トップが語る、「いま、伝えたいこと」
いつの間にか今年も10月になりました。なぜか金融市場で大きな変動が起こるのは秋が多いという法則もありますので、気を付けていかなければならないと感じています。日本の株価はいまのところ高値安定ですが、アメリカに目を向けると、かなり厳しい状況がうかがえるようになってきました。一番のイベントはやはり11月の中間選挙です。トランプ政権の行方がますます混迷の度を深める可能性も十分にあり、心配しています。
数字に表れているのは、金利の上昇です。個人消費が支えるアメリカ経済ですが、住宅ローン金利が上がってきたことで、最大の景気刺激分野である住宅市場に黄色信号がともりました。経済全体も、赤信号の点滅に変わりそうな雰囲気です。赤信号の点滅といえば、深夜の首都高の出口で、十分に一時停止しなかったという違反をしてしまったことがあります。大型連休のレジャーの帰りに、重点的な取り締まりに行き合わせたのですが、違反は違反ですから反省しています。
いまの金融マーケットは、まさにその一時停止が必要な状態で、かなり慎重に注意することが大事になってきたように思えます。日本の株式市場は黄色信号が点滅し始めたぐらいで注意して進めぐらいの段階だと感じています。ポイントは、高市総理の「責任ある積極財政」をマーケットがどう読むかで、最も注意が必要なのは長期金利の動向でしょう。
ただ、東京に住んでいると景気の良さを感じます。雨ばかりでうんざりしますが、街角の景気は決して悪くないと思います。相変わらずビルの建設現場が目立ちますし、オフィスの空室率も低い水準を保っているようで、少なくとも大都市には好況感があります。先日、ショッピングセンターの中にある庶民的で人気のとんかつ屋さんに入ると、テーブル席に座っているのはほとんどインバウンドの方でした。ドイツ語や中国語が聞こえてきて、不思議な感覚でした。
これからの日本経済は、外貨をいかに稼ぐかがポイントになります。大企業は海外事業で利益の多くを稼ぐようになっていますので、大事なのは中小企業がどう外貨を稼いでくるかです。インバウンド需要の取り込みも、モノやサービスの輸出も、どちらも外貨獲得の道ですが、もっとも王道なのは、やはり海外へ直接売っていく輸出でしょう。やり方はいろいろありますが、丁寧な日本の仕事は海外でも評価されていると思います。楽しみながら知恵を絞ってみていただければと思います。安全保障を考えても、その前提にあるのは経済力です。企業や個人の成果を集めて、もう一度日本を強い国にしていきたいものです。
今週紹介する本は、五十嵐隆幸著『台湾有事 歴史・軍事・安定のメカニズム』(中公新書)です。著者は最近まで防衛省防衛研究所の研究員を務められていた専門家で、「おわりに」にも書かれているとおり、内容はとても落ち着いたトーンです。台湾有事は必ず起こるという考え方とは距離を置き、近代台湾の歴史を丹念に押さえながら、どうすれば台湾有事を避けられるのかを主要なテーマにしています。
ウクライナ侵攻、ガザでの軍事行動、そして米国も関わったイランへの攻撃と、世界では熱い戦争が続いています。その連想もあって、台湾有事が話題になる機会が増えました。どちらかというと、近いうちに中国が必ず台湾を攻めるので、そのとき日本は、自衛隊はどう対処するのかという文脈で語られがちです。
本書は、侵攻の可能性を単純に予測するのではなく、歴史と軍事の両面から、台湾海峡で長く保たれてきた「現状維持」の構造を分析しています。歴史を辿ると、1949年に国民党政権が台湾へ移って以降、中国は台湾統一を目標とし続け、台湾側もかつては大陸反攻を掲げていました。そこに米国が介入し、中国による台湾攻略と台湾側による大陸反攻の双方を抑制したことで、台湾海峡には現代にも続く独特の危機管理構造が成立したとされています。
台湾の民主化後は、李登輝、陳水扁、馬英九、蔡英文、頼清徳の各政権のもとで台湾人としての政治的主体性が強まり、中台関係はさらに複雑になっていきます。香港で50年間は保障されるはずだった自由が踏みにじられるのを目の当たりにして、中国の統治下に入れば台湾も同じようになると実感する人が増え、より現実的な脅威として受け止められるようになりました。一方で、10年以上前の話ですが、台湾のビジネスマンの本音には、中国との関係強化は大きなビジネスチャンスになるという共通認識がありました。いまはどうなのか、気になるところです。
近年、中国人民解放軍の軍事力が大幅に向上していることはご存じのとおりです。しかし本書は、中国軍が強大化したからといって台湾への全面侵攻が容易になったわけではない現状を、専門家の立場から丁寧に教えてくれます。侵攻する側の難しさは、ウクライナのような近年の事例を見れば理解できます。海峡を越える大規模上陸作戦、補給、台湾軍の抵抗、米国など第三国の介入といった大きな不確定要素もあり、全面侵攻が現実的かと言われれば、疑問符が残ります。もちろん、だから危機がないということではありません。
中国にとって、台湾統一の手段は侵攻だけではありません。軍事的威圧や政治・経済的圧力など、戦争をせずに統一へ近づける選択肢も、昨今の情勢を考えればあり得ます。一方、台湾側も外部からの援助だけに頼るのではなく、中国に侵攻を断念させるような総合的な防衛力を自ら築く必要があるようです。本書が重要だと位置づけているのは、中国・台湾・米国の相互作用によって形成されてきた抑止と危機管理です。強引に現状変更を目指せば大きな損失につながるという認識と状況が、これまで台湾海峡の平和を維持してきました。
ただし、これからも同様に機能し続ける保証はありません。台湾有事を考えるときは、中国がいつ攻めるのかだけでなく、現状維持が崩れる可能性や、この構造が今後も機能するのかを考える必要があります。日本の立場からは、台湾有事への軍事的対応だけでなく、戦争そのものを起こさせない抑止・危機管理の一部として何ができるかが問われているのでしょう。金融市場も台湾海峡も、変化の兆しに赤の点滅信号がついている状態になってきたととらえ、一時停止して冷静に点検する姿勢が大切だと思います。
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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長 株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他 1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。 大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。 2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。 講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















