“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2023.09
インフレ時代の到来

「下がり方が少しゆっくりめかなという雰囲気はある」
 9月23日、上がり続けている日本の消費者物価に対して、日銀の植田総裁は自らの想定していた「物価は年末にかけてなだらかに下落していく」という予想に対して、現実に起こっている物価高の継続が想定以上に長引いているとの見解を示しました。
 植田総裁は就任当時から現在の日本の物価高は年末にかけて徐々に収まっていくとの見方を何度も述べていました。日銀自体も年初の段階で来年の物価上昇率は1.6%と予想、植田総裁就任後は来年の物価上昇率を1.9%と予想しています。これに対して現在の日本の消費者物価は3.1%の上昇、更にエネルギーと食料品を除く指数では4.3%の上昇となっています。全く日銀の予想とかけ離れた物価高が続いています。既に日本の消費者物価は日銀が目標としている2%を17カ月連続で上回っているどころか、肌感覚では実際には目標の2%をはるかに超える物価上昇をあらゆる人が感じているはずです。

●今回の物価高について
 朝倉は昨年から一貫して「今回起こってきた物価高を甘く見てはいけない」「今回の物価高は簡単には収まらない」「日銀は早めに手を打つべきである」と主張、YouTubeや講演会、レポートなど様々なツールを通して強く主張してきました。朝倉は昨年から一貫して日銀の物価見通しの甘さを批判し続けてきたのです。現実に起こっていることは日銀の後手、後手の政策対応であり、日銀は全く先が読めていない現実があります。日銀は年4回出す展望レポート発表の度に、現状を後追いして物価目標を上方修正し続けているという有様です。
 日本の8月の消費者物価動向を詳しく見てみましょう。
 われわれが最も身近に感じている食料品の価格ですが、生鮮食品を除いて前年同月比9.2%の上昇です。これは26カ月連続で前年水準を上回っています。これは誰でも感じ取っていることで、10%をはるかに超える食料品の上昇はもはや日常の普通の光景です。酷いのは卵の35.2%の上昇、この卵などは従来物価の優等生と言われ、常にスーパーの特売品となり、数十年に渡って値段が上がることはなかったのです。ヨーグルトは14.6%の上昇、アイスクリームは12.7%の上昇、更に10月になるとビールなど酒類の値上げが待っています。調味料は10.5%の上昇、カップ麺は9.5%の上昇です。これらは食料品上昇のほんの一部にしかすぎません。2人以上の世帯が食料品にかける金額は当然のことですが、17カ月連続で前年同月を上回っています。
 ガソリンの上昇もキツイところです。リッター180円を超えてきて、これは政府が補助金を出すことで今後抑えられますが、政府の想定している値段も175円であり、従来のガソリン価格のイメージとはかけ離れた価格が続くのです。忘れてならないことはここまで政府は膨大な補助金を出し続けてガソリン代や、電気代やガス代を本来の水準よりかなり低く抑えてきたという現実です。ガソリンなどは仮に政府の補助金がなければ、一番高いときはリッター225円にまで膨らんでいたのです。政府はガソリン代や電気代、ガス代に約9兆円という巨費を投下して価格を必死で抑えてきたのです。これでよかったと思ったら大間違いです。
 この補助金は永遠に続けられるわけではないので、状況が落ち着けば、補助金は減額、あるいは撤廃されていきます。ということは、現在誰でも感じているガソリン代や電気代やガス代の高さは、これが安くなることなどあり得ない、今後これらガソリン代や電気代、ガス代は高くなることはあっても安くなることなど永遠にないと思った方がいいでしょう。これがこれから我々が遭遇するインフレ激化という現実なのです。9兆円と言えば消費税3.6%に換算される巨額な金額であり、政府は一時的に補助していても、これは国民の税金で支払われるしかなく、今後このつけが日本の全国民に降りかかってくるわけです。

 そもそもどうしてこれほど物価が高くなってきたのでしょうか?
 政府は海外の物価高が日本に襲ってきたコストプッシュインフレだと説明しています。
 昨年はロシアによるウクライナ侵攻などもあり、原油価格は暴騰してしまいました。そのため国際的な資源価格が暴騰してしまい、この結果としてあらゆる物価が高騰してしまったということがあります。これは世界情勢の変化から多くの国民がやむを得ないと思っていることでしょう。ところが原油価格の推移をみると、確かにロシアがウクライナ侵攻した直後、原油価格は130ドルに達し、世界中であらゆる物価が上がってしまいました。ところがその原油価格は昨年中に大きく下がり一時は60ドル台にまで下落、半分にまで下がって、実はロシアがウクライナ侵攻する前の時点まで原油価格は下がったのです。現在90ドルまで再び上がってきましたが、とにかく原油価格はいったんは大きく下がったのです。それでも物価は全く下がっていません。日銀の植田総裁はかような資源価格をはじめとする海外からくる物価高の勢いが収まってくるから日本の物価も年末にかけて収まっていくとの考えだったと思いますが、現実には物価は下がるどころか上がり続けているのが実情なのです。ここで日本の中で何かが変わってきた、何か根本的な物価高を引き起こす要因が起こってきたと感じ取らなければならないのです。

