トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
毎週月曜日定期更新
2022年7月11日
レジリエンスと自己コントロール (※佐野浩一執筆)

 7月8日、安倍晋三元首相が銃撃を受け、お亡くなりになりました。
 人として、断じて許せない……。絶対に許してはいけない……。
 謹んで、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 アベノミクスを筆頭に、在任約8年の間に打たれた政策の数々に対して、意見することは当然のこと。検証して正すべきは正していくことも当たり前。政策への不満、政治への不安に対して、言論の場ではなく、暴力に訴える行為は極めて卑劣です。
 いま、7月9日に本稿を執筆していますが、アップされる11日には、第26回参議院議員選挙の結果が出て、政治は新たな局面を迎えることになります。「自公」与党側の圧勝に終わったのだと思います……。
 政治家、政党も含め、私たち有権者も、「〜党だからいい」とか「〜党だからダメ」、「〜党の政策だから反対する」というスタンスではなく、きちんと政策を見極め、あるべき国づくりに参加していくべきだと、ずっとそう考えてきました。
 安倍元首相を撃ったのはたしかに「1人」ですが、そこまでの空気を作った責任の一端は、行き過ぎたマスコミやネットの報道、書き込み、何をやっても「反安倍」にうごいた人々にもあるような気がしてなりません。

 さて、今回は「レジリエンス」についてまとめてみたいと思いました。
 長い人生、失敗やうまくいかない経験はつきものです。また、今回のコロナ禍のように、不意に不測の事態に放り込まれることもあります。世の中は不条理で、不運に見舞われることが、自分のせいでも、自分の責任でもないことは、いくらでもあります。
 その時、世を恨む「他人コントロール型」の人間になるのか、それとも、状況を「引き受けて」、「ではどうするか」と自分にできることを考え、行動していく「自己コントロール型」の人間になるかで、人生は変わってきます。
 この「引き受ける」ことの大事さについては、過日、かっこちゃんの講演会でお話された「やすみっちゃん」(藤谷泰允先生)という施術家の先生が強くおっしゃっていました。とにかく、よいもわるいも、明るいのも暗いのも、まずは引き受けよう(受け入れる、包み込む)とすることだと……。まさに、舩井幸雄の「包み込み」ですね!
 「誰が悪い」「何が悪い」ではなく、「自分に今、できること」にフォーカスし、次の行動である「次善の策」(セカンド・ベスト)をとっていくのが、逆境に負けないレジリエンスの高い人たちです。
 人はなにかにぶつかることで「今までのやり方ではダメだ」ということを知り、時には身近な人たちの力を借りて、自分ができることを探し当てていくものです。無力さを嘆いても、だれかを批判しても、なにも変わりません。とにかく動き出すことです。そして、いくつかの選択肢を見つけ出し、希望を持って、新しい人生を歩むのです。
 その際に、「学び」は極めて重要な手段となります。
 人は学ぶことによって変化していきます。その変化には、マイナスの変化とプラスの変化があります。マイナスは、人間性がねじ曲がり、世の中を恨んで生きるようになる変化です。プラスは、人として成長し人格・人望が高まり、世のため人のために生きるようになる変化です。
 逆境を乗り越えていく「レジリエンスの高い人」は、自身の経験から何かを学ぼうとします。経験から教訓を引き出し、次に活かしていこうとします。「全ての経験が学びでありプラスになる」と考えることによって、折れそうになる心を支えているのです。
 さて、こうした逆境を乗り越えていくために大事なことを、アル・シーバート博士の著書から3つ教わりました。

【逆境を乗り越える人たちに共通する3つのこと】
@全ては学びだと考える
どんな辛い経験から学ぶことができ、自分を成長させてくれると信じている
A矛盾する性格をもつ
「楽観的でありながら悲観的である」といった矛盾する性格をあわせもっている
B運命は自分で決める
自分の置かれた環境に働きかけて自分の力で自分の運命を変えられると考えている

 ここまでお伝えしてきたことが、この@にあたります。
Aの「矛盾する性格要素」については、なかなか面白いと感じています。これまた、「包み込み」に関連していくことです・
・独創的でありながら分析的
・真面目でありながらふざけている
・勤勉でありながら怠け者
・繊細でありながら図太い
・楽観的でいながら悲観的
・外向的でありながら内向的
 ほとんどの人が、「自分の中に違う自分がいる」と感じていると思いますが、たしかにこうしたまったく逆の自分がいることは事実です。
 ちなみに「欲求5段階説」で有名な心理学者マズローは、つぎのように言っているそうです。
 「優秀で精神的にも健康な人や、自己実現している人を評定すると、ある点では非常に利他的で、ある点では非常に利己的という極端な結果が出る」

 マズローが言うように、「レジリエンスの高い人」たちは、「矛盾する自分」を認め、上手に活用しているのです。相反する性質を自分の中に多く持つことは、その人の精神的な不安定さの表れでは決してなく、まったくの逆です。自分の中でうまく処理された心の多様性は、心理的な安定と、あらゆる状況に対応する柔軟性をもたらしてくれると言います。
 矛盾する自分は、すなわち「心のしなやかさです。自然界が様々な多様な生物が共存しているのと同じように、人の心のなかもそれとまったく同じだということです。
 逆境に負けない人も、実は落ち込んでいたりします。「レジリエンスの高い人」はいつも強い人だ……いうのはまったくの誤解です。人間ですから、ものすごくネガティブになって、「もうダメかも」と考え、夜、眠れなくなることだってあるでしょう。
 でも、そうした状況から立ち直ることができれば、それは「レジリエンスがある」といえるのです。ですから、辛い時ほど、矛盾する自分が役に立ちます。たとえば、仕事で失敗し、とても悲観的になって、気分がふさぎ込み体はだるく、何もやる気がしない状況になったとします。そんな時に、心の奥底の方から、「今は辛いけど、まあ、なんとかなるよ」と語る、楽観的な自分の存在を感じることがあります。たしかに私は、よく「こちらの自分」に助けてもらっています。これは「いろいろな自分がいていい」と「矛盾する自分」を認め、OKを出しているからできることだと教わり、少しばかり自信が持てました!

 いろいろ「レジリエンス」について学んだことを論じてきましたが、最後にやはり強調したいのは、冒頭に書いた「自己コントロール型」の観点です。
 「他人コントロール型」の人は、世を恨み人を憎む「ダークサイド」に落ちやすい傾向があります。反対に「自己コントロール型」の人は、今の混沌とした世界を、よりよく変えていこうとする強い意志をもつ傾向があります。
 その「強い意志」が「使命感」となって逆境にめげないメンタルを創り上げていくのだと思います。

 さあ、今日も前を向いて一歩を踏み出していきましょう。
                            感謝

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2022.07.25:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】“ほんもの”のリーダーシップ (※佐野浩一執筆)
2022.07.18:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】時代に挑む (※舩井勝仁執筆)
2022.07.11:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】レジリエンスと自己コントロール (※佐野浩一執筆)
2022.07.04:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】宝島 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了)
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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