の数霊セラピーウォーターになり、飲むことで潜在意識に記憶されたネガティブな情報(マイナスカルマ)のクリーニングをサポートします。自分では認識しづらい潜在意識を整えて、願いや希望の成就をスムーズに導きます。
『数霊ZENWA』は、潜在意識の深い領域に働きかけ、ぼくたちの意識を「悟り」の領域に近づけてくれる波動機器です。『数霊REIWA』では、心の深層部にある「個人的無意識」をクリアにすることで、仕事や健康など具体的なお悩みを解消へと導いてくれましたが、『数霊ZENWA』では、さらに下階層の「普遍的無意識」にアプローチするとされています。自分ではなかなか気づけないマイナス感情を拾い出し、感情の乱れやカルマを解消する波動コードを転写してお水を作ります。それを飲むことによって、メンタルを整え、ひいては「悟り」に導こうというコンセプトです。
前者は「思いの実現」を、後者は「悟りの実現」を、「人」の領域から「デジタル」の領域へとシフトチェンジしたツールと言えます。
もう一つご紹介したいのが、『ソマヴェディック』シリーズです。シリーズと書いたのは、いくつものバリエーションがあって、目的によって使い分けることができるからです。『ソマヴェディック』は、電磁波とジオパシックストレスゾーンが身体に与える悪影響を中和します。パワーストーンからヒントを得て、肉体や精神に影響を与えるネガティブなエネルギーを浄化する空間ヒーリング装置です。ソマヴェディックは数年の研究とテストを経た後に設計され、自然科学者だけでなく、様々な生体医療機器を使用して治療を行っている施設の技師、セラピストによってもテストされ、実証されています。これもまた、ヒーリングという「人」の領域にパワーストーン、それに電気エネルギーを関与させた機器となっております。
いずれにせよ、これらに、近い将来AIがデータ化できるものをすべて取り込み、そこから新しい価値を自分で作れるようになるとすれば、とんでもないツールが生まれることになるだろうと、容易に想像できるわけです。もちろん、“そのとき”には、まったく形や方法論の異なるものになっている可能性もあります。
ですから、“ほんもの”商品の未来も、AIと切っても切り離せないところにまできていると考えられそうです。
ただ、一般的には、AIの導入が進むことによって、当然ながら自動化・省人化が進みます。一時的には、人間の仕事はどんどん少なくなっていくことも充分考えられます。自動化・省人化とは、時間、お金、肉体労働など、あらゆるものの物理的な要素を限りなくゼロにすることです。ということは、ある意味ルール化できるものは全てAIでやれるようになり、人間には暗黙知でやる仕事しか残されないことになるかもしれません。
実際に、当社でも、メルマガを書いたり、チラシをつくったり、動画をつくったりするのは、かなりの部分、AIの仕事となっています。もちろん、AIは情報がないと仕事はしないので、指示が不足している部分、イメージや感性の部分は、弊社のキャストの仕事となり、まさに力の見せ所となります。
実際のところ、人が機械に仕事を奪われる……という不安は、これまでも体験済です。たとえば、1990年代にコンピュータがオフィスに普及し、データ分析をソフトウェアでできるようになったとき、「自分の仕事をとられてしまうのではないか」という不安は広がりました。しかし一方で、技術革新が起きると新しい仕事も増えていくものです。スマートフォンが出てきたときも、メディアの人々は「仕事がなくなるのでは」と危機感を抱きましたが、逆にスマホ関連の新しいビジネスが多く出現してきました。テレビ、ラジオ等のオールドメディアと呼ばれる領域も、今でもどっしりと存在しています。
世の中の新しいニーズが生まれては、古いものと重なり合いながら、それを満たす新しい商品やサービスが生まれてきたということになります。だから、一概にAIによって仕事がなくなるわけではなかったし、将来もきっと同様だと思います。
ただ、一つ、安心できないと感じることもあります。
そもそも商品やサービスは、いわゆる課題解決のために生まれてきました。
「もっと速く」とか「もっと効率的に」とか、「もっと美味しく」とか「もっと便利に」……というように……。つまり、過去の延長線上に、商品やサービスは存在したのです。でも、AIのもっとも際立った特性は、過去から積み上げたものを、突如として断ち切ってしまうところにあります。だから、未来を見据えて、未来発想で考える力を身につけたいと思うんです。人の生活がどんな風に変わっていき、それに伴って生まれる商品やサービスはどのようなものなのか……という視点です。
かつてソニーは、井深大氏が「持ち運びできるカセットプレーヤーが欲しい」と思ったことをきっかけに「ウォークマン」を発案しました。もちろん、大ブレイクしたことは記憶に新しいと思います。しかし、記録メディアが、カセットテープからどんどん移り変わっていった結果、そのあとどうなっていったかは、おわかりでしょう……。
一方、アップルは、「iPod」に続いて、「iPhone」を世に出しました。スティーブ・ジョブズ氏は「こんな製品があったらいいな」と自分目線で新製品を考案しました。それらは過去の延長線上ではなく、そして現在起点でもなく、まさに未来起点の発想でした。そこに彼の美学や美意識を付け加えた、これまでにないものを開発したのです。
生み出されたときは、違和感の山……。でも、結果はどうでしょう! 未来起点で考えられたものは、「売れた」のです。
弊社のクレドにもこうあります。
「『あったらいい』と感じるモノやサービスを、「プラス発想」「勉強好き」「素直」の精神で提案、実践し、創り出します」と。
それを未来起点で考える……。これが一つ。
ただ、重要な視点は、いまもなお基本的には変わらないのではないかと思うのです。それが、舩井幸雄が教えた「現場主義」です。すべての答えは、「現場」にあるということ。そして、すべては、「現場」に出向かないとわからないということです。
商品やサービスを買ってくれる顧客が、なぜわざわざ店の前に並ぶのか。なぜ、それを使いたいと思うのか。そのニーズを分析するのが、ビジネスの一歩だと思います。
当社オフィスの近くに、行列のできるラーメン店があります。量がとんでもなく多いことで有名なので、ぼくは行ったことがありません。うちの大学生の次男は、30分も1時間も並んででも、そこで食べたいと言います。そして、実際に並びます。彼に話を聴いてみるとなかなかおもしろいんです。そこは本店なのですが、ほかのお店にもよく行くそうです。そこで、彼に聴いた話を、AIに取り込みます。並んでいるお客さんに共通した、ほかの情報を取り込むことも可能です。店内で実際にオーダーされる商品、トッピングの特徴、行列に並んでいる人の属性、店のロケーション、駅からの人流といったデータは全てAIによって分析され、それを真似たら、新しいラーメン店の繁盛店が生まれる……、はず。
でも、一つ忘れていること、AIに見させてあげられていないことがあります。
それは、「心の動き」なんです。
「心の動き」はAIに取り込むことはできません。ということは、「未来視点」からの「心の動き」を捉えられたら、それはまさに「人」にしかできない領域。そこに、AIの力を融合させる……。
“ほんもの”商品も、典型的な課題解決型であり、つまり過去の延長線上から生まれることが多いものではありますが、この「未来視点」からの「心の動き」をテーマとして付加したらいったいうどうなるだろう……?
しばしの妄想。
ある日の朝の思索でした。
感謝

舩井 勝仁 (ふない かつひと)
![]() 1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち)![]() 株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |
