中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2015.06.20(第9回)
赤峰勝人は現代の食医だ!――アトピーが治らないわけ

 食医というのは、昔は王様の健康管理をするため、中医学や薬草の知識と実践経験を積んだ人であった。これには「医食同源」というすばらしい考え方が基本にある。中医学では、対処療法の薬は毒性があり長期に使用するものではないので、これを下品薬。次に少し毒性が低く少し長く使える薬を中品薬。長期的に体質改善などに使える薬を上品薬としている。さらにその上に位置するのが体調管理をする食事である。

 「医食同源」に異論を唱える人はほとんどいないだろう。日本で生まれ、世界で認められたマクロビオティックも、自分の体質と現在の陰陽の偏りを知り、何をどう料理して食べたらよいかを判断できる人になるために学ぶ。食には基本的に体を温めるもの、冷やすもの、引き締めるもの、緩ませるものがあり、それを適切に料理して体の陰陽のバランスをとる。身の回りの食で体を立て直すことができれば人間は自由に生きられる。

 ところが、いろいろ勉強し食事に気を付けてもなかなかアトピーは治らない。
 医者にかかると、アレルギーの原因を調べ、卵、乳製品、小麦粉などとわかると摂ることを禁止され、食べる楽しみを奪われた味気ない毎日が始まる。塗り薬はステロイド、一時的にきれいになるが、再び出始めると塗る量が増えていくという悪循環に陥る。これはなぜか。

 ここに赤峰勝人さんというお百姓さんがいる。「百姓」という言葉は差別用語で、自分で自分のことを百姓という以外は使用できないらしいが、私は尊敬の意味を込めて使っているのでお許し願いたい。
 彼は今では中医学もマクロビオティックの陰陽もいろいろマスターしているが、まだこれらの知識がない時に、畑の中ですべての命がまわっているということに気づかされ循環農法を構築した人である。彼は近代農法の土づくり、有機栽培の土づくりなどを真剣に試した結果、草はその土地に足りないミネラルを集めたり原子転換でつくり、枯れては完全な土を作ることを発見した。そして草だけで作った土で、念願の見事なニンジンを育てた。

 その彼は、20年来アトピーに悩んできた一人の女性に治してほしいと頼まれ、医学の知識が何もなくて困ったが、あまりの熱心さに、とにかく畑から教えてもらった命の循環の考え方で、土づくりで分かったことを人間の体にも応用した。すると、実にたった3ヵ月でそのアトピーは治ってしまったのだ。頼んだ女性も女性だが、本当に困っている人には治せる人が分かったのだろう。
 その後、口コミで彼のことが知れ渡り、実に1万人以上の人の食事ノートをみて、食事指導をし、実践した人はみんな治っている。彼は現代の食医なのだ。

 彼がつかんだ循環の世界は、この世に無駄な生も死もない、すべては循環の中で意味がある存在であるという自然観と生命観である。草に関しては先に述べたとおりであるし、虫に関しても、異常に作物を食い尽くす虫がいたとしたら、それは亜硝酸を含んでいる人間にとって毒になる作物であり、それを食べて死んで土に反(かえ)してくれる神虫さんだということだ。

 さてここからが重要だ。赤峰さんの食事指導によると、「循環の輪の中に入っているもの」と「よい塩気」があれば、どんな病気からでも立ち上がれる。
 これは「小腸絨毛造血説」の「千島学説」が根拠となっている。人は小腸で血液が造られているので、小腸が元気であればどんな病気でも食で治すことができる。ちなみに、現代医学は血液は骨髄で造られるという違った立場をとっている。

 赤峰さんの食事指導はまず、「循環の輪に入らないもの」は決して摂らないことから始まる。循環の輪に入らないものとは、化学合成されたもの、例えば、化学薬品。農薬、化学肥料、化学調味料、人工甘味料、合成甘味料、保存料、発色剤、香料などの添加物群。これらは土の中のプラスチックが分解されないように、体の中に入ったこれらの化学物質は分解できないのだ。また、塩化ナトリウム99.6%以上の塩、ミネラルをすべて排除された砂糖、ノルマルヘキサンなどの溶剤で取り出された油など。これらを使用した加工食品なども摂らない。

 しかし私たちは今、この循環の輪に入らない化学合成された物質文明の中で生きているので、これらを排除するとほとんど買って食べるものがない。なぜこんな事態になってしまったのか。それは近代になって私たちが作り上げた化学合成の物質文明が原因だ。私たちは命が循環している地球の上に生かされながら、循環しない化学物質を作り、これを大切な土に、作物に、食品に使ってしまったのだ。地球の中のがん細胞のようなものだ。循環の世界では処理すべき糞尿もゴミも出ないが、循環しないがん細胞の中の世界は、今や廃棄物だらけ、放射能廃棄物も含めて地球を思いっきり汚染してしまった。

 赤峰さんの見解によると、昭和37年以降に生まれた人からアトピーが急増しているそうだ。生まれた時からがん細胞の中にいるのだから、ほんとうにやっかいだ。この中で中医学を学んでも、マクロビオティックを学んで食事を作っても、原料である作物や食品に化学物質が混入している限り、決して治らない。アレルギー物質を排除しても、残りの食べ物に化学物質が混入しているのだから治らない。

 赤峰さんがなぜアトピーを治すことができるか。それは赤峰農場の土から循環を取り戻し、一切化学物質を含まない作物を作り食べさせているからだ。小麦アレルギーの人もここで収穫した小麦ならアトピーは出ない。汚れていたのは土なのである。現代の食医は、地球の循環を知り、清浄な土を取り戻したお百姓さんなのである。

 今回の赤峰さんは、食医の育成を念頭に置いて講演してくださる。まず自分が生きている世界が循環の輪から外れたがん細胞の中であることを知り、循環する世界が夢や理想でなく実現可能な素晴らしい世界であることを知り、次に本当に化学薬品に汚された土、作物、加工食品を清浄なものに変えるための行動に移す。赤峰さんほど現代の食医セミナーの講師にふさわしい人はいない。これらを学ぶことは非常に意味がある。家族の食事をつくる人はみんな家族の「食医」を目指そう。料理人もみんな食医であってほしい。もっと理想をいえば、人はみんな自分の「食医」でありたい。

【お知らせ】
赤峰勝人講演会「現代の食医セミナー―アトピーは自然からのメッセージ」が2回あります。http://npomedaka.net/classroom/lecture
@7月19日(日)13:00〜16:00(会場12:00農薬ゼロ無添加の昼食付)一般5000円 ペア8000円、メダカ会員4000円 ペア6000円
A10月11日(日)(上に同じ 内容は食医セミナーの続きになります。)

7月19日のお申し込みは、メダカのがっこうホームページの参加者募集ショップから。
FAX:0422-70-6648、電話の方は、0422-70-6647 です。



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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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