トップが語る、「いま、伝えたいこと」
まずは、この度、1月1日に発生しました 「令和6年能登半島地震」により、 お亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、 被災された皆さまならびにそのご家族の皆さまに 心よりお見舞い申し上げます。 被災地域の皆さまの安全の確保を、心よりお祈りいたします。
近年、「ウェルビーイング」という言葉をよく目にするようになりました。
企業も個人も、未来へ向けて、ウェルビーイングを実現していく必要性がどんどん高まってきているという証ですね。
最近の概念かというと、実はそうではありません。はじめて「ウェルビーイング」という言葉が使われたのは、1948年、世界保健機関(WHO)設立の際に考案された憲章に盛り込まれていると言われています。
WHO設立者の一人である施思明(スーミン・スー)氏は、病気を予防するだけでなく、積極的に健康を促進する重要性を提唱しました。そこで、「健康」を機関名や憲章に採り入れるよう提案したのです。ウェルビーイングは短期的な幸せや喜びを意味する「Happiness」や「Joy」とも異なり、人生全般にわたる長期的で持続的な幸せの実現を意味しています。
それからもう、70年以上が経ちました。
人生100年時代と言われるなか、健康維持はもはやゴールではなくなりました。「ウェルビーイング」な状態でいるための必要条件という認識が広がってきています。
ウェルビーイングには、5つの要素が含まれているというのが、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンが考案した「PERMA理論」です。5つの要素の頭文字をとってPERMA理論と名付けられています。
@ポジティブな感情(Positive emotion)
ポジティブな感情を持つことは幸せの指標になるほか、身体的、知的、心理的、社会的な豊かさにつながります。ポジティブな感情とは、希望、興味、喜び、愛、思いやり、プライド、感謝の気持ちなどです。
ポジティブな感情を高める方法として、次のような行動があります。
・大切な人と過ごす
・趣味などの楽しめる活動をする
・感謝していることやうまくいっていることを振り返る
Aエンゲージメント(Engagement)
エンゲージメントとは、仕事などの活動に完全に集中している状態を指しています。この
状態は、フロー状態とも言い表せます。
エンゲージメントを高めるために、
・好きな活動に参加する
・日常の活動や仕事に集中する練習をする
・自分の強みを知り、発揮する……などの行動があげられます。
B他者との良好な関係(Relationship)
他者とは、自分自身の周囲にいる人たち、パートナー、友人、家族、同僚、上司など、属
しているコミュニティーも含まれます。周囲に支えられ、愛され、大切にされていると感
じることが良好な関係だといえます。
他者との良好な関係を築く方法として、
・興味のあるグループに参加する
・相手のことに興味を持ち、もっと理解しようとする
・しばらく関わりのなかった人と連絡を取ってみる……などがあげられます。
C生きる意味や意義の自覚(Meaning)
仕事やボランティア活動、コミュニティー活動などを通じて人生に目的を持つことで幸せを感じることができます。さらには、なにかに挑戦したり逆境を乗り越えたりするときにも役に立ちます。
・目的を見つけたり、組織に入ったりしてみる
・新しくて創造的な活動をしてみる
・だれかの役に立つことに情熱を注いでみる……ことなどが、生きる意味や意義を自覚す
る方法としてあげられます。
D達成感(Accomplishment)
達成感とは、目標に向かって取り組むことや、それを達成すること、そして努力をするこ
とで得られた結果のことです。達成感を味わうと、自信につながり、幸福感が深まります。
達成感を得るために、
・具体的、測定可能、達成可能、現実的、期限付きの目標を設定する
・過去の成功を振り返る
・達成できたときは自分を褒める
このように見てみると、ウェルビーイングには人生さまざまな場面で感じる生きがいや喜び、物質的な満足から精神的な豊かさなども含んでいます。
ところが、いまは“モノ余り”の時代となり、価値観の多様性も進んだことにより、かつての「幸せ」のあり方からすると、コペルニクス的転回ともいうべき変化が訪れています。
私が生まれたのは1964年ですが、その少し前の1950年代あたりからは、家電製品の普及が急速に広がった時代でした。白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が「三種の神器」と呼ばれ、世のお父さんたちは、家族にこれらの家電製品を購入するために必死に働いた……といっても過言ではないですよね。この3つが家にあるということが家族の幸せの証しであり、戦後復興の象徴でもありました。その後、カラーテレビが登場し、洗濯機は全自動となり、冷蔵庫の大型化が始まっていきます。
また、1986年ごろから1991年ごろまで続いたバブル期では、高級住宅や高級車、高額のゴルフ会員権が飛ぶように売れ、大学生が高級ブランドのバッグを持つことも当たり前になるような、いまから考えても、モノに対する半狂乱時代でした。
このように「モノ」を手に入れることが幸せと直結するともいえる時代。つまり「所有欲」を満たすことで得られる幸福の時代が続きました。
しかし、もう生まれたときからモノが溢れている世代、つまり「ミレニアル世代(1981〜1996年生まれで、2000年以降に成人している世代)」やその次の「Z世代(1997〜2012年生まれ)」の人たちは、明らかに「モノ」から「コト」への価値観転換を図っています。「所有欲」から「使用欲」を求めるようになり、さらに「自己実現」こそが幸せと感じる“コト”消費によって心の充足を図る傾向が強まってきたということです。
