加治将一の精神スペース

このページは、作家でセラピストの加治将一さんによるコラムページです。加治さんは、『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)などの歴史4部作が大反響を呼ぶ一方で、『アルトリ岬』(PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(ビジネス社)などのカウンセリング関連の著書も好評です。そんな加治さんが、日々の生活で感じること、皆さまにお伝えしたいことなどを書き綴っていきます。

2012.08.07(第19回)
メンタル・セラピストがイジメ問題を語る

 私は作家ですが、同時に日本で二番目に腕利きのメンタル・セラピストです。
 なぜ二番目かって? 
 なんとなくです。
 そのメンタル・セラピストの眼を通して、あの滋賀県大津市に起った事件を語りたいと思います。

 昨年10月、中学生のA君がマンションから身を投げました。
 原因は、同級生三名によるイジメ。
 子供たちのからかいが残酷にエスカレートし、逃げるに逃げられなかった生徒が追い詰められたという悲惨な事件です。
 しかしその後の動きを見ていると、大人たちのイジメに対する取り組み方が、信じられないほどトンチンカンで間違っているのです。
 「イジメは暴力を伴っているから犯罪であり、警察が取り締まるべきだ」
 「教師にイジメの防止ノウハウを教えるべきだ」
 「親こそしっかりせよ」
 と、まあそんな感じです。
 むろんそういったことは必要です。暴力、恐喝は違法行為ですから警察マタ―ですし、幼稚な教師や親の再教育もやった方が効果があります。
 しかし本質は、もっと違うところにあります。そこが見えてないのです。

 イジメは、どこにでもあります。
 イジメをやめましょうと言ったところで、消えてなくなるわけではありません。
 アンケート調査によれば、年間10万件近く、いや些細なレベルでは100万件はゆうに超えるはずで、しかし、べつにこれは日本に限ったことではありません。
 古今東西、てんこ盛りです。
 幼いころを思い返してみてください。
 イジメ心はだれにもあって、あなたの心のどこかに持ち合わせていたはずで、いや今でも持っています。
 つまり人間の悪魔的要素なのです。
 そしてイジメは感染します。
 西洋の魔女狩りやナチのユダヤ人迫害は、集団イジメの到達点といえるでしょう。
 無実の女子供までもを殺してしまうなんてことを、いい大人たちがやってしまったのですよ。
 人種差別やアメリカや日本で巻き起こった「赤狩り」、と呼ばれる共産主義者追放に名を借りた知識人、文化人弾圧も、またしかりです。
 イジメは昔に限ったことではなく、村八分的ハラスメントは、現代の地域や職場でも普通に見られますね。
 ようするに、シタリ顔で子供のイジメについて語る大人自身、その要素を持っていることをまず自覚しなければ、お話にならないのです。

 メディアも理解しておりません。
 自殺した子供を、悲劇の主人公に仕立てる煽情的な自殺報道です。
 それを眼にしたイジメられっ子はどう思うでしょう。
 「これほど辛い思いをしているのに、誰も手を差し伸べてくれない」と思っている心に油を注ぐことになります。
 同級生、教師、親に顧みられなかったイジメられっ子は、ここは一つ自分の出番だ。自分も悲劇の主人公を演じ、自殺、または自殺の真似ごとをし、支えてくれなかった周囲に後悔させてすっきりしたい、などという気持ちに火が点き、メラメラと燃え上がってしまうのです。
 メディアの悲劇の主人公的煽り報道での自殺連鎖、そんなことは過去何度も起っております

子供のイジメは、大人の縮図
 子供は大人を真似ます。つまり大人の価値観が、そのまま子供に投影されるのですよ。
 したがってイジメの種は、たいがい大人の価値観から拾いますが、ざっと次のようなものです。

