トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2021年6月28日
舩井幸雄の『至誠』と『慈愛』 (※佐野浩一執筆)

「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり。」
(至誠をもって対すれば動かすことができないものはない。)
 吉田松陰先生がよく口にされた言葉だそうです。
 ちなみに、辞書には次のように載っています。
「きわめて誠実なこと。また、その心。まごころ。」
 もう少し掘り下げてみましょう。たとえば、「至誠で生きる」といえば、「一瞬一瞬に自分の存在を賭ける」ことかもしれません。また、「至誠の心」といえば、「物事に真剣に対処する」「相手の立場を思いやる」ということになるかもしれません。あるいは「言行一致」なのかもしれません。あるいは、「損得ではなく善意で判断する」「相手に要求することは、自分も必ず実行する」。こういった行動指針を「至誠」と呼ぶのかもしれません。
 では、舩井幸雄は、この「至誠」をどのように考えていたのでしょうか? ここからは、舩井流の「至誠」について考えていきたいと思います。

 私たちは、助け、助けられて生きています。人というのは、自分のためになにかをするだけでなく、世のためや他人のために尽くせる能力を持っています。ならば、できるだけ他者のことを思い、他者のためにも行動した方がよいでしょう。一般に、大切にしている人のところへ、その対象となるものが集まってくるといいます。つまり、人を大切にする人のところには、やはり人が集まってくるということなのです。
 かつて松陰先生の松下村塾には、将来の「人財」となるべく人々が集まってきました。その松蔭先生の人財作りの手法に、「どんな人とも、差別しないで、その人のために至誠の気持ちで付き合おう」というのがあります。これは、舩井も大きく影響をうけたようです。
 私たちは言うまでもなく、人と人との関係で生きていますが、差別といじめは絶対にやってはいけません。すべての人やものに対して、同じように大事に接する癖をつけることです。できるだけ受け入れ、認め、ほめる癖づけが大切です。そして、大きなことも、小さなことも差別せず、常にそこから学び、感謝し、どんなことにも全力投球するのが正しい生き方であると舩井は言います。
 一方、人と付き合う基本は、信じることに尽きると思われます。信じられず、任せられないというのでは、人と付き合うことはできません。ましてや、人に動いてもらうことはできません。決して、人は歯車のようには動いてはくれません。それぞれに思いがあり、考えがあります。だから、人は「信じられている」、「任されている」という意識を覚えたときに、能力を最大限に発揮してくれるのだと思います。人を信じて、相手に期待することを行えば、相手もきっと期待に応えてくれるでしょう。そのためには、まず自分自身が相手をむかえ入れる器量を持たなければなりません。大切にすればするだけ、相手も大切にしてくれるものです。
 吉田松陰先生の「至誠」は行動に対する姿勢として、舩井幸雄の「至誠」は人に対する至誠として表現されているようです。この違いもなかなか興味深いですね。

 さて、いまや世の中は、ワクチン接種、オリンピック開催で揺れています。滅多にこういうことは言及しないのですが、今回は少々触れたいと思います。
 ワクチン接種の予約のために、電話がつながらないので、何度も何度も電話し続けた方のお話を聴きました。ワクチンの安全性についても、否定的な情報が毎日各所から入ってきます。舩井流「素直」の姿勢に立てば、「たしかにそうかもしれない」とは思います。だからまだ勉強中です。
 新型コロナウイルス自体についても、いまだに「ただの風邪」と言い放つ情報もあります。最近では、「スパイクタンパク質」での感染リスクの情報も後を絶ちません。このままでは、ワクチンを接種した人と、摂取しない人との間に差別のような感覚が芽生えてしまうのではないかと心配です。

 でも、思うんです。「本当に本当のことは、いったい誰が『本当に』知っているのだろうか……」と。
「あなたは、あらゆることをその目で見、自力で研究し、本当に正しいか否かを突き止め、あらゆる人の立場や環境を鑑み、その気持ちを汲み、伝えていらっしゃるのですか?そして、万が一のことがあったとしたら、あなたはそのすべてに責任を持てるのですか?」
 舩井流の「至誠」の立場に立てば、それぞれがそれぞれのスタンス、処し方を認め、包み込み、大事にする……ということになりますね。みんな、自分のことは大切です。だから、同じように人も大切にしたいです。それが、舩井から教わったことですから……。
 
 話題を変えます。
「ビジネスパーソンとして、どうすれば一人前になれますか?」
 いまから20年前、教師を辞めて、株式会社船井総合研究所でお世話になりはじめたころ、舩井にこんな質問をしたことがありました。
 「それはな、人財になることやな。“ざい”は財産の“ざい”や。」
「人財ってどういう意味ですか?」
「自分を活かそうとするのはあたりまえ。自分も周囲も活かして、よい方向に巻き込んで世の中をよくしていこうとする人のことやね。」
「なるほど……。では、どうやったらなれますか?」
「それは、長所伸展、プラス発想、勇気、至誠・慈愛、自由の5つを体得できたら、人財になれるんや。」
 ビジネスの世界で使われる言葉とはおおよそ異なるキーワードが並べられていることに、驚くとともに、感激すらおぼえたことを記憶しています。
 “慈愛”……。
 「慈愛」とは、自分を慈しむように他人を慈しむこと。
 「慈愛」の心で人と接すれば、たしかに、自分だけでなく周囲も巻き込んで、大いなる幸福につながっていくように思います。相手を大事にすると、必然的によいところを見たくなりますし、前向きに行動しようという気持ちにもつながっていきます。
 舩井が示した、人財の5条件の基礎は、「慈愛」なんじゃないかなって思えてきたのです。こうして自分と同様に他者も受け入れるようになると、世の中の仕組みが見えてきて、すべてが同じ存在であるというような真の自然の摂理も理解できそうな気になったのです。 
 昨今は、先述したように、ある考えの人が、そうでない考えの人を攻撃するような流れもあったり、家族や子どもを傷つける悲しい事件も多いですが、基本的な人間の性質として(または生物の性質として)、自然に本質的な強い愛情を持ち備えているのが正常な姿であると思われます。この世に等しく生を受け、生かされている私たちの存在を考えると、そのどの生も尊く、大切なもの……。もう一度記しますが、誰もが自分のことは大切なものですから、他者もまた自分のことを大切に思っているはずですよね。
 こうして考えていきますと、自分も大事、他者も大事という結論にいたります。そして、人間が成長していくと、知性・情愛・意識が豊かになるようです。その先に「慈愛」の心が生まれてくるのだろうと思います。
 こう考えると、成長するとはなんと素晴らしいことなのでしょう。「慈愛」の「慈」とはもともと「楽しみや喜びを分け与えること」。つまり、「慈愛」とは「愛を与える」こととなり、自分に対するのと同じように、他者にも同じようにできるようになること、あらゆることを受け入れて、許せるようになることだと理解できます。
 「慈愛」って素晴らしい心の持ちようですね。早くそうした境地に立てたらって思います。舩井幸雄が説いた「至誠」と「慈愛」。いまのいまこそ、腹に落とし、優しく、しなやかに生きる選択をしたいと思いました。            
                             感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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