2021年にZ世代に行ったある調査で、「あなたにとって『健康』の意味とは何ですか?」という質問がありました。実に7割以上が「病気がないこと」と回答した一方で、「心が平和で穏やかなこと」「幸せを感じること」などを選択した人も、なんと半数以上にのぼったのです。世界的にといってよいくらいに、心の課題を抱える人の数が激増している時代であることも、その原因の1つと考えられます。彼らは、カラダの健康と同じかそれ以上にココロの健康を重視する価値観を備えています。SNSの加速度的な普及もあって、刹那的な人間関係に満足する傾向も強いものの、日常生活での確かな人間関係を大切にしたいという観点も大事にしようとしているように感じます。
その背景には、おそらく「多様性」の顕在化と受け入れがあるのではと考えます。障がいを持つ方やLGBTQに対しても、彼らのスタンスは圧倒的に、私たち以前の世代とは異なっていて、自然でスムーズで優れていると言わざるを得ません。そこには、人と比べたり、競ったりするのではなく、異なるからこそ尊重したいという感性が備わっています。もしかしたら、すでに遺伝子レベルで組み込まれているのかもしれませんね。
そこに生まれてくるのが、「自分らしく生きる」感性です。これこそが、ウェルビーイングそのものだといえると思うのです。そこに、未来への課題として必須条件であると登場した概念、サステナビリティとのマッチングが起こります。精神的にも肉体的にも「自分らしさ」を意識すれば、自分に負荷をかけない持続性のある人生を実現できるということです。
そう考えると、ウェルビーイングにおいて、違いや多様性を認め、受け入れることが、とても重要なポイントだといえるでしょう。幸せのあり方はみんな違っていいのですね。かつての画一的な幸せ像はもう消えてなくなり、一人ひとりの異なるウェルビーイングが あることが前提となった時代になったということです。
WHOの健康の定義にある「身体的、精神的、社会的に満たされた状態」というのは、もういまでは少々時代錯誤ではないでしょうか?「その人なりのウェルビーイング」を求めることこそが、幸せにつながっていくはずです。病気や障がいや困難な生活環境があっても、その人その人の健やかな生き方があります。ウェルビーイングは、だから「自分らしく生きること」でないといけないはずです。そして、社会全体がそれを支えられるよう、成長していかねばなりません。
最後に、いま一度、「幸せ」について考えてみたいと思います。
『次世代日本型組織が世界を変える 幸福学×経営学』(前野隆司氏、小森谷浩志氏、天外伺朗氏の共著)の著者のお一人、前野隆司先生は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の教授でいらっしゃいます。幸福学の研究者である前野先生が、同書に記された「幸せの四つの因子」がとても興味深く感じます。
@「やってみよう」因子
A「ありがとう」因子
B「なんとかなる」因子
C「ありのままに」因子
@の「やってみよう」因子は、「主体性」にかかわる因子で、夢や目標に向かって、どんな小さなことでもいいから「やってみよう!」と主体的に努力を続けられる人は、なにも行動を起こさない人よりも幸せになれるそうです。
Aの「ありがとう」因子は、「つながり」にかかわる因子で、私たちは人とのつながりのなかで幸せを感じます。多様なつながりや、利他性(他人のために貢献したい気持ち)が強い人ほど、あるいはそのつながりが同質でなくより多様な方が幸せを味わえることがわかってきました。また、そんな他者とのつながりをつくるうえで欠かせないのが、「ありがとう」といえる感謝の心とのことです。
Bの「なんとかなる」因子は、「ポジティブに考える」ことで、つねに「なんとかなる!」と考えていれば、必要以上に挑戦を恐れることなく、行動に踏み出しやすくなります。そして、自己否定ではなく自己受容を心がけることが幸せでいるためになくてはなりません。
Cの「ありのままに」因子は、自分に集中し、いわば「本当の自分らしさ」を探して向き合うことです。常に人と自分を比べて他人をうらやんでいるのではなく、ありのままの自分自身を受け容れることが、結果的に確固たる幸せを呼び込むカギになるということです。
この「幸せの四つの因子」のなかでも、「自分らしさ」という概念に触れられています。
「幸せ」のあり方、とらえ方が変化してきていることを実感しますよね。
そもそもカラダが「健康」であることが「ヘルス」というとらえ方であったものから、カラダもココロも健康で満たされていることを「ウェルネス」と呼ぶようになりました。そんな時代から、より自分らしく生きることを求める真の「ウェルビーイング」の時代へ。
積極的に自分らしくあろうとする若い世代に学び、さらにさらに多様性が花開く時代に向けて、ワクワク胸躍る思いがするのは私だけではないと思います。
感謝
2024.01.22:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】寛容さを取り戻す (※佐野浩一執筆)
2024.01.15:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】断末魔の資本主義 (※舩井勝仁執筆)
2024.01.08:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】ウェルビーイングと幸せ (※佐野浩一執筆)
2024.01.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】好転する思考法 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長 株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他 1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。 大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。 2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。 講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















