トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2026年3月30日
変革と破壊の境界線 (※佐野浩一執筆)

 滅多に書かないテーマなのですが、今回はあえて書かせていただきます。
 それは、トランプ大統領についてです。
 彼のとった対策、政策は、果たして「正しい」のでしょうか?

 このテーマは、とても深く、そして現代を生きる私たち一人ひとりに問いかけられている問題だと感じます。それは単に一人の政治家の評価にとどまらず、「変革とは何か」「破壊はどこまで許されるのか」という、本質的な問いにつながっているからです。
 ドナルド・トランプという人物は、これまでの政治の枠組みや価値観に対して、強い疑問を投げかけ続けてきました。従来の外交のあり方、国際協調の前提、さらには国内の政治文化に至るまで、「それは本当に正しいのか」と問い直す姿勢は、多くの支持と同時に、強い反発を生んできたことも事実です。
 その姿は、ある人にとっては「停滞を打ち破る改革者」であり、またある人にとっては「秩序を揺るがす破壊者」と映ります。この両義性こそが、トランプという存在の特徴なのかもしれません。
 歴史を振り返れば、時代が大きく動くときには、必ず既存の価値観を揺さぶる存在が現れます。古い仕組みや慣習が、人々の可能性を縛ってしまっているとき、それを壊し、新しい流れを生み出すことは、確かに必要なことでもあります。経営の世界で語られる「創造的破壊」という考え方は、まさにその象徴と言えるでしょう。
 しかし同時に、「何を壊すのか」だけでなく、「どのように壊すのか」、そして「その先に何を創るのか」を冷静に見つめる必要があります。
 変革が正当化されるのは、それが人々の未来をより良くする方向に向かっているときに限られるのではないでしょうか。もしも変化の名のもとに、対立をあおり、不安を拡大し、分断を深めてしまうのであれば、それは決して望ましい変革とは言えません。ましてや、その手段として武力や強い圧力が用いられる場合には、より慎重な視点が求められます。
 現在のイランをめぐる緊張や、ホルムズ海峡の問題は、まさにその象徴的な例のひとつです。ホルムズ海峡は世界のエネルギー供給にとって極めて重要な地点であり、そこにおける一つの判断や出来事が、世界経済や国際関係に大きな影響を与えます。だからこそ、この地域に関わる意思決定には、短期的な利益や力の誇示ではなく、長期的な安定と信頼を見据えた視点が不可欠だと思います。
 多くの権力者にとっては、武力は、問題を迅速に解決する手段のように見えてしまうのかもしれません。しかし、歴史が証明しているように、武力によってもたらされるのは「解決」ではなく、「新たな問題の種」である場合が少なくありません。対立は形を変えて残り、憎しみや不信として次の世代へと引き継がれていきます。その連鎖を断ち切ることの難しさを、私たちは歴史から何度も学んできたはずです。
 だからこそ、「正義」を掲げるときほど、その手段には慎重でなければならないのだと思います。どれほど大義があったとしても、それが人の命や尊厳を損なう形で行われるのであれば、私たちはそこに立ち止まり、問い直す必要があります。そして、そのことは、日本人である私たちは先の戦争で十二分に学んだはずです。
 本来、真の変革とは、誰かを犠牲にすることで成り立つものではなく、多くの人が安心して未来を描ける方向へと導くものであるはずです。対立を深めるのではなく、違いを受け入れながら新しい共存の形を模索すること。それこそが、これからの時代に求められる「変革」の姿ではないかと思うのです。
 強さとは、単に相手を押さえつける力ではありません。むしろ、異なる価値観を持つ相手とも対話を続け、理解しようとする姿勢にこそ、本当の強さが宿るのだと思います。時間はかかるかもしれませんが、その積み重ねこそが、持続可能な平和と信頼を築いていく道なのではないでしょうか。
 いまの時代は、不確実性が高く、これまでの常識が通用しない局面も増えています。だからこそ、変化を恐れず、新しい可能性を模索することは大切です。しかし同時に、その変化がどのような形で進められているのかを見極める目も、これまで以上に求められていると感じます。
 「変革」と「破壊」は、紙一重です。
 そしてその境界線を決めるのは、結果だけではなく、その過程や姿勢なのだと思います。
 私たちはこれからも、変わり続ける世界の中で、「何を守り、何を変えるのか」という問いに向き合い続けることになるでしょう。そのとき、力ではなく知恵と対話を選び取ることができるかどうか……。そこに、これからの社会のあり方が大きく左右されていくのではないかと感じています。
 一日も早く、一刻も早く……、この世界に紛争や戦争がなくなることを心の底から祈ってやみません。

バックナンバー
2026.03.30:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】変革と破壊の境界線 (※佐野浩一執筆)
2026.03.23:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】カウンターエリート (※舩井勝仁執筆)
2026.03.16:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】大谷翔平くんは、『舩井幸雄』を学んだのか? (※佐野浩一執筆)
2026.03.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】生成AIの活用 (※舩井勝仁執筆)
2026.03.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】トーションフィールドと包み込み (※佐野浩一執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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