中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2016.09.20(第24回)
米飴を作ってみてわかったこと

 日本の田んぼを守るために、お米で何が造れるかに挑戦しているメダカのがっこう。お米はもちろん炊いて食べるのが一番おいしいのですが、甘いものもほしい私たちにとって、みりん、甘酒、米飴を、このメダカのがっこう米で作れたら、もっと食生活を楽しめるのではないかと思い、実際に原料から化学物質ゼロのものだけで作る研究をしています。

 甘酒はすでにメダカのがっこう米の米と糀を使い、黒米甘酒、玄米甘酒、白米の普通の甘酒を作ったり、味噌やトマトと合わせて調味料を作ったりしていますが、今回は、お菓子作りに欠かせない米飴を作ってみました。

 先生は、昔は米飴を作っていたというメダカのがっこうの花まる農家の椿さんです。甘酒を日常的に作っている私にとっては、作り方は思ったより簡単でした。もち米を軟らかく炊いて、60度まで冷まし、麦芽を入れて一晩60度を保ち、お米のデンプンが麦芽の酵素で分解され糖化したものを、さらしで濾し、鍋に入れて煮詰めること数時間、水飴状から本当に飴になる過程の好きなところでやめれば、ほしい状態の米飴がつくれます。

 甘さは砂糖の半分ほどですが、ほんのり甘酸っぱいどこかで味わった覚えがあるような懐かしい甘さです。甘さが砂糖の半分ということもあり、今では甘味の主流から外れ、砂糖に注意しているマクロビオティックの人たちや、和食の照りなどに使われています。

 米飴の原料は、お米と麦芽。この2つだけでどうして甘くなるかといえば、お米が持っているデンプンという多糖類の甘さを、麦芽の酵素がブドウ糖という単糖に分解することで、お米から甘さを引き出すのです。麦芽が引き出す甘さは、お米だけではありません。さつま芋でも出来るそうで、椿さんはさつま芋から作った飴の方が味が濃くて好きだそうです。

 この麦芽ですが、麦芽はビール麦か大麦を発芽させたものです。この麦芽も無農薬有機栽培のものを仲間の農家さんに作って貰う約束をしていたのですが、そのビール麦がなくなってしまったとの知らせを貰ってがっかり。ネットで探すと、有機麦芽は日本で生産しているものはなく、ドイツから輸入しているものを購入しました。日本にあるものだけで、基本食材を作ることに挑戦しているメダカのがっこうとしては、本意ではありません。ですが、米飴の作り方を椿さんに教えていただくために、やむなくドイツの有機麦芽を用意しました。この事情を、メダカのがっこうの水口農場の水口さんに話したところ、私の願いを聞き入れてくださり、水口さんの無農薬の大麦を発芽させて作ってみてくれると言ってくれました。また原料から無農薬で、無添加手作りの調味料のレパートリーが増えました。

 それにしても、日本の麦芽が手に入らないこと、麦芽が必要なビール造りでは、地ビールといえども輸入麦芽を使っていることを知りました。ビール作りセットなど、手作りがブームの日本ですが、みんなどうして原料やその中身を気にしないのでしょうか?

 水飴も昔はすべて麦芽で作られていましたが、今は違います。市販の水飴や、原料表示のところに記載されている水飴は、麦芽で自然に糖化した麦芽水飴ではなく、3種類の酵素剤を利用した「異性化糖」です。また甘さが引き出される方の原料ですが、メーカーの多くは、原価の安い輸入のトウモロコシ、ジャガイモ、サトウキビ、廃糖蜜などを使っています。これらは遺伝子組み換えやポストハーベスト農薬の問題があるのです。

 このように、私たちが食べている品目はあまり変わりなくても、和食が世界遺産になったとしても、原料の中身がすり替わってしまっています。お米も塩も味噌も醤油もオイルも、野菜も肉も卵も、命を支えるだけの栄養やミネラルバランスや、数値に表せない生命力がなくなっています。これでは優秀な子孫を残すことはできません。

 例えばお米の中身ですが、今回米飴づくりを教えてくださった椿農場の椿さんは、もう40年以上種を自家採種しています。普通の農家は種は毎年買っています。自家採種していると言っている農家でも、数年に1回は買い替えています。理由は、種もみから育ったお米は種もみより少しずつ劣化していくからです。
 40年間自家採種した種もみでお米を作り続けているということは、スゴイことなのです。前の年より少しでも立派なお米を育てることが出来る人だということです。私たちが、その種を食べれば、お米のたくさんの栄養素とともに、優秀な子孫を作る種の力を頂くことが出来るのです。メダカのがっこうの農家のお米を食べて優秀な子孫を残しましょう。

 米飴づくりに挑戦することで、またまた中身のすり替わっている日本の現状に気が付いてしまいました。自分で作ってみるといろいろなことが分かります。たとえ、人に作ってもらって買う生活をしたとしても、作り方を知っているということは重要なことです。
 命を優先する農家と力を合わせて、生きる環境と安全な食糧に困らない日本を次世代に残せるような先祖になることをテーマとしているメダカのがっこうをどうぞよろしく。自給自足くらぶの活動は、本当に楽しいですよ。生きる力がアップすると自分に自信がつきます。

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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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