ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2015.10.01(第20回)
第三次世界大戦は起こるのか? 予言から見える集合意識のイメージ

 10月1日、私の新刊本が出ます。『「資本主義2.0」と「イミーバ」で見た衝撃の未来』(ヒカルランド)という本です。よろしかったらどうぞ。

 そこで今回は、この本の一部を抜粋します。2015年の世界は、これまでになく流動化する方向に動いています。今回抜粋する部分は、集合意識に記憶されている予言のモチーフが、未来の出来事の形成にどのようにかかわっているのか解説した箇所です。これからの世界の動きを見るのに参考になるかと思います。

●不安定化する世界
 これまでの章から、現代の世界が不安定になる方向に加速度的に向かっているのがよく見えてきました。「イミーバ」(※イミーバ(意味場)=SNSやブログ、BBS、動画投稿サイトなど、ネット上に出現したあらゆる話題が規制なく話し合われる場所のこと)が社会の全面を覆う「資本主義2.0」の社会では、これまで抑圧されてきた社会のあらゆるストレスが爆発的に噴出します。それらは、抑圧された民族意識、歴史のトラウマと怨念、グローバリゼーションによって奪われた民族性の回復要求など、抑圧された否定的な内容が中心です。これらは、「イミーバ」の物質化のプロセスを経由して社会の表面に現れ、社会システムの規定の循環を撹乱させる「ブラックスワン」として出現します。21世紀の最初の15年間、「911」や「アラブの春」を筆頭に多くの予想外の「ブラックスワン」が現れ、歴史の規定のコースを大きく変更しました。いまはテロ組織、「イスラム国」に「ブラックスワン」の存在の大きさを私たちは見ていいます。

 一方、なにが起こるか分からない不安定な状況は、特定の目的を持つ支配勢力が、目標となる方向に世界情勢を誘導するには絶好の機会を提供します。状況が不安定であればあるほど、特定の結果の実現を目的にした出来事が仕掛けやすくなり、実際に意図した方向に状況全体が動く可能性が高くなるからです。世界情勢に大きな影響力を持つ通称「グローバルエリート」と呼ばれるさまざまな集団や「軍産複合体」、そして「ネオコン」などの強固に結束したイデオロギー集団は、それぞれのアジェンダを実現すべく背後で活動しています。
 そうした計画に共通しているのは、次第に利益の源泉の確保が難しくなった資本主義の体制ではなく、超富裕層が国家を利用して恒常的に利益の源泉を確保できる「国家独演資本主義」の体制への移行というシナリオです。これは、社会階級を固定化した「超階級社会」となる恐れがあります。
 これは、政府が国民を管理し、自由を徹底して制限する警察国家への道です。「秘密保護法」を法制化したいまの安倍政権が象徴する「天皇制国家」への方向性はまさにこの動きでしょうし、今回の本では紹介できませんでしたが、「国家安全保証省」の権限が大幅に強化され、強制収容所を思わせる「FEMAキャンプ」の建設が全国で進んでいるアメリカでも警察国家化の動きは加速しています。
 このような「国家独占資本主義体制」に向かう強権化の動きは、国内では当然強い抵抗を生むはずです。「イミーバ」が社会全体を覆っている状況では、抗議行動は簡単に組織できます。
 2014年のトルコやブラジルのように、小さな運動がコントロールのできない巨大な行動に発展することも決してまれではありません。そうした状況になると、社会は一層不安定になり、これを管理するために国家の強権化はさらに進むことでしょう。警察官による黒人の射殺事件とそれに対する抗議運動が増加しているアメリカは、まさにストレスが沸点間近の状態であり、これに対する取り締まりの強化から、国家の強権化がさらに加速しかねない状況です。
 他方、既存の秩序を不安定にさせている要因はこれだけではありません。すでに多くの書籍で詳しく解説されているので今回は取り上げませんでしたが、多極化のプロセスも大きな不安定要因です。G20に結集したBRICs諸国の急速な台頭、そしてなかでも中国とロシアによる中ロ同盟の強化は、広大なユーラシアからアメリカとEUの影響力を徹底して排除する方向にいま動いています。この動きを阻止すべく、アメリカとEUはウクライナで政変を画策してロシアを押さえ込むと同時に、すでに2013年から実施している中国の南シナ海の埋め立てを材料にアメリカは同盟国を結集し、中国の包囲網を築こうとしています。

●安定した秩序の形が見えない
 これまでの歴史で、世界と社会が不安定になる時期は決してまれではありませんでした。比較的に最近の歴史でも幾度となく起こっています。ドルと金の交換が停止され、変動相場制に移行した1971年のニクソンショック、またヨーロッパの社会主義圏が消滅した1991年のソビエトの崩壊などはそうした歴史的な出来事の典型です。
 こうした過去の時代の不安定性と現在のそれとの大きな違いは、過去の事例では、一時的に不安定になったとしても、その先に出現するであろう安定した秩序のイメージがほのかに見えていたことです。1971年では変動相場制の秩序が、そして1991年では、アメリカが主導するグローバル経済の秩序が漠然とながらも見えていました。

