
トップが語る、「いま、伝えたいこと」

今年1月30日にアップした「いま知らせたいこと」で、トランプ大統領が行おうとしているレパトリ減税のことを紹介させていただきました。エコノミストの岩本沙弓先生に教えてもらったものですが、過去に一度だけブッシュ・ジュニア大統領の時代に行われたことがある政策で、アメリカ企業が海外に貯めた現金を国内に持って帰ってくるときに本来なら課税される税率を大幅に減税する政策です。これが行われると本格的にドル高になることが期待されています。
目先の為替相場は北朝鮮問題や、ハリケーンの被害が甚大だったことなどを受けて、年内にもう一度予定されていたFRBの利上げが先送りされるだろうということで、アメリカ国債の金利が下がり、それによって円高基調になっています。ただ、再開したアメリカ議会が政府機関の一時閉鎖につながりかねないと危惧されていた国債の上限問題で、引き上げに応じたことで、ようやくレパトリ減税を含むトランプ大統領の減税策が動き始めるのではないかという期待もささやかれるようになりました。
日本の株式は北朝鮮問題や、その他いろいろテクニカルなことで、19,500円の壁を超えるのは大変だという報道も見受けられますが、もしレパトリ減税が行われることになれば、一気にドル高になることが予想されるので、それにともなって2万円越えを達成することも十分に考えられるのではないかと思います。ハリケーンの被害が、トランプ大統領と議会との仲を取り持つという不思議な展開ですが、実は経済政策に関してはトランプ大統領の表現方法はまともではありませんが、中身はきちんとした政策を考えているという見方もできるようなので、その進展には期待したいと思います。
それにしても心配なのは、北朝鮮問題と世界的に続いている異常気象です。サムシンググレートが私たちに対していい加減に自分のことばかり考えているのをやめないと大変なことになるぞという警告を発してくれているのではないかと思います。エゴではなく、世のため人のために考えて行動することの大切さをもう一度思い出すべきだと思います。はせくらみゆきさんから教えていただいたのですが、お金をどう使うかは私たちに与えられた投票権を行使することになります。
私たちが、きちんと思いを込めて作られて、搾取されて安くなっているものではなく、適正利益をしっかりと支払うという簡単なことに気がつけば社会が変わります。為替によって、株式の相場が乱高下することに一喜一憂するよりも、私たちが日常生活で使っているお金というシンプルな投票権を使って、いかにいい世の中を作っていくかを考えていく、そんなタイミングがきているのだと思います。
そんな皆様が増えたおかげで、もしかしたら今頃来るかもしれないと思っていた大きな金融危機が半年ぐらいは先送りされたように感じています。今度は、危機が来た時の備えとできれば危機が来ないようにするにはどうすればいいか(どちらも同じ心構えで対処できると思っています)を一緒に深く考えていきたいと思っています。
この原稿も先週同様、ペルーで書いています。明日が旅の最終日ですが、初めての南米ですが、大きなビジネスチャンスを感じます。南米で一番経済が好調なのはチリだそうです。チリは銅などの自然資源に恵まれていて、またドイツ系移民が作った国でもあるので、堅実にコツコツと働いてビジネスを進めていく国民性を持っているそうです。ペルーはスペイン系の移民が作り上げた国で、どうしてもラテンのおおらかさで行動してしまうので、経済的にはもう一つで、政治もなかなか安定せずにあまりいいところがなかったのですが、近年はチリ資本が進出していることなどから急速に経済発展をしているようです。
確かに、首都リマの高級住宅地などに行くと、高層マンションが立ち並び、ジムやテニスコートで汗を流す富裕層の姿が目につきます。また高級レストランなどではチリやアルゼンチン産のものが多いのですが、高級ワインを飲みながら食事を楽しんでいる人の姿が目につきます。もちろん、貧富の差は激しく、現金収入のほとんどないようなアンデスの人々が暮らす電気の来ていない村などの厳しい生活もまだまだ現実としてあるようです。
今回は5,000メートル以上の標高にある高地にトレッキングに出かけた時に、そんな村の農家で作っていただいた素朴な朝食を食べさせていただきました。
逆に、そこにこれから発達するであろう大きなマーケットを感じました。欧米市場は成熟していて、アジアやアフリカなども中国や韓国と激しい競争にさらされています。少し前までは車のほとんどは日本製だったのに、最近は韓国車にシェアを奪われつつあるという傾向はあるようですが、アメリカを除く世界の目はまだまだ南米には向いていないような気がします。
ラテン系の、陽気で働くことに意義を感じない点や、汚職などの大きな問題はあると思いますが、新しいマーケットとしてこちらに目を向けてみるのも面白いのかもしれません。ペルーでは日経移民が真面目に貢献してきたことで、日本人はかなり好かれているように感じました。まったく話せないスペイン語ですが、今度来る機会までに旅行で困らない程度は勉強したいなと思うぐらい南米を好きになりました。
=以上=

2017.09.18:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】舩井フォーラムでお伝えしたいこと
2017.09.11:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】レパトリは実行されるのか (※舩井勝仁執筆)
2017.09.04:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】インフレはやってくるのか (※舩井勝仁執筆)

ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』