@イケメンと美人には価値があり、ブ男とブ女は価値がない。
Aデブは無様で、スリムがカッコいい。
B運動のできる子供が一流で、できないのは三流。

 他にも足が短い、顎が長い、目が細いなどという容姿をはじめ、貧乏、ゲイ、人種などからかい材料はたくさんあります。
 これらはみな、大人がほぼ共通して思っていることですが口には出しません。良識というストッパーが働いているからです。しかしそれを簡単に外し、ダーっとやってしまうのがテレビの「お笑い番組」です。
 くだらない「お笑い」の悪ふざけは犯罪的です。
 相方を莫迦にしたり、叩いて笑いを取る。この手法は、そのままの形で子供の世界に押し寄せ、幅をきかせてしまうのです。
 どのチャンネルでもくだらないお笑い番組が満開で、イジメを誘発し助長します。
 こうした莫迦番組としか言えない番組を造る方も造る方ですが、見る方も見る方で、さらにスポンサーもスポンサーであり、よくPTAは不買運動を起こさないものだと思いますが、たとえ追放に成功したからといってイジメはなくなりませんね。
 現実は複雑なのです。

 キリストは、人は生まれながらにして罪人だと言いました。
 言い得て妙ですね。他の生命を食し、エネルギーとして体内に取り入れなければ生きていけない宿命を負った人間は、どうしても他を制して、生き延びるDNAを宿しています。
 他を制するということは競争、闘争ですから、どうしても弱者が踏み潰されます。
 競争、闘争は本能としてあり、根絶は不可能です。
 つまり人生は、オギャーと生まれた瞬間から平坦(へいたん)ではないのです。
 誰でもがデコボコ道を乗り越えていかなければならず、乗り越えられなければ、最悪死を招くことになります。
 スーパーマリオのごとく、降り注ぐ爆弾をかい潜り、地獄の火を飛び越え、目前に立ちはだかる数々の障害を突破していかなければならない。これが運命にあります。

 幼いころのイジメは、精神的に立ち直る力、悪への免疫力、世渡りの知恵、社交術を身に付ける貴重な機会となります。試練が過酷であればあるほど、鍛えられますね。
 古代、力の強い部族に、楽園のアフリカ大陸から叩きだされた弱者部族はヨーロッパに流れ着き、やがて知恵をつけて故郷アフリカに逆上陸し、かつての強い部族を奴隷にしたのは、昔、肉体的に弱かったからです。
 試練は人に知恵を授けるのです。
 弱者だからこそ、獲得しえる最大の宝は知恵なのです。
 叩き上げの経営者がおしなべて小柄なのは、背丈のハンデを乗り越えるべく、子供のころから一生懸命知恵とガッツを身に付けたからです。
 よくブ男が絶世の美人妻をゲットしますが、ブ男にはモテないハンデがあるから日々努力し、美女攻略法の研さんを重ねた結果が美女をゲットしちゃったりできるのです。よけいなことですが。

 同じイジメでも暴力や恐喝を伴うならば警察、深刻な誹謗中傷なら教師や親の介入は必要ですが、しかし少しからかわれている程度なら、子供に対処させることこそ生きた教育なのですよ。
 問題の処理能力を身に付けたり、我慢の限界を上げなければ、大きくなって生き抜けない恐れがあるわけで、不本意であるものの「ほどよいイジメは、よき試練である」というのは加治語録であります。

 親の責任は感情的に子供を守るのではなく、子供の笑顔を取り戻すために、冷静にどう対処するのかを考えることです。
 そのためには「イジメが我が子のトラウマになるほど深刻か?」の見極めは必要です。
 深刻ならば親、教師、警察の介入も視野に入れ、転校もいいと思います。
 そして傷ついた子供にそっと寄り添い、「君なら解決できる」と自信を付けさせるのも親の仕事ですね。
 子供に「君ならどう対処してゆく?」と、尋ねるべきでありましょう。
 そうやってイジメを一つ乗り越える度に、子供は防衛バリアの張り方を学び、手出し無用のオーラを発することができるのです。
 いざこざの段階で、親や教師がシャシャリ出るのは、自分の子供にとっても、相手の子供にとってもロクなことにはならないと思います。

