中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2015.04.20(第7回)
新潟県阿賀町に元氣な糀ばあちゃんあり(山崎京子さんの場合)

 表参道に新潟県の物産館ネスパスがあります。ここで甘酒のつくり方や醤油麹、塩糀の作り方や食べ方を熱弁していたのが山崎京子さん70歳。新潟県阿賀町で明治元年から続く糀屋(こうじや)の女将です。
 娘婿の後継ぎもできて5人のお孫さんの将来を考えている頼りがいのある糀屋のおばあちゃん。実は阿賀町は20年後に消滅するかもしれないといわれている限界集落、そんなことはさせてなるものかと起死回生の策を練り、元気な女性たちと「米糀(マイカ)の会」を結成したところです。
 幸運にも私たちはその第1回の会合で会うことができました。でもばあちゃんというのは失礼かなと思うほど、シミもしわもない白く張りのあるお肌と滑舌の良いシャキシャキの女将、しかもスキーは一級で「私が80歳でワールドカップに出たら、糀の力を知らしめることができるかしら」などと冗談なのか本気なのか分からないですが、このやる気には感心します。
 メダカのがっこうの3つの宣言の最後に「生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になります」というフレーズがありますが、まさにそれを地で行っている方と出会ったと思い、皆さんに紹介させていただきます。

●女将の魅力と麹の効力に魅せられて阿賀町に
 東京での出会いで「糀水」を飲み始めたメダカのがっこうのメンバーが、ほんの3週間ほどで、いつもは180以上あった血圧が130台に下がりました。糀水というのは、水500ccに糀100gを入れて作るのですが、発酵が進まないように冷蔵庫に保管し、その上澄み液を朝晩いただくのです。そこで糀に魅せられた仲間で、糀ばあちゃんの本居地を訪ねました。
 東北道の郡山ジャンクションから磐越(ばんえつ)道に入ってすぐの津川I.C.を降りてほんの5分。山崎糀屋がありました。古いたたずまいを入ろうとすると格子戸は自動ドア、大型冷蔵ケースの横にはモニターが設置されており、女将が甘酒や塩糀やスムージーのつくり方や使い方を説明する映像が四六時中流れています。世の中を動かすために努力を惜しまない姿勢に感心し、ここにも本気でやっている人がいると思いました。
 私たちが到着すると、さっそくウェルカムドリンクとしてスムージーを作って飲ませてくれました。りんご少々、バナナ少々、畑の青菜4〜5枚、これに豆乳少々と甘酒たっぷりを入れて撹拌すること30秒足らずで、2杯分のスムージーが完成。グリーンのさわやかな甘さで、一気に疲労回復しました。
 考えてみれば、江戸時代、甘酒は夏バテ防止ドリンク。お米を酵母が半分消化してくれた大人の離乳食、お米のミルクともいえるものです。ヨーグルトのように動物性の乳酸菌とは違い、お米の乳酸菌は日本人の腸内細菌を元気にするのに適しているのです。このことは、お米の力を最大限引き出そうと挑戦している私たちメダカのがっこうも注目しています。

●玄米中心の一汁三菜の食生活で一族繁栄
 彼女は、糀屋に嫁いできましたが、その当時、糀屋というのは、米1升を受け取って麹1升を渡し、その鞘(さや)をとる商売だったそうです。彼女が頭角を現したのは、長女が保育園の時。母の会で甘酒のつくり方や糀漬のつくり方を紹介しました。毎日の食事は、ご飯と味噌汁の一汁三菜。ご飯は精白されたものではなく、玄米に麦と小豆を8時間以上つけて酵素玄米にしています。食事回数は昔の人に倣って2回。現代の力仕事もしない日常で3食まともに食べると病気になるのは当たり前。出る量より多く食べたらダメ。そして捨てるところのない一物全体の食生活をしています。
 この食生活が間違いないことは、後継ぎの娘さんご夫妻が小学生をかしらに5歳4歳3歳2歳という子供に恵まれ、みんな元気に育っていることで証明されています。

●食べ物で元気になる健康教室
 「生きているものを摂っていれば元氣になれる。元氣になればやる気が出てくる」これが彼女の無策の作です。スーパーに売っているものはみんな生きていないもの。味噌も糀も醤油も漬物も、生きていれば醗酵して袋が膨れて売り物にならず、返品になるからみんな菌を殺してから出荷します。農産物は農薬まみれ、商品は添加物だらけ、こんなものばかり食べていると、身体が病気になって精神も病んでしまう。これは都会の話ではなく田舎でも同じ状況。日本中が病んでいます。ですから甘酒も自分で作って飲むことが肝心。

 糀というのは日本の国菌。糀屋から生きた麹を買って甘酒、塩糀、糀漬、糀水を作って飲むことで、日本人は元気になれる。精神の病からも立ち直る。そうするともう一度みんなやる気が出てくるから、そうしたら限界集落からも、元気のない日本からも自ずと脱却できる。こう考えて彼女は「食べて元気になる健康教室」を始めて、糀ばあちゃんになって頑張っているのです。
 彼女がこれからやりたいことは、阿賀の町という四方を山に囲まれて汚染から守られている地の利を生かして、有機無農薬の里を作ること。それと阿賀町を糀の町として全国に知らしめることです。皆さんも応援して糀ばあちゃんを講演に呼んでください。

 私たちは6月28日(日)13時〜大田区文化の森で糀ばあちゃん山崎京子さんをお呼びして講演会を計画しました。会費3000円です。甘酒と野菜のスムージーも体験できます。関心のある方は、メダカのがっこう事務局 tel:0422-70-6647 fax:0422-70-6648 ホームページからもお申込みできます。ご一緒に生きている糀体験をしましょう!



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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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