“超プロ”K氏の金融講座

このページは、船井幸雄が当サイトの『船井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介している経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2012.05
新刊『2013年 株式市場に答えがある』まえがき

 「欧州各国民が私達を見ている! 緊縮から脱したいのだ! あなた方が原動力だ!」
 フランス大統領選で勝利したオランド候補は観衆の歓喜に応えたのです。
 「緊縮政策なんてまっぴらだ!」フランスに限らず欧州全域で政策転換を求める嵐のような勢いが盛り上がっています。

 一方ギリシアの選挙では急進左派の政党が大躍進、「ドイツの言う事ばかり聞くな!」との国民の怒りを一気に吸収した形です。「国民の痛みをやわらげる、ドイツとは再交渉だ!」と訴える急進左派連合のツィプラス党首は大人気です。
 実際、国民の怒りももっともです。ここ数年、南欧をはじめとして欧州各国は緊縮策の連発で財政再建、健全財政を目指してきたのですが、一向に経済は上向かず、いつまで経っても成果が出てこないのです。

収まってはぶり返すユーロ危機への対処策は・・・?
 ドイツを除いて、欧州周辺各国はほとんど例外なく、債務残高の対GDP比は、危機発生前の水準を上回っています。財政再建を叫び、それに耐えているのにもかかわらず、その効果はさっぱり出てこないのです。出てこないどころか経済は各国とも悪化する一方、国債の利回りは上がる(価格低下)、金利負担は増えるし、失業者はますます増大してきています。問題となっているスペインやギリシアでは若者の失業率は50%を超えてきているのです。
 「これ以上緊縮策を続けても未来はあるのか!」
 民衆の苛立ちは当然でしょう。しかし市場は冷淡で残酷です。緊縮策を放棄するのであれば、ばら撒きです。いったいユーロ圏のどこに財政出動を行う資金があるのですか? ギリシア国民は緊縮策は嫌だという。しかしユーロには残りたいという。そんなわがままをドイツを中心とした北部欧州諸国が許してくれると思いますか? これ以上、ドイツ国民の資金をギリシア国民のために拠出させろというのですか? 先日、ギリシアの借金を7割も減額してやったばかりでしょう! それでも足りないと言っている、そんな法外な要求にいつまでも付き合ってはくれないでしょう。

 収まってはぶり返し、収まってはまた規模を大きくして襲いかかってくるこのユーロの危機、どうやって処方するのですか?
 「大丈夫ですよ! 今まで通りやりましょう。魔法の杖を使いましょう。昨年の12月もあれだけの危機だったのに一気に収まったではないですか! 魔法の杖の出番ですよ!」

 昨年12月、もうユーロは崩壊と思われたその瞬間に、さっそうと現れた新しい救世主、ECB(欧州中央銀行)のドラギ新総裁はまさに大盤振る舞いよろしく、107兆円という膨大な額を域内の銀行に投下して危機を収めたのです。
 「この手があるでしょう! 魔法の杖は健在です!」 危機なんてお金を刷れば一発で解決です!

 「QE3(=Quantitative Easing 3 量的金融緩和第3弾)はまだか!」
 市場関係者のFRB(米連邦準備制度理事会)を見る目は常にこの一点です。
 リーマンショック後、見事に危機を収めたバーンナンキ議長は英雄です。何をしたかって? QE1(=Quantitative Easing 1 量的金融緩和第1弾)でお金を刷りました。そのお金で住宅担保ローン証券を買い取りました、そして米国債を買い取りました。「よくやった!」とりあえず危機は収まった! ところが1年でまたおかしくなると、今度も「魔法の杖だ」と、QE2(=Quantitative Easing 2 量的金融緩和第2弾)の出動、米国債を大量に購入しろ、と8ヵ月にわたってドルを刷り続けたのです。おかげ様でQE1、QE2とドルを印刷するたびに株価が反応、この好調な株価をベースにして米国経済は復活模様です。

迫りくるインフレ
 「魔法の杖は健在です!」お金さえ刷れば何でも解決です。
 「いつまで経ってもデフレじゃないか!」「バーナンキとドラギを見習え!」「何でお金をもっと刷らない! 魔法の杖を使え!」
 欧州や米国でしきりに魔法の杖を使っているのに、日銀は使っていないというのです。日銀からすれば「そんなことはない、日本国民の皆さん、私達はもう2000年からみれば10倍以上の国債買い取りを行っているのですよ。もう勘弁してくださいな」と言いたいかもしれませんが、そんな言い訳は許してくれません。
 国民はデフレ不況にもう20年も苦しんでいるのです。「なぜ魔法の杖を使わない! クビにするぞ!」ついに国会議員はいきりたってきました。
 言うことを聞かないなら日銀法改正です。「目標を達成できないのであれば、責任を取らせろ、当たり前のことだろう!」というわけです。
 欧州も米国も日本もそして世界も、あらゆる市場関係者も常に視点は、「魔法の杖を使うのか、使わないのか?」に釘づけです。中央銀行というマネー製造機関に頼るしかありません。
 にわかに続くこの勢いに、ふと正論が発言されます。そして日本では報道されず、海外メディアの一部に小さく載るのです。
 「中央銀行が国債の買い入れを通じて、最終的に際限のない資金供給に追い込まれれば、この膨大な通貨供給の帰結は、歴史の教えに従えば制御不能なインフレである!」
 ワシントンでの白川日銀総裁の発言です。
 日本の今年の国債の買い取り額は40兆円、一方で今年の新規の国債発行額は44兆円です。いやいやながら国債を買い続けている日銀ですが、もう毎年の日本の膨大な発行全てを買い取るまでにその量を拡大してきているのです。それでもご存じのように「足りない!」と国会でつるし上げにあっています。
 完全なる感覚麻痺、いったいどこまで、「魔法の杖」マネー製造装置の中央銀行が機能できると思いますか? 「インフレなんて全く来ないじゃないか!」 その通り、しかしいつか確実に来るのです。それも何かのきっかけで突如爆発するのです。それが世界の歴史です!
 世界一の投資家と言われる全米の尊敬を集めるウォーレン・バフェットは「債券など通貨に関連した資産はもっとも危険だ!」と警告を発しました。バフェットが言うには今の世界中の金利は安過ぎるというのです。そしてやがて金利上昇(インフレ)が訪れるというのです。その時、現金や国債などで資産を保有している人は実質価値を大きく失うだろう、と警告したのです。
 2012年に入って世界中の株価は大きく上昇してきました。日本の株をはじめ、まさに上昇転換したのです。4月、5月と欧州危機の再来で再び波乱含みとなってきています。
 しかし世界の基本的な潮流は変わりません。「魔法の杖」を持つ中央銀行に頼るしかないのです。大不況に見える世界経済ですが、ニューヨークダウは史上最高値まで10%もありません。新興国は軒並み金利引き下げラッシュです。繰り返しますが、日銀も更なるマネー供給を続けるしかないのです。これらの流れは必ずや株式市場を刺激してくることでしょう。そしてその第一弾が今年から始まってきているのです。いよいよ現金はその実質価値を失うインフレが迫ってくるのです。どのように生き抜くか? 答えは株式市場にあるのです!

12/12

浜田教授のリフレ政策

12/11

円を売る時がきた!

12/10

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大恐慌か超インフレだ!(新刊「あとがき」より)

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中東情勢の泥沼化

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新刊『2013年 株式市場に答えがある』まえがき

12/04

ぶり返すユーロ危機

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12/02

株式投資の勧め

12/01

上昇転換した株価とその背景


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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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