トップが語る、「いま、伝えたいこと」
「あなたが一番ワクワクすることを、できる限り行動に移しなさい」
バシャールという名前を知らなくても、この考え方をどこかで聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
いまでは「ワクワクすることを仕事にしよう」「好きなことをやろう」「自分らしく生きよう」といった言葉は、それほど珍しいものではありません。
しかし、いまから40年近く前の日本では、かなり異質なメッセージだったと思います。
まして、その言葉を語っているのが「宇宙存在」だというのですから、なおさらです。
バシャールの日本における歴史を考えるとき、忘れてはならない人物がいます。
ヴォイスの創業者、喜多見龍一(本名:堀真澄さん)です。
1987年、喜多見さんが中心となって、アメリカからダリル・アンカ氏を日本へ初めて招聘しました。そのダリル・アンカ氏がチャネリングする存在、それが「バシャール」です。
ヴォイスは東京でワークショップを開催するとともに、その内容を単行本『BASHAR』として「自費出版」しました。当初、書店で扱ってくれたのは新宿の紀伊國屋書店くらいだったそうです。ところが初版1000部は、口コミによってわずか1か月ほどで完売したそうです。
翌1988年、株式会社ヴォイスが設立され、日本では「チャネリング」という、それまでほとんど知られていなかった概念が一種のブームとなっていきました。
考えてみれば、これは不思議な出来事です。
なぜ日本人は、それほどまでにバシャールに惹かれたのでしょう……。
バシャールのメッセージは膨大ですが、初期から一貫しているものを私なりに整理すると、いくつかの柱が見えてきます。
第1は、「ワクワクを生きる」こと。
自分がもっとも情熱を感じる方向へ進む。それは単なる快楽主義ではなく、本来の自分と一致している方向を示すナビゲーションだという考え方です。
第2は、「現実は自分の意識と無関係に存在するものではない」という考え方です。
自分が何を信じ、どのように世界を認識するかによって、経験する現実が変わっていくということです。
第3は、「自分の人生の主体者は自分自身である」ということ。
未来は最初から一つに決まっているのではなく、自分の選択によって変化していく……。
そして第4は、「自分自身を肯定し、許す」こと。
誰かに認めてもらわなければ価値がないのではない……。自分が自分であることそのものに価値があるということになります。
これまで見てきたように、“宇宙人”という当時の私たちにとっては異質で奇抜な入口とは裏腹に、語られている内容は、驚くほど人間的なのです。
ここで私にとって非常に興味深いのが、舩井幸雄との接点です。
舩井は1980年代末、当時の船井総研社長だった小山政彦さんから、「実に考えさせられる本ですよ……」と『BASHAR』を手渡されました。
そして後年、自ら「新鮮な感動をおぼえた」と書き残しています。
さらに喜多見さんや翻訳に携わった関野直行さんとも交流を深め、バシャールについて積極的に紹介するようになっていきます。
私はここに、舩井幸雄とバシャールの不思議な共通点を感じます。
舩井幸雄は「長所伸展」を説きました。
欠点を直すことばかり考えるのではなく、その人が本来持っている長所を伸ばす。
「好きなこと、得意なことを伸ばそう」とも言いました。
さらに「素直」「プラス発想」「勉強好き」を成功者の条件としました。
一方のバシャールは、
「もっともワクワクする方向へ進みなさい」と語ります。
表現は違います。
しかし両者とも、人間を外側から矯正しようとするのではありません。
その人の内側に、すでに答えがある……。
そこを信じている点が、両者に共通しているのです。だからこそ舩井幸雄は、バシャールを単なる「宇宙人の話」として片づけなかったのではないでしょうか。
その影響は、さらに広がっていきます。
本田健さんは後にバシャールと直接対話し、『未来は、えらべる!』(ヴォイス)を出版しました。そこでは「ワクワク」だけでなく、夢、運、お金、人間関係、豊かさなど、私たちの日常生活にバシャールの考え方を落とし込んでいきました。
宝地図の望月俊孝さんも、まだ現在ほど精神世界や自己啓発というジャンルが一般化していなかった1990年代初頭から、ダリル・アンカをはじめ海外の講師を日本へ紹介する活動に携わっています。
さらに須藤元気さんをはじめ、多くの著名人がバシャールと対話し、それぞれの世界観の中にその思想を取り込んでいきました。
こうして考えると、バシャールが日本に与えた影響は、単なる一冊のベストセラーの影響にとどまらないと考えます。一人から一人へ伝わり、その人がまた別の場所で自分の言葉として語る……。いわば「思想の触媒」になったのだと思うのです。
ここからは私なりの仮説です。
バシャールが日本人に受け入れられたのは、その思想がまったく新しかったからだけではなく、むしろ逆に、日本人が昔から持っていた感覚の一部を、現代的な言葉で呼び覚ましたからではないかと思うのです。日本には昔から、自然と人間を完全に切り離さない世界観があります。山にも、川にも、木にも、石にも、何らかの「いのち」を感じる……。
自分という存在も、宇宙や自然から完全に切り離された孤立した存在ではない……。神道にも仏教にも、こうした「つながり」「結び」の感覚があります。「自分だけが存在しているのではない」「すべてはつながっている」という感覚です。
そこへ、バシャールは、「波動」「共鳴」「周波数」「シンクロニシティ」「ワクワク」という新しい言葉を持ち込みました。もちろん、これらを科学的事実として扱う場合には慎重な区別が必要です。しかし、人生観として考えれば、「自分を整えると、世界との関係が変わる……」という考え方は、日本人にとってまったく未知のものではなかったように思います。むしろ「知っていたことを、別の言葉で思い出させてもらった」のではないかと思うのです。それが、バシャールが日本で広がった理由の一つだったのではないでしょうか。
あれから約40年が経ちました。
2026年にヴォイスから刊行された『BASHAR 2050』(おススメです。購入はこちらから→https://x.gd/Qfnzt)を読むと、バシャールの受け取られ方が変化していることに気づきます。登場するのは宮増侑嬉さんと物部彩花さん。
宮増さんとの対話では、顕在意識と潜在意識、分離の感覚、魂、そして「宇宙の源とつながる」というテーマが前面に出てきます。一方、歌手である物部さんとの対話では、「声」「振動」「周波数」「共鳴」が重要なキーワードになります。
ここが実に面白い……!
