トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2023年12月18日
最強の介護施設 (※舩井勝仁執筆)

 アメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)が利上げを見送って、来年には3回を目途に利下げする方向で考えているという発表を受けて、アメリカのニューヨークダウは12月13日に史上最高値を更新しました。そして、日米の金利差を材料に進んでいた円安の流れが急速に止まって、12月14日の日本市場では一時1ドル140円台にまで円高が進んでいます。せっかくアメリカ株が最高値を更新したのですが、日本の方は円高の影響が強く14日は下げて終わりました。2週間前の予想とだいぶ動きが変わってしまいましたが、市場は私の思いよりもはるかにダイナミックに動く局面になってきたのだと思います。
 コロナ前までは、アメリカ株が強くても日本株は少ししか上がらずに、逆にアメリカが下がったら日本はより大きく下げる相場が続いて、日本は世界の上昇トレンドから大きく置いていかれる形になっていました。そのトレンドが戻ったようにも思います。ただ、円高は輸入物価を押し下げる効果がありますし、何よりも多くの日本人はほとんど日本円で資産を保有しているのですから、その側面ではプラスになります。原油価格も下げ気味であることを考えると目先の大きな問題であるインフレに対処しやすくなっているのかもしれません。逆に経営者の方の声を聞いていると、思ったほどの値上げができていなくて苦しいという声も聞こえてきます。
 先日、大阪で早めの時間に立ち飲み屋さんに行きました。その後の予定は名古屋に移動するだけだったので、親しい友人がよく行くという立ち飲みに20年ぶりぐらいに挑戦しました。女性客もいましたが、やはり主流は中年男性の一人飲み。ある意味あこがれているのですが、みんな軽く2杯ぐらい飲んで素早く帰っていく感じです。そんな方たちのお会計の値段は千数百円。大阪を代表するオフィス街の街角で売っているお昼のお弁当は350円で長蛇の列ができていました。まだ、基本的なトレンドはインフレですが、やっぱり底流にはデフレの流れがあって、そちらに戻っていく可能性もあるなと感じています。
 経営者の皆さまは、その辺の状況判断が重要になるので慎重にウォッチをしていただければと思います。ただ、経済は確実に動いているようで、名古屋の定宿も私が予約したタイミングで最後の1部屋でした。日本人観光客の動きは年末年始を控えて落ち着いているようですが、ビジネスマンの移動は相変わらず活発だと感じます。飛行機は満席近い状況が当たり前になりましたし、今回象徴的だと思ったのは、大阪市内までの空港バスが補助席まで使って満席になったことでした。誰か偉い人が正解を教えてくれない時代になりましたので、自分で調べて、自分で感じて、自分で考えて、責任を持って行動することがますます大事になってきたと感じています。

 今回紹介する本は中迎聡子著『最強のケアチームをつくる』(円窓社)です。鹿児島で独特の介護事業所運営を続ける【いろ葉】の代表の著書であり、実際の経験談が詳(つまび)らかに書かれています。いろ葉はデイサービスをメインとし、様々な介護に関するサービスを提供しています。代表の中迎さんは既存の価値観に捉われない斬新な方法で施設を経営しており、地域と一体になりながら、寄り添い、受け入れ、人として生きる事のできる環境を作り出しているようです。介護施設で働いていた時に、介護をされる人に本質的に向き合わない介護はおかしいと思って、中迎さんが考える理想の介護をひとつずつ作り上げてきたら現在の形になった過程がよくわかる良書だと感じました。
 出てくるエピソードは、私たちが通常考えている介護からはあまり想像のできないものが続きます。相手に沿った介護、常識ではあり得ないと言われながらもその人に合っていれば躊躇せずに取り入れていく。部屋の境界で寝る老人など、とにかく不思議なエピソードが出てきます。何も知らずに読めばギョッとする、しかし落ち着いて考えれば一理ある、普通の介護施設からは考えられない仕組みを次々と導入していく様、思わず夢中で読み切ってしまうはずです。
 高齢化が進む日本では介護需要は高く、全国に数多くの介護施設が存在します。先般も最大手の介護会社が大手生命保険会社にM&Aされるという報道がありましたが、それだけビジネスとしての将来性が高いということなのだと思います。しかし人手不足などを中心に多くの課題を抱えており、様々な形が模索されていますが、なかなか答えの見えない状況が続いています。
 本書の中にもあるように、刷り込まれた『こうあるべき』という価値観から脱却し、柔軟な発想を持つ。
 固定観念に縛られるのではなく、誰もにとってちょうどいいサービスを目指す。それは当然働くスタッフにとっても大事なことなのかもしれません。どこかで犠牲を強いる方法は、健全とは言えませんし長続きもしません。柔軟に考えることで余裕を生み出す、いろ葉のように素晴らしい循環が出来上がっている形をスタンダードにできれば、介護業界も次のステージに進めるように感じます。
 もちろん既存のやり方にはそれなりの理由がありますし、完全に否定する事はできません。いろ葉のやり方は地域によっては高すぎる理想なのかもしれませんが、実現のために自分も何かできる事はないかと意識を皆が持って行動すれば、少なくとも介護を取り巻く現状を好転させることができる。私は本書を読み、そんな前向きな気持ちを感じることができました。元気が出る本としておすすめさせていただきたいと思います。
                             =以上=

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2023.12.18:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】最強の介護施設 (※舩井勝仁執筆)
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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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