 しかし、今回は違います。「国家独占資本主義体制」による国家の強権化とそれに激しく抵抗する抗議運動、また、イスラムの怨念のはけ口になっている「イスラム国」の台頭、さらに、中ロによる多極化とそれを必死になって阻止する欧米というような動きを見ると、いまの不安定な混乱期の向こう側にどのような安定した秩序が出現するのか、ほとんど見えてきません。
 先にある秩序が見えないという意味では、いまの状況は、比較的に小さな局地紛争に過ぎなかったオーストリア・ハンガリー帝国とセルビアの対立が、あっと言う間に世界大戦に拡大した1914年や、躍進するドイツのヒトラー政権にどう対応すればよいのか分からず、ドイツの領土拡大を容認してしまった1938年当時のヨーロッパによく似ているかもしれません。ということでは、第3次世界大戦の勃発すら考えられる時期に、いま私たちは来てしまった可能性すらあるのかもしれません。

●想像できないことを想像する
 しかし、それなりに安定した社会で生活している私たちにとって、第三次世界大戦が勃発すると言ってもいまの時点では想像することさえできないでしょう。
 第二次世界大戦は、1939年9月1日、ドイツのポーランド侵攻で突然と始まりました。その4日後には、ポーランドと安全保障条約を結んでいたイギリスとフランスがドイツに宣戦布告したのです。
 しかし、あらゆる予兆があったにもかかわらず、ポーランド侵攻の前月の8月までは、一般国民のみならず、外交官、政府や軍の高官、ジャーナリストのような専門家も世界大戦になるとは考えてもみなかったことが伝えられています。世界大戦は、あまりに大きな破壊を引き起こすことが分かっているので、当然、どこかで歯止めがかかるはずだと信じて疑わなかったのです。世界大戦は、想像の範囲の外にありました。それは想像することさえできない「まさか」だったのです。
 むろん、ここでこれから第3次世界大戦が起こると言いたいわけではありません。ただ、これから先どのようなことが起こるのか想像できないという意味で、1914年や1938年と似ていると言いたいのです。

●集合無意識に内在するイメージと予言
 「想像できないもの」とは、既知の理屈や論理で解析できる範囲の外にあるもののことを指します。第1章と2章で詳しく解説した「外部」にあたるものです。1939年に多くの人々が世界大戦など起こらないと楽観していた理由は、ナチスの抑圧された怨念とそれに基づく野望が、通常の国際関係の常識からは想像できなかったからです。「想像できないもの」は日常的な論理の彼岸にあります。
 一方、ナチスが表現する極端な世界観とイデオロギーは、当時のドイツ人の集合無意識に内在している古代ゲルマンの神話とシンボルが反映していたとされています。だからこそ、あのように残虐で極端なナチズムがドイツでは広く支持されたのです。
 社会が不安定になったり、パニックに陥るような状況になると、集合無意識に内在している宗教的、民族文化的な形象が競り上がり、個人の思考と判断を津波のように押し流して行きます。これは、社会と経済が破綻した第一次大戦後のドイツや、911直後のアメリカ、そして追い詰められたイスラムの象徴としての「イスラム国」などが好例です。

 集合無意識に内在している形象を覗き見るひとつの手立てとして、予言が参考になります。予言は、的中したのか外れたのかだけが問題されますが、おそらくそれは予言の本質ではありません。的中率だけで予言を見ると、どの予言もほぼ完全に外れています。的中したものはほとんど皆無と言ってもよいくらいです。
 でも、長い間人を引き付けてきた予言には、ある特定の社会集団や宗教集団の集合無意識に潜在的に内在している終末論的な未来のビジョンが表現されていると考えてよいでしょう。第5章で触れたヨハネの黙示録の「アルマゲドン」と「キリストの降臨」や、コーランにある救世主「マフディー」の出現などのシナリオはまさにこれです。
 現実の世界が安定しており、通常の日常の規則にしたがって社会が循環しているときは問題ありません。集合無意識に刻印されている終末論的な未来のビジョンなどは日常意識のもとで完全に忘れ去られており、思い出されることはほとんどありません。しかし、第5章で触れた911のように、予想を越えた危機が起こったり、また現実の情勢が終末論を予想させる方向に近似してくると、抑制できない恐怖や歓喜とともに、集合無意識に刻印されている予言的な未来のビジョンの枠組みが活性化し、意識の表面に競り上がってきます。そうなると、予言のシナリオは現実味を帯び、そうなることを前提に多くの人間が行動し、結果としてシナリオを自己実現させてしまうこともあるのです。