 イジメっこの親は、多くの場合、遺伝的に社会性に欠けている可能性があります。その遺伝子を受けついでいる我が子を導けないのは当然でありまして、そんな親とまともに渡りあえば、こっちが理不尽に傷つけられることは眼に見えています。
 イジメっこの親に必要なのは、教師でも警察でもなく、実はメンタル・セラピスト以外手にないのです。

イジメの心理
 イジメの本質をもっと深く掘り下げると、根本原因は愛情です。愛情不足なのですね。
 「優しくしてほしい。愛してほしい。かまってほしい」
 現状に満足せず心にぽっかりと虚しい穴があいた状態です。愛情エネルギー不足です。
 内気な子は家に引きこもりますが、活発な子はエネルギーの補充をしようと試みます。
 愛情が一番なのですが、愛が得られなければ、他の代替エネルギーで補おうとします。
 代替エネルギーは刺激です。
 具体的に言えばドラッグ、暴力、アルコール、煙草、反抗、万引き……中でもイジメは、一番お手軽なのです。
 士農工商の時代、農民はエタ、ヒニンと呼ばれる最下層を徹底的にイジメました。
 農民自身が、現状に満足せずエネルギーが枯渇していたからです。大人も子供もイジメが一番手っ取り早いのです。
 これは政治手法にも取り入られていて、チャイナは大衆の不満がうっ積すると、「南京大虐殺」や「尖閣列島」を持ちだしては、日本叩きをやり、韓国は「慰安婦問題」と「竹島」を俎板(まないた)に載せて日本をイジメ、不満のガス抜きをはかります。

 現代版の手っ取り早いイジメは、ネットに悪口を書き込む「ネットいじめ」でしょうね。
 かくいう私も、さかんにやられておりますよ。
 私が本を出版する度に、あらゆる手段をつかって徹底的にこきおろし、それはもう病的な知識人が一人いるのですが、その根底には自分は本を出せないという劣等感がエネルギー枯渇を招き、エネルギーを補充するために逆恨み的復讐を燃やすわけです。
 それは置いておくとして、誰かをイジメたいと思う心は愛情を満たしてやることにより、あっさりと治ります。
 僕は今回、それを言いたかったのですよ。

加治将一


『ビジュアル版 幕末 維新の暗号』(祥伝社)が8月1日に発売されました。 『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』『西郷の貌』(すべて祥伝社)を全部まとめた写真集です。
 この写真集は、支配者の日本史偽装を許さないぞ、今後とも真実を暴いてゆくぞという私の確固たる意思表示であります。
 各方面からの圧力がひどく、潰れそうです。どうか1冊でも10冊でも買って応援してください。よろしくお願いします。


『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)は、おかげさまで三刷りになりました。ありがとうございます。
 この本でコインが売れ、日本中のコイン・ディーラーはコイン品薄に陥ったとか。コイン関係者の嬉しい悲鳴が聞こえてくるようですが、その割にはこっちに足を向けて寝ているらしいのです(笑)。

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Profile:加治 将一(かじ まさかず)

作家・セラピスト。1948年札幌市生まれ。1978年より15年間、ロサンゼルスで不動産関係の業務に従事し、帰国後、執筆活動に入る。ベストセラー『企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!』(アスキー)、評伝『アントニオ猪木の謎』、サスペンス小説『借金狩り』、フリーメーソンの実像に迫った『石の扉』(以上三作は新潮社)など多数の著作を発表。『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)の歴史4部作は大反響を巻き起こし、シリーズ 50万部の売上げ更新中である。その他、カウンセリング小説『アルトリ岬』(2008年 PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(2010年 ビジネス社)などがある。

西郷の貌(かお) 『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)

2011年4月に『陰謀の天皇金貨』(祥伝社刊)を、2012年1月に『倒幕の紋章』(PHP文芸文庫)を文庫版として発売。2012年2月に『西郷の貌(かお)』(祥伝社刊)を、2012年4月に新刊『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)を発売。

★加治将一 公式音声ブログ: http://kajimasa.blog31.fc2.com/
★加治将一 公式ツイッター: http://twitter.com/kaji1948

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