トップが語る、「いま、伝えたいこと」
本物研究所がヴォイスグループと経営統合させていただいたことをきっかけに、あらためて「出版社とは何をする会社なのだろう」と考えるようになりました。
もちろん、本をつくって売る会社です。
しかし、これからの時代、本をつくって書店に流通させ、その売上だけで利益を出していくという従来型の出版ビジネスは、ますます難しくなっていくでしょう。
紙代も印刷費も物流費も上がっています。書店も減っています。そして何より、人々が情報を得る方法そのものが大きく変わりました。
だからといって、私は「出版には未来がない」とは思いません。
むしろ逆です。
「これまでの出版の仕組み」が終わろうとしているからこそ、「新しい出版業」をつくるチャンスが来ているのではないでしょうか。
そんなことを考える中で、私は2つの出版社の取り組みに注目しています。
「きれい・ねっと」と「サンマーク出版」です。
「きれい・ねっと」は、兵庫県姫路市にある出版社。社長の山内尚子さんのお父さまが創業された印刷会社と連携されているようです。立ち上げ当初は、主婦や学校の先生、地域の医療関係者など「自分の想いや取り組みを表現したい」と願う人々の自費出版(本創り)のお手伝いが中心でした。大きな費用負担なく誰もが表現できるよう少部数に強いオンデマンド印刷を取り入れ、一般流通を通さないネットショップでの直販体制を整えました。そして、出版業界の大量返本・廃棄という現状に心を痛めた山内代表は、一般書籍並みの文字量を安価でコンパクトに届ける「オリジナル小冊子」の仕組みを発案されます。ネットショップやイベントでの直接販売を通じて、環境破壊にならない持続可能な出版スタイルを確立されました。
「一人ひとりがいのちを輝かせ、愛と調和に満ちた美しいこの星の未来を創っていく」という明確な世界観を持ち、精神世界や生き方に関する本を数多く世に送り出しています。
興味深いのは、「きれい・ねっと」さんが自分たちの仕事を、すでに「本」だけに限定していないことです。
書籍を出版する。
著者の講演会や出版記念イベントを開催する。
そして「まなひてらす」というオンラインコミュニティを運営し、読者と継続的につながる。
さらには、著者や仲間たちと実際に旅をする企画まであります。
つまり、本を読んで終わりではないのです。
本で知る。
著者に会う。
学ぶ。
仲間とつながる。
一緒に体験する。
一冊の本を中心として、読者との関係がどんどん広がっていく。
私はここに、これからの出版業の一つの姿を見る思いがします。大量の本を出して大量に売るのではなく、出版社の理念や世界観に共感してくれる人たちと深くつながる……。
ヴォイスにおいてもいろんな取り組みをしてきましたが、とても参考になるモデルだと思います。
もう一つ、非常に興味深いのがサンマーク出版です。
『脳内革命』『生き方』『人生がときめく片づけの魔法』など、数々の大ベストセラーを生み出してきた出版社です。驚くのは、これだけ「本を売る力」のある出版社が、むしろ積極的に「本の先」をつくろうとしていることです。
サンマーク出版は現在、従来の書籍事業だけではなく、「本の未来づくり事業」や、著者の「コンテンツ360度展開」を掲げています。
LINEを利用した「本とTREE」には15万人を超える人が登録し、スマートフォンで本や著者と出会える「SUNMARK WEB」、音声によって本を紹介する「SUNMARK VOICE」など、本との接点そのものを増やしています。さらに面白いのが、ベストセラー著者などから直接学べるオンライン動画講座「マナビTREE」です。
つまり、「本を出版して販売する」だけではなく、「著者の持っている価値を、360度展開する」という考え方です。
これは非常に重要だと思います。
著者が持っている価値は、10万文字の本一冊だけではありません。
講演もできる。
対談もできる。
動画にもできる。
音声にもできる。
講座にもできる。
海外にも展開できる。
場合によっては映画やキャラクターなどのIPにも発展する。
そう考えると、一人の著者、一つの企画から生まれる可能性は、従来の「本の売上」の何倍にもなります。
私は、この2社の取り組みをそのまま真似すればよいとは思っていません。
むしろ、「『本物研究所×ヴォイス』だからできることは何だろう?」と考えたいのです。ヴォイスには長年培ってきた、とても大きな財産があります。それは、単なる出版ノウハウではありません。
人とのつながりです。
精神世界、意識、健康、癒し、人間の可能性、見えない世界、よりよく生きること。
そうしたテーマについて、国内外の著者や講師を発掘し、日本の読者に紹介してきた歴史があります。
そしてヴォイスという名前そのものに信頼を寄せてくださる読者がいます。
ならば、これをもう一度「事業」にしたらいい。
私はそう考えています。
