トップが語る、「いま、伝えたいこと」
日経平均株価はいつの間にか63,000円台を付けました。つい最近までバブル期に付けた4万円弱の最高値を抜けないのではないかという話や、5万円水準でPER(株価収益率:Price Earnings Ratioの略で、株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標)が適正水準とされる20倍になるので上げ止まるのではないかという見方が言われていましたが、そんな状況を嘲笑うかのように上がり続けています。どこまで上がるのかと言われると怖くなってきますが、正直に書くとまったくわからないというのが実状です。
超強気の方は、10万円を通り越して30万円を予想する人もいるぐらいですが、個人的には決していい上がり方ではないと感じます。株価はまだ上がる可能性が高いとは思いますが、景気や企業業績がよくて上がっているのではなくインフレの進行をヘッジするために他に選択肢がないので上がっているだけなのではないかとも感じます。自国通貨でみればアルゼンチンの株価は100倍ぐらいになったそうですが、米ドルに換算すると3〜4倍程度になっただけです。日本の為替安はいまのところここまでひどくありませんが、換算する対象をドルから金にすると完全に負けているのだと思います。
最近は、さすがに上がり過ぎたのか金が下がってきたという新聞記事を読みました。代わりにビットコインの価格が上がっているのだそうですが、ますます不可思議です。父が生きていたらいよいよ乱世がやってきたと警告を発するのではないかと思います。インフレは戦争を誘発し、デフレは平和を創造します。日本は貧しくなりましたが、デフレの30年間は平和でした。さすがに経済で見るとひとり負けの状態なので、ある程度のインフレは必要だと思いますが、乱世になってきたかもしれないということは認識しておいた方がいいのだと思います。
長期金利が上がっているのは、それを表していると考えてもいいのかもしれません。2週間前に書いたようにせっかく為替介入して一時的に円高にしましたが、いつの間にか元の水準近くに戻っています。速報値ですが、貿易収支が久しぶりに黒字になり結果として経常収支が過去最高になったというニュースもありました。このように、円安を修正する動きは少しずつ見えてきましたので、このままズルズル円安になるかどうかはわかりませんが、何が起こってもおかしくないという心の準備はしておく必要はありそうです。
正解は誰かが教えてくれるのものではなくなり、間違ってもいいので修正能力を磨きながら自分の力で作り上げていくものになってきました。いま、一番磨かなければいけないのはこの能力だと思います。では、どうすればその力が獲得できるのでしょうか? 乱世に備えるために父が創った船井総研の出している本を参考になるかもしれないと思って2冊読んでみました。
1冊目は、船井総業研究所著『100億企業のつくり方 中堅企業にスケールアップするための6つの実践経営戦略』(プレジデント社)です。中小企業の経営支援に強い船井総研はその強みを活かし、「100億円企業化project」を提唱し、300社を超える多くの100億円企業を誕生させてきました。当然、多くのノウハウを持っており、本書はその戦略について解説しています。
独自の6つの戦略について説明がされているのですが、必要な構造や意識改革、方法論を利用することで、夢物語ではない現実としてそれが可能であることを示しています。特に地方の、その地域に根ざしてなくてはならない重要な存在となる100億円企業を目指すという方向を目指しているところに、舩井幸雄が提唱した「地域一番店戦略」のDNAを感じさせるものです。高い意識を持った各地方の経営者の皆様を集めて、その成功例や実体験を共有しながら目指していく。幅広い地域をフォローしている故に競合が少なくその環境を作り出せる部分も、企業としての強みであるようです。
船井総研が目指しているのは個別企業を盛り上げるだけではありません。地方経済の衰退が囁かれる世の中で、地元や愛する地域を盛り上げるための社会貢献としての側面も持ち合わせた上での100億企業化戦略であるという意義を感じさせる内容でした。私が所属していた頃は、10億円企業までに成長させることに長けていたと感じていましたが、いまはそれでは生き残れないというのが国の方針のように感じます。乱世の生き残りを考えると100億は必要であり、それに合わせて業種の枠を超えた地域での合従連衡も選択肢に考えなければいけないのが現状なのかもしれません。
2冊目は、船井総合研究所著『AI導入を実現するデータ経営』(同文舘)です。中小企業では、大手企業に比べてデジタル面の導入がどうしても遅れがちになる中で、この本は中小企業向けのDX化の方法論、特に現在では必須とも言えるAI導入について書かれたものです。船井総研も5年以上前からDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入を、顧客に対して積極的に提案してきました。ただ、ここにきて生成AIの急激な普及によってコンサルティング業界ではアンソロピック・ショック(生成AI企業Anthropicの躍進によるコンサル業への影響)という危惧が表面化してきました。
本書は、そんな危惧に対して船井総研はどのようにやっていくかの解を示したものとも読めるのかもしれません。船井総研らしくCRMという顧客管理のシステムを中心にDXやAI化を進めなければいけないということを断言しています。具体的には顧客データを使い顧客を主語とするシステム構築を提案し、具体的に実践例の紹介がなされています。AIを上手に活用することで、元々価値を持っている優良企業の顧客データを更に強いものへと変貌させることが可能なり、その為の方法論と実際に発生する影響についての解説がされています。
AIのシステム自体の解説ではなく、世の中の誰もが触れやすいポイントを事業に取り込む様々な方法についての説明が多くあります。船井総研は中小企業に対するAI活用という点で先進的な企業であり、積極的に活用・導入の支援をしてきているので、その経験を踏まえて書かれている内容はこれからAI導入を検討している企業の皆様には非常に参考になるのではないでしょうか。そして、裏を返せばAIを使いこなせない企業は乱世を生き残れないという厳しい現実があります。
相場の世界の行方、企業のあり方、AI導入の事例を紹介しましたが、どんな立場であっても守ってくれていたものが崩壊している現状をしっかり直視して、恐れるのではなく乱世を楽しめるぐらいの心構えを作っていきたいものだと思っています。
=以上=
2026.05.11:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】「祝福の水路」として生きる ―人は何のために生き、なぜ与えるのか― (※佐野浩一執筆)
2026.05.04:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】我欲の克服 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















