ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。
イラン戦争の打撃で、湾岸諸国から投資が世界的な規模で撤退している。この動きが今後の金融市場に与える影響を紹介する。
明らかに、アメリカとイスラエルが引き起こしたイラン攻撃はうまくいっていない。イラン戦争は次の第三段階に突入しつつあり、アメリカにとっては泥沼化する可能性が大きくなっている。
・第1段階:戦術的成功
精密誘導爆弾がほぼすべての目標に命中し、指導者を殺害する。軍事的には100%の成功だ。しかし、これが「政権交代」という達成不可能な戦略的目標に結びつくと、戦略的な失敗へと変質する。また、イランの濃縮ウランの管理も達成できていない。
・第2段階:敵の反撃(水平的エスカレーション)
敵が激しく反撃に転じる段階だ。イランはペルシャ湾諸国に損害を与え、海運を95%以上減少させた。彼らのドローンは精密兵器であり、効果的にタンカーを攻撃している。
・第3段階:地上軍投入のジレンマ(現在の段階)
スマート爆弾で目標を叩いても政権は崩壊せず、むしろ以前より強固で危険な存在になっている。ここで「さらに攻勢を強めるか、撤退するか」の決断を迫られる。もし地上軍の投入といった一線を越えれば、泥沼のベトナム戦争のような長期戦に突入する。
イランは周辺諸国の攻撃とホルムズ海峡閉鎖のためには、大きな兵力も軍備も必要としていない。わずかのドローンとミサイルがあれば十分だ。
現在、米海兵隊第31海兵遠征部隊がホルムズ海峡に向けて前進、米空母トリポリが作戦地域に接近しつつある。また、USSボクサー、USSコムストック、USSポートランドが第11海兵遠征部隊を乗せて、西海岸を出航。ペルシャ湾に向かっている。さらに、第82空挺師団が動員される模様だ。トランプはイランがホルムズ海峡を完全に開放するまでの最後通牒の期限を5日間延期したが、これはすべての米軍地上部隊がペルシャ湾に結集するための時間稼ぎのためだとも考えられている。
こうした状況の中、UAE(アラブ首長国連邦)、バーレーン、カタール、クエート、サウジアラビアなど米軍基地がある湾岸諸国へのイランの攻撃は続いている。米軍基地のみならず、石油関連施設への攻撃も実施され、これらの諸国に相当程度の経済的打撃を与えている。深刻な状況だ。イランは、アメリカが同国のエネルギー施設の攻撃に踏み切れば、淡水化プラントをはじめ、湾岸諸国の生命線のインフラを攻撃するとしている。ホルムズ海峡も封鎖され、原油の積み出しはできなくなっているので、その影響は計り知れない。
●世界から撤退する湾岸諸国の投資
これにより、湾岸諸国(GCC)の投資戦略は「対外拡散」から「国内防衛・生存戦略」への劇的な転換を余儀なくされているのが現状だ。最新の統計と経済指標に基づき、投資の流れの現状を見て見よう。
1. 湾岸諸国経済への直接的打撃
イランによるドローン・ミサイル攻撃がカタールのLNG施設、サウジアラビアのラス・タヌラ製油所、アブダビのインフラを直撃したことで、実体経済に深刻な影響が出ている。
・GDPへの影響(2026年予測値)
カタール、クウェート
ホルムズ海峡封鎖が2ヶ月継続した場合、GDPの最大14%が失われると予測される。
サウジアラビア、UAE
同条件でGDPの3%〜5%の損失が見込まれる。
・エネルギー価格の急騰
紛争開始前の2026年2月27日と比較し、3月12日時点でブレント原油価格は39%上昇した。
2. 投資の流れの変化:3つの主要動向
莫大な政府系ファンド(SWF)を背景に世界中で投資を展開してきた湾岸諸国だが、現在はその資金を足元の安定に振り向けている。
A. 「安全な投資先」としての評価失墜と資本流出
これまで「中東の安全地帯」とされていたドバイやアブダビが攻撃対象となったことで、外国人投資家のマインドは冷え込んでいる。そのため紛争開始後、ドバイ株式市場は15%以上下落。特に不動産大手のエマール・プロパティーズは30%安を記録した。これを背景として、湾岸諸国からのキャピタル・フライトが活発化。 「資本は臆病である」という格言通り、域外への資本逃避が加速している。
B. 防衛・安全保障への投資集中(軍事シフト)
対外的なテック投資やスポーツ買収に代わり、自国の防衛力強化が最優先課題となっている。次世代防空システム、レーダー、弾薬の国内生産、およびドローン対策技術への投資が急増している。同時に、攻撃に強い「要塞化された」エネルギー施設や海水淡水化プラントの建設、物流網の再構築に巨額の予算が付け替えられている。
C. 国内社会保障と経済的自立への回帰
紛争による物価高騰から国民を守るため、投資の矛先が国内に向けられている。食料自給率(現在湾岸諸国(GCC)は砂糖100%、米77%を輸入に依存)を高めるための農業テック投資や、国民への補助金支出が優先されている。さらに、GCC内の経済的に脆弱な国を支え、域内の結束を維持するための「戦略的支援投資」が活発化している。
3. 具体的な数値で見る投資・経済指標(2026年3月現在)
紛争前と紛争後でデータを比較すると、次のようになる。
紛争前(2026年初頭/紛争後(2026年3月現在))