●ヨハネの黙示録の例
 現実の情勢と予言の終末論の酷似が無意識の終末論のビジョンを活性化し、自己実現する行動を誘発しているよい例が、「ヨハネの黙示録」です。「ヨハネの黙示録」とは、新約聖書の最後にある唯一予言的な内容の聖書です。「ヨハネの黙示録」ではキリスト再臨するとされており、そのための条件となる出来事が書かれています。それらは次の5つです。

1) まず、ローマ帝国が滅ぼしたイスラエルが再建され、世界に散っていたユダヤ人が再び集まります。

2)イスラエルは強大になり、ユーフラテス川からナイル川までの「約束の地」を領土にするようになります。

3)現在イスラム教の「岩のドーム」と「アルアクサ・モスク」は破壊され、エルサレムの「神殿の丘」にはユダヤ教の第三神殿が建てられます。

4)これをきっかけにして、反キリストの勢力が結集し、イスラエルとの最終戦争になります。全世界の王がイスラエルの「メギドの丘」に結集します。これが「ハルマゲドン」です。

5)「ハルマゲドン」でイスラエルは滅びそうになります。そのとき、イエス・キリストが再臨します。このときユダヤ人はイエスを救世主と認めてキリスト教に改宗します。改修しなかった異教徒は焼き殺されます。その後、キリストが統治する1000年の至福の時代がやってきます。「千年王国」の到来です。

 「ヨハネの黙示録」のこのような未来のビジョンは、異なった時代で様々な解釈を生んで来ました。いまは現実の歴史の動きがまさに「ヨハネの黙示録」のシナリオ通りに進んでいると考える見方が強くなっています。現実の動きを対応させると次のようになります。

1)イスラエルの再建とユダヤ人の結集
 1948年にイスラエルが建国され、世界に離反していたユダヤ人が移住してきました。

2)イスラエルの強大化とユーフラテス川からナイル川までの「約束の地」の領土化

 1967年にイスラエルが始めた第3次中東戦争では、ヨルダン川西岸、ガザ、シナイ半島を周辺諸国から奪い、エルサレム全域を占領しました。また2003年に始まったイラク侵略戦争では、イスラエルの宿敵のサダム・フセイン政権が崩壊しました。
 このように現実の歴史の動きを見ると、「ヨハネの黙示録」とシンクロしているように見えます。
 もちろん、3)「第三神殿の建設」、4)「ハルマゲドン」、そして5)「キリストの再臨」は起こっていません。しかし、今後、中東の混乱が拡大してイスラエルによる2)「約束の地の領土化」が進むと、世界の多くの国々の激しい怒りが爆発し、4)「ハルマゲドン」を誘発する前提になるかもしれません。すると、5)「キリストの再臨」は間近です。

 カトリック、プロテスタントを問わずキリスト教の多くの宗派ではキリストの再臨がいつ起きるかは事前に人間は知ることができないとするのが一般的な見方です。他方、アメリカ国内には、「福音派」や「再洗礼派」など聖書の記述を文字どおりすべて信じるべきだと主張するキリスト教原理主義者が約8000万人もいるとされています。彼らは、現実の動きと「ヨハネの黙示録」のシンクロが間違いない以上、イスラエルが「約束の地」を獲得して強大化を支援し、「岩のドーム」と「アルアクサ・モスク」を破壊させてイスラム諸国の怒りを刺激し「ハルマゲドン」を積極的に誘発させることで、「キリストの再臨」を早期に現実化できると固く信じています。予言の自己実現です。

 第5章で紹介したように、「ヨハネの黙示録」を信じる原理主義の軍人や宗教家は多くいます。彼らは、この予言のシナリオを前提に積極的に行動します。そして、現在のように中東が大混乱に陥り、イラクのみならずリビアやシリアのようなイスラエルに敵対する国々が消滅しかかっている状況は、集合無意識のどこかで「ヨハネの黙示録」のシナリオを共有しているキリスト教圏では、イスラエルが強大化して「ハルマゲドン」の条件が整う方向に向かっているように、さらに多くの人々が確信するようになります。
 すると、たとえば「アルアクサ・モスク」がユダヤ教原理主義のテロで破壊されるというような大きな事件があると、それがきっかけとなり、キリスト教圏の集合無意識が内包している恐怖の元型とそのイメージが出現します。すると、さらに多くの人間が、津波のような感情の動きに巻き込まれて行きます。これが下手をする「ハルマゲドン止むなし」とする集団行動を引き起こす可能性を高めることになるのです。これこそまさに予言の自己実現です。

 続きは本書でどうぞ。

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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