1980年代の日本人がバシャールから強烈に受け取った言葉が、「ワクワク」だったとすれば、現在の二人が受け取っているものは、「共鳴」ではないかと思うのです。
自分一人が成功するのではない……。
自分の周波数を整え、他者と響き合い、世界そのものと共鳴していく……。
『BASHAR 2050』には「ホモ・サピエンスからホモ・ギャラクティクスへ」という大胆な言葉も登場します。これを文字通りの未来予測として読むだけでは、この本の面白さを取り逃がしてしまうように思います。
私にはむしろ、「人間を、もっと大きな関係性の中で捉え直しなさい」という問いかけのように感じられるのです。
1987年。
喜多見龍一さんが日本に持ち込んだ、一見すると途方もない「宇宙存在からのメッセージ」。
それから約40年……。
時代も変わりました。バシャールを取り巻く人も変わりました。
しかし、不思議なほど変わっていないものがあります。
それは、「あなたは、本当に自分の人生を生きていますか?」という問いです。
他人の期待ではなく、社会の常識でもなく、恐れでもなく、自分の内側から湧き上がってくるものを信じて生きることができるのか……?
考えてみれば、これは宇宙人でなくても発することのできる問いです。けれども、あえて「宇宙」という、とてつもなく遠い場所から人間を見ることで、私たちはかえって「自分とは何者なのか」を考えさせられます。だから私は、バシャールという存在について考えるとき、「本当に宇宙存在なのか」という問いだけでは少しもったいないと思っています。
重要なのは、そのメッセージを受け取った人間が、どう変わったのか?
喜多見龍一さんが動いた……。
舩井幸雄がそこに何かを感じた……。
本田健さん、望月俊孝さんをはじめ、多くの人たちへとその波紋が広がった……。
そして約40年後、宮増侑嬉さん、物部彩花さんという新しい世代が、また違った角度からバシャールと向き合っている……。
もしかすると、バシャールが私たちに与えた最大のものは、「答え」ではなかったのかもしれません。自分の外側に答えを探すのではなく、自分自身の内側に問いを向けること。
「私は何にワクワクするのか」
「私は何を信じているのか」
「私はどんな世界を選びたいのか」
そして、
「私は、本当はどう生きたいのか」
そう……、自らの問いなんです。40年たっても、この問いは少しも古くなっていません。
むしろAIが答えらしいものを瞬時に提示してくれる時代になったからこそ、自分の内側にある感覚をどう信頼するかという問いは、ますます重要になっているように思います。そう考えると、バシャールの言葉は「宇宙からのメッセージ」でありながら、最初から最後まで、実は徹底して「人間の生き方」の話だった……のではないかと思えるのです。
私がもしこれからの人生の中で、バシャールに質問をすることを許されたなら、きっとそのことを問うてみたいと思っています。
感謝
2026.09.21:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】実践的な脳科学 (※舩井勝仁執筆)
2026.09.14:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】出版業の未来 (※佐野浩一執筆)
2026.09.07:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】経済成長 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 あたみ・パンダの森ほいくえん 学園長 株式会社ヴォイス 代表取締役会長 他 1964年8月5日、大阪生まれ。大阪府立北野高等学校、関西学院大学法学部政治学科卒業。 大学卒業後13年間、私立中高一貫教育校の英語科教員として従事。2001年4月、株式会社船井総合研究所に入社。舩井幸雄より「人づくり法」の直伝を受け、企業幹部向け研修「人財塾」として体系化、その主幹を務め、経営者向け、社内研修向けに150回以上の講演、研修を実施した。2003年4月、株式会社本物研究所を創設し、代表取締役社長(現在会長)に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓もう、普及活動を行う。また、2008年にライフカラーカウンセラー認定協会を、2012 年5月には株式会社51 Dreams’Companyを、2015年9月に株式会社51コラボレーションズを設立。(2023年本物研究所と合併)さらに、2015年1月、舩井幸雄の思想、哲学を世に広めるために、公益財団法人舩井幸雄記念館を設立し、代表理事となる。2021年2月には、株式会社51メディカルを創業。そして、2022年11月、小規模保育事業B型として、「あたみ・パンダの森ほいくえん」を設立。学園長に就任。 2026年6月にヴォイスグループ5社を経営統合し、代表取締役会長に就任。現在に至る。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく 幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた 船井幸雄のすべて』(成甲書房)、『本物の法則』(ビジネス社)※船井幸雄との共著、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(きれい・ねっと)※舩井勝仁との共著、『幸せになる働き方の法則』(創藝社)、『舩井幸雄の魂が今語りかけてきたこと』(ヒカルランド)※矢山利彦氏、舩井勝仁氏との共著がある。 講演は、年間講演、研修多数。会社経営、学校経営、幹部育成、健康、食育、カウンセリング、話し方など、幅広いテーマで多数の講演を行っている。 |











株式会社船井本社 代表取締役社長



