●なぜ日本の物価高が収まらないのか
 一つは円安です。2011年東日本大震災の時、ドル円相場は一時75円まで高騰しました。わずか12年前のことです、地震で圧倒的な被害を受けた日本の通貨が、意外なことに当時は大きく買われていたわけです。コロナが発生した2020年の段階でもドル円相場は100円台でした。それが今見てください、先週段階でドル円相場は148円台と円安が止まらないのです。
 普通われわれは為替相場を見るときに主にドルとの関係をみることは多いのですが、実は円はあらゆる通貨に対して安くなり続けているのです。2020年からの円の下落率を主な国の通貨と比較してみてみると、円はユーロに対して38%の下落、英ポンドに対して50%の下落、韓国ウォンに対して32%の下落、フィリピンペソに対して30%の下落、インドネシアルピーに対して48%の下落、スイスフランに対して56%の下落です。このスイスフランとの比較では2000年時点で円とスイスフランは世界で最も安全で強い通貨とみられていたわけで、その時に比べて円はスイスフランに対して3分の1の価値しかなくなってしまったのです。まさに円の大暴落です。直近で日本国内の金価格が1グラム1万円に乗せたことが話題となっていますが、これも国内の金価格が2020年から倍化しているわけで、その主因の多くは円安によるものなのです。円が安くなったので外国人から見ると日本は何でも安く、自国通貨で多くのものが買えますので、訪日客が爆発的に増えているわけです。なんてことはない、日本が貧乏になったから訪日客が増えているわけです。
 「円の実力 過去最低」
 9月22日、日経新聞は国際決済銀行(BIS)が発表した8月の円の実質実効レートについて報道しています。
 実質実効レートとは円の真の実力を示す通貨の指標です。普通為替レートは対ドルとか対ユーロとか相手国との関係でレートが決まります。そのため対ドルでは上がった、下がったということがわかりますが、世界全体の通貨全体に対して円がどのくらいの水準なのかはわかりづらいところです。それがわかるためにBISが実質実効為替レートを算定しています。そのBISによると8月の円の数値は73.19となって、この数値は過去最低ということです。過去最低ということは1970年時代の1ドル360円だった時代よりも円が実質安くなってしまったということなのです。因みに円の実質実効レートは1995年、阪神大震災があった年ですが、この時193となっています。ということは現在73.19であり、当時より円の実力は62%も減価しているということなのです。62%下落です!半分以下です!自国の通貨の価値がこれほど下げれば、日本国内でインフレによる物価上昇が起こるのは当然の帰結ではないでしょうか。現実に昨今の円レートの推移をみると、円より安くなっている通貨はアルゼンチンとかトルコであり、共に年間120%、60%のインフレに苦しんでいます。まさにかような通貨価値の減価による国内のインフレ加速は日本にとって他人事ではないのです。
 ですから朝倉は一貫して今回の日本のインフレは決して甘くみてはならず、預金などしていては大変なことになり、積極的に株を買うべきと強く主張してきました。日本の主力企業は国際展開していて輸出で稼いでいるわけですから当然ドルや他通貨で得られた利益は円換算で考えれば大きく膨らんでいるわけです。株が上がるのは当たり前のことではないでしょうか。このような現実が次々と進行しているにも関わらず、現在のインフレ加速に目をつぶり預金して固く財産を守ることこそが正しいと思っている人が日本人の大多数なのには驚きます。
 日本には完全にインフレ時代が到来しようとしています。ここ数十年、日本では日銀や日本政府があらゆる手立てを講じても決してインフレが起きなかったわけです。ところがその日本が突如40年ぶりのインフレに襲われてきているという事実は極めて重要なことなのです。この変化を決して甘く見てはなりません。日本のインフレは始まったばかりであり構造的なものです。今後あらゆる人が驚愕するような物価高が襲ってくると覚悟しなければなりません。株式投資や海外への投資、とにかく住宅ローンの変動金利から固定金利への変更など各々の人がやらなければならない重要なことが多々あります。デフレ時代は終わって、ついに日本にもインフレ時代がやってきました。「最も強い者が生き残るのではない、最も賢い者が生き残るのではない、唯一生き残るのは変化に対応できる者である」
 ダーウィンの言葉が重く響きます。

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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