たとえば、新しい著者の本を出版するとします。
これまでなら、
企画する。
編集する。
印刷する。
書店に並べる。
売る。
ここまでが出版事業でした。
しかし、これからは出版したところから第二幕が始まります。
本を入口にして著者を知ってもらう。
QRコードなどから出版社の動画やサイトにつながってもらう。
著者の無料オンライン講演を見てもらう。
もっと知りたい人には有料講演会に来てもらう。
さらに学びたい人にはオンライン講座を提供する。
そして著者を中心としたコミュニティをつくる。
著者がおススメするグッズをご紹介する。
場合によっては著者と行く旅行やリトリートを企画してもいい。
本が1,800円だとしても、その本を読んだ人との関係がそこで終わらなければ、その一人の読者に5,000円、1万円、5万円の価値を提供できる可能性が生まれます。
もちろん、何でも高額商品にすればよいという意味ではありません。
大切なのは、読者の、
「もっと知りたい」
「実際に会ってみたい」
「やってみたい」
「同じことに関心を持つ人とつながりたい」という気持ちに応えることです。
つまり、「一冊の本をつくる」のではなく、「一冊の本から一つの事業をつくる」こと。
これが、これからの出版をコアとした事業づくりなのではないかと思います。
従来の出版業には、少し不思議なところがあります。
出版社が一生懸命つくった本を読者が買ってくださっても、その読者が誰なのか、出版社にはほとんどわかりませんでした。書店やネット書店で購入していただけば、そこで関係が切れてしまうからです。
しかし、「きれい・ねっと」さんのコミュニティや、「サンマーク出版」さんの15万人規模のLINEの取り組みを見ると、この発想が大きく変わり始めていることがわかります。
これからの出版業にとって本当に大切な資産は、本の在庫ではなく、
「この出版社が紹介する人なら会ってみたい」
「この出版社の本なら読んでみたい」
と思ってくださる人たちとのつながりなのかもしれません。
1万人でもいい……。3万人でもいい……。
ヴォイスが発信するものを楽しみにしてくださる人と直接つながる……。
その方たちに、本だけでなく、動画、音声、講演、学び、体験、そして人との出会いを届けていく……。つまり、これまで以上に、著者、著者の世界観やライフスタイルと読者の皆さんとを結ぶ「結び目」を意識するということです。
そうなれば、出版点数や初版部数だけに一喜一憂する必要はなくなるかな……、そんなイメージを描いています。
そして、これから避けて通れないのがAIです。文章だけならAIがつくれる時代になりました。知識だけなら、一瞬で手に入ります。情報はますます無料になっていくでしょう。
では、出版社はいらなくなるのでしょうか?
私は逆だと思っています。
情報が無限に増えるからこそ、
「何を信じればいいのか」
「誰の話を聞けばいいのか」
「本当に価値のある人は誰なのか」を選ぶことが難しくなります。
だから出版社には「目利き」という役割が残ります。いや、むしろ今まで以上に重要になるでしょう。
「ヴォイスがこの人を紹介するなら、ちょっと話を聞いてみよう!」
そう思っていただけること自体がブランドになります。
舩井幸雄は、「本物」という言葉をとても大切にしました。
本物の人。
本物の商品。
本物の技術。
本物の考え方。
情報があふれるAI時代だからこそ、本物を見つける人の存在が必要になるのではないでしょうか。
「本物研究所×ヴォイス」は、ヴォイスらしい第3の道をつくる……。
「本を何冊売ったか」を追う出版社から、「本から何人の人と出会えたか」を大切にする出版社へ……。
「出版物をつくる会社」から、「人と思想と体験との出会い、結び目をつくる会社」へ……。
そう考えてみると、出版業の未来はむしろ明るい!これから新しい形に生まれ変わる、 とても面白い産業なのではないかと思うのです。
ヴォイスという会社を通じて、そんな新しい出版のあり方をつくってみたい……。
私のアタマの中の妄想です。
感謝
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長 株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他 1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。 大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。 2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。 講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















