トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2024年1月22日
寛容さを取り戻す (※佐野浩一執筆)

 2019年に大ヒットを記録した映画『翔んで埼玉』。
 読者の中で、ご覧になられた方は、どれくらいいらっしゃるでしょうか?
 私は、もちろん観たのですが、見終わった後、
 大笑いしながら「しょーもなー!」と口にしていました。
 ちなみに、関西弁では、この「しょーもなー」というのは、かなり愛情を込めた表現であることを付け加えておなかいといけません。
 標準語で言うと、「くだらない!」という言葉があてはまるでしょうか……。
 いま、また、この作品の続編『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛を込めて〜』が公開中です。  
 残念ながらまだ観られていないのですが、絶対に観に行こうと思っています。
 この作品で主演を務めていらっしゃるGACKTさんは、何度も「くだらない作品」と発言してこられました、もちろん、愛情込めて、そうおっしゃっていることは簡単に理解できます。
 その「くだらない作品」をいま、この時代に発表することの意義について、GACKTさん自身がどう考えているのか……。そのことについて、双葉社のホームページより引用させていただきます。

(引用開始)
 ゆっくりと余裕たっぷりに腰かけたGACKTさんだったが、質問をぶつけると「うわ、重い質問ですね」と苦笑いしてから、答えはじめた。

「意義ですか、意義はあると思います。今、この時代に必要なことって、寛容さだったり、くだらないことを受け入れる気持ちの大きさじゃないですか? くだらないことや、いや、“くだらないもの”という言葉そのものを表現できる、“くだらないな”と言葉を発することのできる寛容性というか。それって個人の器の問題にもなるんですけど。やっぱり社会も関係してきますよ」

――確かに、「くだらない」と発すること自体が難しくなっている気がしますね。

「今、世の中に溢れているニュースだったり、たとえば炎上したり、問題視されているニュースの、全部とは言わないけれど、そのほとんどって、20年前なら“くだらない”って笑って済ませられることだったりするんですよ。

 過剰に反応して大事件になったり盛り上がったりすることで、攻撃される対象の人たちが増えた。でもそれはなんて言うんだろう、世の中が、もっといろんなことに対して“くだらない”って思えるようになると解決できるんじゃないかなと。いろんなことを難しく考えすぎというか」

――生きづらさを感じている人は多いですよね。

「日本だけじゃなくて、世界的にも言えることですけど、そこまで難しく考える必要があるのかなって。目くじら立てて議論していることそのものに意味を感じないというか。そんなことをやるから、どんどんつまらない世の中になっていくんじゃないかなと、ボクは思うんですけど」

――逆説的ですね。「くだらない」と言えないから、つまらない世の中になっていく。

「そういう意味では、『翔んで埼玉』のような“くだらない”作品を観たあとで、“くだらない”と思える感情って必要だよなと。これがこの作品の意義なんじゃないですか」
(引用終了)

 ご覧になられた方は共感していただけると思うのですが、『跳んで埼玉』という作品を論評したり、解説したりすること自体がナンセンス…。とにかく、ただ「しょーもなくて、おもしろい!」
 天才バカボンのパパに言わせれば、「これでいいのだ!」ということになります。

 どうしてこんなことを書こうと思ったのかといいますと、いまの時代、本当に寛容さがどんどんなくなっていっていて、だからこそ寛容さについて考えてみたいと思ったのです。

 もっとも、ぼくが生まれた昭和39年あたり……、言葉を選ばずに言うと、まさに非寛容の世の中だったのではないかと思えてなりません。障がい者を差別し、血筋・家柄を差別し、顔かたちを差別し、外国人を差別し、人と違った考えを持つ人を差別していました。しかもそれを「差別している」という意識なしに、ある意味あたりまえのこととして世の中が動いていたように思います。だからでしょうか。小学校では、徹底的に差別に関する教育を受けた記憶があります。
 それから60年が過ぎ、世の中には、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」という考え方やアプローチが広まってきました。ダイバーシティは「多様性」」と訳されますが、人々の性別、年齢、国籍などの違いを尊重し、個性を活かす考え方。インクルージョンは「包括・受容」、ときにソーシャルが前について、「社会的包摂」を指すこともあります。そして、これらの多様性を組織内で受け入れ、活用するプロセスを言います。
 見た目はずいぶん変わったようには見えますし、実際に昔よりはずっとずっと「違い」に寛容な世の中に進化してきた一面もあります。
 しかしながら、ネットの中は依然、根拠のない差別や罵詈雑言であふれています。コロナでの“失われた3年間”はとくにそうでしたが、なにかカリカリしていて、たたき合い、落とし合いが横行しています。
 社会に対する漠然とした不安や不満……。
 これも大きく、人の気持ちや感情に影を落としている要因であるかもしれません。私たちはどうしても、自分の置かれた立場に不満を持ち、「もっともっと」と欲求するものですから、「今の世の中は最悪だ」などと考えてしまうのでしょうか……。
 ただ、すべての人に良いところと悪いところがあるのと同じように、時代や社会にも、良いところと悪いところがあります。
 大切なのは、社会の良い点と悪い点を正しく見極め、良い所を伸ばし、悪いところを改良していこうという意志です。もちろん、ともすれば、私たちはよくない点に目が行きがちですから、まさに舩井幸雄の「長所伸展法」が大きなポイントになりそうですね。
 いつの時代も同じなのかもしれませんが、「悪い時代になった。以前はもっと良かった」という思いばかりをつのらせてしまうと、それこそ時代に対する寛容性を欠いた、視野の狭い見方になってしまうのではないでしょうか。
 舩井幸雄は、「エゴからエヴァへ」と伝えました。「いまだけ、自分だけ、お金だけ」ではなく、「未来も、ほかの人たちも、お金以外の大事なものも」大切にしてくことが、エヴァの意識につながると言いました。
 ブッダは、つぎのように教えを残したんですよね……。
「自分の我欲や偏見を捨てて、この世をあるがままに見よ」
 奥の深い言葉です。
 「あるがまま」は舩井もよく伝えていたことですが、これまた実に難解で、奥行きがある言葉ですよね。
 いまの自分の考え方には、「傲慢な我欲に基づく間違った思いが入り込んでいるのではないか」と常に問い続けること。つまり、「そこにエゴはないか?」と問い続けること。
そこに、寛容さを思い出す、あるいは取り戻すポイントがあるようにも思えます。
 そして、前半に書いた「単に面白いことを、面白い」と感じられること。共有できること。「くだらない……」と笑い飛ばせること。
 こんなところから、「寛容さ」を取り戻していけたらと思います。
                              感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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