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トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
毎週月曜日定期更新
2017年10月30日
アウシュヴィッツ (※舩井勝仁執筆)

 日米の株式市場が好調です。日経平均は16連投の後、1日下げましたがその後も順調に上げ基調が続いていますし、ニューヨーク市場のダウ平均は基本的には史上最高値を更新し続けています。また、次期FRB議長の人選に関して憶測が飛んでいますが、誰になっても利上げの方向性は続くようで基本的には円安ドル高に振れるだろうという見通しが強く、為替相場と日本の株式相場の連動が薄れてきたという話もありますが、いまや市場のメインプレーヤーになっている外国人投資家からすれば、円安になると為替でも勝てるので、やはり日本株を買おうという動きが強まることになるだろうと想像できます。

 株式の値上がり基調が続いているので、日銀のETF購入がとまっているという報道も目にしました。購入を控えるだけではなく、こういう時に秘かに売りに出して利益を確定させてもらうと、日銀の利益は基本的には国庫に返還されることになっていますので、財政再建の一助になるのになあと考えたりしますが、なかなか簡単にはいかないのでしょうね。特にアメリカの上がり方は間違いなくバブルなので、それにあまり引きずられずに上げ過ぎない方がマクロに見るといいような気がしますので、日銀だけではなくGPIF(年金)などもこの機会を活かして利益の確定をすればいいのになあと思います。
 選挙も終わりましたので、株式が下げ基調になっても基本的には政権運営にはそれほど大きなマイナスにはならないと思いますし、何も外国のヘッジファンドばかりを儲けさせることはなくて、日本の公的機関もある程度のフリーハンドを確保してしたたかに立ち回ってくれればいいなあと思います。銀行などの金融機関の人と話していると、不動産に対する融資にはかなり慎重になってきているようにも感じます。慌てて、不動産業者が高値で買ってしまった物件の処分に走っているような流れも少しですが感じるので、こちらも風が変わったのかもしれません。
 日経新聞などの論調では、自動車メーカーや鉄鋼会社など株式会社日本を支えてきた中心的な会社での不祥事がどんどん明るみに出てきているという流れがあるにも関わらず、企業業績が好調でそれに支えられた株高だということですので、まだまだ上げていきたいと思っているようです。でも、その背後にはいわゆるジャパンハンドラーズたちの意志が働いているように感じますので、少しぐらいは私たちもしたたかに立ち回ってもいいのかなあと思うのです。
 少し冷静になって考えると、やっぱりトランプ大統領のようなリーダーが世界の超大国であるアメリカを率いていることや、ヨーロッパでも極右や極左の政党が大きく議席数を伸ばしている実態を考えると、世の中は非常時に突入しているように感じます。副島隆彦先生ではないですが、もしいままでのような政治の流れが続いていたら小池総理になるというシナリオだったのかもしれませんが、どうもそれもなくなってしまったことを見ると、ジャパンハンドラーズたちの意志に逆らって動くようになってきた日本も非常時に突入していると考えて経営しなければいけないと思います。

 9月の「舩井フォーラム2017」直後に訪れたアウシュヴィッツ博物館の衝撃はいまだに続いていて、週に何回かは眠れない夜を過ごしています。ご一緒した赤塚高仁さんにイスラエルのヤド・ヴァシェム(ホロコースト記念館)に何度も連れて行ってもらったことがあるのですが、やはり現場の迫力は圧倒的なものがあり、こんな言い方は不謹慎ですが、600万人ものユダヤ人が犠牲になったと言われているホロコーストがあったからイスラエルは建国できたのだという事実がはっきりと迫ってきます。
 先週このコラムで書きましたら、私のもとに「広島や長崎の原爆資料館とともに、つらいけれど一生に一度は見ておきたいところです」と関心を寄せる声が数通届きました。アウシュヴィッツには年間200万人の人が訪れるそうです。見学の人の割合では、ヨーロッパ各国からの高校生がダントツ多いとのことでした。日本の修学旅行の行き先で、原爆資料館が選ばれることが多いのですが、その史実への向きあい方はまったく違います。

 いま、アウシュヴィッツには2つの収容所が博物館として残されています。大変広大で1日で回るのは難しく、大まかに回るのも結構な体力が要りました。セキュリティが厳しく最初にチェックされます。イスラエルからの見学者に対するテロ等の恐れがあるから厳しいようですが、そう考えると未だに不安定な歴史が日々作られていることが感じられました。1日1万人近くの人が訪れるので、想像していた静謐な雰囲気ではありませんでしたが、文字通り、殺伐とした空間では見学者はほとんど私語をせずガイドに耳を傾けていました。
 収容所で印象に残っているのは、ガス室とその死体を焼く焼却炉。私は収容所に電車で送られ、これから収容される人が、即ガス室に行かされるかしばらく労働力になるのか、セレクトされる線路のあたりで息がとまりそうな思いになりました。絨毯等の原料として使うために刈り取られた女性収容者の大量の毛髪が、現存される展示もありましたが、不気味というより、一見、のどかなアウシュヴィッツに立ってみて、収容者の絶望感にリンクしてとてつもない閉塞感に見舞われました。
 ガイドをしてくださった中谷剛さんは、91年に医療器具メーカーの営業の仕事を辞め、ポーランドに移住し、97年に外国人として初めてアウシュヴィッツ博物館の公認ガイド資格を取得したいまでもアウシュヴィッツで日本人唯一のガイドです。生還者の話がリアルに凄惨で、話がどんどんと大きくなりがちなので、淡々と事実を伝えることに傾注しているとおっしゃっておられました。見学中に日本人に対する厳しいご意見を話される等、たいへんまっすぐな方でした。
 ぜひ中谷さんの著書『ホロコーストを次世代に伝える―アウシュヴィッツ・ミュージアムのガイドとして』(岩波ブックレット)や『アウシュヴィッツ博物館案内』(凱風社)を読んでみていただければと思います。
                                           =以上=

バックナンバー
2017.10.30:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】アウシュヴィッツ (※舩井勝仁執筆)
2017.10.23:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】動物と人間の違い (※舩井勝仁執筆)
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