・ブレント原油価格 約$60 /バレル $85以上(約$25の地政学リスク・プレミアム)
・GCC平均経済成長率:3.25% /- 4.5%(予測)
大幅な下方修正が不可避、地域によりマイナス成長も
・ドバイ株価指数 安定推移 /15%以上の下落
・肥料価格(尿素等)安定/25%〜30%の上昇(ホルムズ海峡依存のため)
このように湾岸諸国は現在「グローバルな投資プレーヤー」から「生存を賭けた地域防衛者」へとその姿を変えている。サウジアラビアなどは、イランに近い東部を避け、地理的に距離のある西部(紅海沿岸)への投資を加速させることでリスクの分散を図る動きも見せている。
この影響は計り知れない。世界経済への投資供給源であった彼らの資金が内向きになったことで、世界のAI開発やインフラ整備における資金調達環境も、今後数年にわたり厳格化すると予想されている。
●湾岸諸国の政府系ファンドの動向
このような動きで、湾岸諸国の政府系ファンド(SWF)の資金の流れに大きな変化が生じている。最新のデータに基づき、SWFの資金流出入と投資配分の変化を具体的な数値で見てみる。
1. 資産規模と運用益の急減
GCC諸国のSWF(PIF、ADIA、QIAなど)は、2025年末時点で世界のSWF総資産の約15%を占める巨大な存在であったものの、紛争開始によりその収益基盤が揺らいでいる。
サウジアラビアのPIF(公共投資基金)は、アラムコ株の16%を保有している。アラムコが2025年度の配当を約1/3削減し、845億ドルに抑えたことで、PIFは少なくとも60億ドル(約9,000億円)の直接的な収入減に直面している。
このように、2025年末に15.2兆ドルという過去最高記録を更新した世界のSWF資産だが、2026年3月の紛争勃発後、中東ファンドによる新規の対外投資は急ブレーキがかかっている。
2. 資金配分の劇的シフト:対外から国内へ
サウジアラビアの「ビジョン2030」などの国家改造計画を維持しつつ、戦時下のインフラ防衛を両立させるため、投資の優先順位が書き換えられている。
A. 国内インフラ・防衛への資金還流
資本支出(CapEx)の削減と再配分が起こっている。サウジアラビアは2026年の予算で、非効率な大規模不動産プロジェクトなどを後回しにし、資本支出を約15%削減する方針を示した。この浮いた資金(約440億ドルの予算赤字補填を含む)は、以下の項目に充てられている。
・食料・エネルギー安全保障:ホルムズ海峡封鎖による食料自給率向上への投資(農業テック、物流網の冗長化)。
・防衛能力の強化:ドローン対策や防空システムなど、国内軍事産業への投資加速。
B. 対外投資の「選択と集中」
かつての広範な投資スタイルを捨て、戦略的価値の高い分野にのみ資金を絞り込んでいる。
AI・先端技術への投資凍結:2025年には中東SWFが世界全体の取引の43%(1,190億ドル)を占めたが、2026年3月以降は、AIインフラや半導体など、国家の競争力に直結する分野以外への投資は凍結に近い状態にある。
資産の売却リスク:ゴールドマン・サックスの予測では、湾岸諸国は戦費や国内経済対策の資金を捻出するため、外国政府債券、非戦略的不動産、デジタル資産などの売却(セルオフ)を検討している。
3. 主要経済指標の変化(2026年3月時点)
これらを表にまとめると次のようになる。
紛争前(2026年2月初頭)/紛争後(2026年3月最新)
・サウジアラビア予算赤字 GDP比 約3%台/GDP比 6%(推計最大値)まで拡大
・中東SWFの新規対外投資額 月平均 約100億ドル規模/50%以上減少(国内回帰のため)
・ドバイ株式市場指数 安定/15%以上の下落
・原油価格(ブレント)約$60/バレル $120超(一時的急騰)
このように湾岸SWFの資金は現在、ニューヨークやロンドンの金融市場から、自国の「物理的な安全性」と「社会的な安定」を守るためのプロジェクトへと引き揚げられている。このオイルマネーの逆流により、世界のテック企業やスタートアップが期待していた巨額の資金供給源が、かつてないほど細っているのが現状だ。
では、湾岸諸国の投資撤退は近い将来、世界的な金融危機を引き起こす引き金になるのだろうか? 広域的な流動性危機が発生する確率はいまのところ中程度(40%〜50%)であるが、今後2週間から4週間以内にホルムズ海峡が開放され、閉鎖が長期化するか、あるいはサウジの主要施設が壊滅的打撃を受けた場合、その確率は80%以上へと跳ね上がる。
もちろんこれは、日本にも甚大な影響を及ぼすことは間違いない。
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社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』
(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』
(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
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