中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2019.02.20(第53回)
種子法廃止後、最新状況をご報告します。

 2017年3月に種子法廃止が決定し、2018年4月から廃止が施行されている主要農産物種子法のことはご存知と思います。その後、法的根拠を失い種子生産に国の予算がつかなくなることと、今まで積み上げてきた種子生産の知見を民間企業に渡すように農水省から通達がありました。この状況から各県の種子生産を守るため、主要農産物種子生産条例が制定、施行されています。

●各県の種子条例の状況
 現在すでに制定・施行済みの件は5県、兵庫県、新潟県、埼玉県、山形県、富山県です。兵庫県は酒造のための酒米を守るため、新潟県、山形県は米処として、埼玉県な農業県として、富山県はコシヒカリを筆頭に米の種子生産を守るために早い動きでした。
 後に続いて現在制定予定の県は4県、北海道、長野県、岐阜県、福井県、宮崎県で、今年4月施行を目指して動いています。その他の県は、栃木県、千葉県、福岡県が準備中です。合わせて12県で県条例ができる見込みです。もし20県を超える県で条例が作られれば、国は予算措置をせざるを得ないだろうと言われています。
 中央と違い、地方の議員は自民党議員でも正常な感覚が健在で、種子法廃止がいかにおかしいことかが分かるようです。

●栃木の農家たちが熱い
 2月17日「種子の会とちぎ」の公開シンポジウムに参加してきました。すでに制定済みの県の農家や、準備中の県の農家たちも情報交換に集結しました。栃木県の農家も消費者も立ち上がり、会場は人があふれていました。
 栃木県はメダカのがっこうと活動を共にしている民間稲作研究所の稲葉光國理事長を中心に、条例案を練り上げ、今までの内容の他に、遺伝子組み換え作物の栽培にあたり県の許可が必要になるような条文を加えてあります。栃木県は大豆の生産が多く、大豆は花が咲く時期が同じものの間で容易に交配が起こることから、一度遺伝子組み換え大豆の栽培が行われたら、必ず交配が起こり、有機大豆とは言えなくなることが分かっています。遺伝子組み換え栽培については、花粉の飛散距離から考えて、栃木県だけが制定しても効果はないので、全国で足並みをそろえなければなりません。

●自家採種原則禁止の異常さ
 種子法廃止した国は、次に種苗法を改正(改悪)し、自家採種を原則禁止にしようとしています。種苗法は主に種子の開発者の知的財産権を守る法律です。これは開発者の苦労や投入した資金を考えれば、必要な法律で、本来悪いものではありません。ここで、1978年に種苗法という法律の制定に関わった方が、自家採種原則禁止について大変な違和感を感じて、述べておられる言葉をご紹介します。
 「今問題の農家の自家増殖に関していえば、1978年に成立した種苗法では、まったく制限しなかった。なぜかって? 当然ですよ。当時はそんな考えはなかった。種苗法は農家育種、農家と一体的に作ったものなんだから。農家はいいものをつくろうとタネ採りをするものでしょ。新品種というほどの変化はなくたって、たんに増やしているわけじゃない。そして、タネ屋がいい品種をつくれば、そのタネをちゃんと買う。実際、当時から自家採種だけで経営している農家なんてそういないでしょ。だから自家増殖を制限するのは、事業として種苗を生産、販売しているところだけでよかったわけ。ですから 農家の自家増殖は原則自由が当たり前なのです。」

●農家育種の貢献のおかげで今の多様な品種がある
 種子ははじめ、各地方の各農家にわたった時は同じ品種でも、その地方の風土によって変化していきます。地元においしい在来種があるのは、主に農家が自家採種を繰り返しながら、地元に合う品種に育ててくれたおかげです。今は全く違う味や形をしている広島菜や野沢菜や高菜ですが、どちらもアブラナ科で、大阪天王寺の蕪の種子を播いたところ、蕪が出来なくて葉だけが育ったとか、寒さや風土によって姿かたちを変えていくのが植物の面白いところです。大豆はもっとたくさんの地元の在来種に枝分かれしています。
 これらは農家の方たちが手に入れた種子を栽培しながら品種改良していったり、小さな種屋が改良したものです。
 今、私たちが各地の美味しい品種が食べられるのも、少しでもおいしい品種に改良しようとする熱心な農家育種のおかげなのです。自家採種原則禁止は、その根源を変えてしまう本当に異常なことなのです。

 種子についての最新の動きをご報告しました。日本は現在、国民のことを考える政治家がいなくなり、多国籍企業のお金オンリーの人たちに乗っ取られています。彼らは、水や種子など命の関わることでお金儲けをする戦略を立て、それがほぼ完成に近づいています。
 地球の富を作ってきた植物を制することはできないと思いますが、安心はできません。
 一番危ないことは、私たちが自家採種して種を播くことを忘れてしまうことです。日本の農家の自家採種率は10%以下です。種を播いたり、種子を交換したりする行動で、既成事実を作りましょう!そして各県の動きを心の中で応援してください。
 舩井幸雄ドットコムの読者の皆様が良い波動を送ってくだされば、もっと良くなると思います。


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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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