ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2020.12.01(第82回)
明らかになった「ザ・グレート・リセット」の中身

 今回は「ダボス会議」が発表したコロナ以降の世界計画、「ザ・グレート・リセット」の具体的な内容についてである。
 日本もそうだが、欧米を中心に新型コロナウイルスの蔓延が止まらなくなっている。特に欧米で感染拡大が起こっているのは、経済への影響を恐れて厳しいコロナ対策を継続できなかったこと、個人の権利を重視した自由放任主義だったこと、中国のような中央集権が弱く、感染症対策を主導したのが地方自治体だったこと、そして欧州では国境を越えた移動の自由が認められていることなどが原因だと見られている。

●深刻な経済
 もちろん、各国の経済への影響はあまりに深刻だ。ユーロ圏の実質GDP成長率は、2020年はマイナス8.7%に縮小し、EUもマイナス8.3%に縮小すると予測される。
 さらにアメリカの今年の4月から6月までのGDPの伸び率は、年率に換算した実質で、前の3か月に比べてマイナス32.9%となっている。これは四半期の統計を取り始めた1947年以降、最悪の水準だ。また日本も2020年の第2四半期(4月から6月)における日本のGDPは、年率でマイナス27.8%となった。これは1955年の統計作成以降で、史上最大規模の減少幅だ。

●漠然とした「ザ・グレート・リセット」
 このような状況のなか、世界の超富裕層と国際資本が集まる「ダボス会議(世界経済フォーラム)」は、2021年のテーマとして「ザ・グレート・リセット」というテーマを掲げた。これは、新型コロナウイルスのパンデミックを契機にして、環境破壊や社会的な格差の矛盾が限界に達した現在のグローバル資本主義の動きを一度リセットし、環境や社会的格差に配慮した持続可能な資本主義へと方向転換させてしまうという計画だ。いわばこれは、既存の社会体制の本質的な変革を目指すものだ。
 この「ダボス会議」の「ザ・グレート・リセット」のコンセプトは、環境や格差に配慮した持続可能な資本主義への転換という点では、基本的には非常によい内容だ。しかし、「ザ・グレート・リセット」の本当の内容はまったく異なる。
 筆者が交流している外資系シンクタンクの研究員などは、「ダボス会議」に集結している勢力は、早くて2021年から22年、遅くとも5年後の2025年までにはこのリセットを本格的に実現するという。
 彼らによると「ザ・グレート・リセット」の目標は、資本主義と民主主義をリセットし、全体主義的な高度管理社会への移行の実現であるという。その最初の段階として、アメリカの混乱に乗じて高度管理社会導入への一歩を進め、さらに現行の金融システムをリセットするために金融崩壊を演出するというプランの可能性もあるとしている。
「ダボス会議」の「ザ・グレート・リセット」はすでに彼らのサイトで細かく説明されている。日本語サイトも用意されているので見たことのある読者もいることだろう。以下が日本語サイトのURLだ。ぜひ見てほしい。
 https://jp.weforum.org/press/2020/06/the-great-reset/

 しかし、このサイトを一読すると分かるが、現代のグローバル資本主義をリセットするということは分かるにしても、その結果、なにをしたいのか具体的なことはほとんど語られていない。その説明は抽象的で、パンデミックこそ大きなチャンスだというような漠然とした美辞麗句にあふれている。リセットがなにを意味するのか、具体的にイメージさせる説明はほとんどない。
 おそらくあえて内容を抽象的に表現しているのだろう。そのこともあって、「ダボス会議」が提起したこの「ザ・グレート・リセット」は注目されているとは言えない状態だ。内容の憶測だけが飛び交っている。

●計画の全体像を示した本か?
 そのようなとき、すでに7月になるが、ある本が出版された。それは、「グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」というそのものずばりの題名の本だ。著者は「ダボス会議」の主催者であるクラウス・シュワブと、ティエーリ・マルレットという人物だ。計画の立案者自らがリセットの内容を明かした本だ。280ページの書籍である。この本を読むと、「ダボス会議」が目指す「ザ・グレート・リセット」の内容が見えてくる。
 グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界 (日本語)
 単行本(ソフトカバー) ・2020/10/23

 まずこの本では、新型コロナウイルスのパンデミックによって、既存のグローバル資本主義にすでに存在していた問題が表面化したという。それらの問題は以下である。

1)崩れた経済
 新型コロナウイルスのパンデミックは世界経済の80%に大きな打撃を与えた。企業倒産が相次ぎ、賃金は下がり失業率は急上昇している。その結果、もともと存在していた社会的格差はさらに拡大した。

2)格差の拡大と社会的信用の低下
 パンデミックのなか、社会のデジタル化が急速に進んでいる。オンライン診療など、ITやAIを活用した社会サービスが爆発的に拡大している。この結果、あらゆる分野で仕事を失う人が増え、これが格差をさらに拡大させている。これが背景となり、世界的な抗議運動が起こっている。

3)巨大だが非効率な政府
 経済の落ち込みと社会的格差拡大の歯止めとして、各国政府は巨額の財政支出を行っている。それは巨額な赤字の原因となっているが、政府の財政支出では思ったような効果が出ていない。非効率である。

4)巨大化するIT産業
 テレワークやオンラインショッピングなど、コロナ禍のなかでIT産業はさらに巨大化した。少数の巨大IT企業が社会サービスのあらゆる分野を担うことになるだろう。しかし、こうした企業によって個人情報が握られることになる。これが新たな問題を引き起こしている。巨大IT企業の全面的な支配だ。

5)地政学的な緊張
 コロナ禍のなかで、かねてから激しさを増していた米中対立は一層激化している。このまま行くと新冷戦から世界の多極化が進み、世界は混沌とした状態に向かう。

6)関係者すべてが関与する企業
 新型コロナウイルスのパンデミックがもたらしたプラスの効果があるとすれば、企業の形態に変化が見られることだ。企業のなかにはこれまでの利益中心の経営方針を見直し、従業員を含めたすべての関係者に積極的に関与してもらう新しい経営スタイルを模索する企業も多くなっている。しかし、これが大きなトレンドとして定着するためには、従来の企業の概念を変更せねばならず、そのためには政府の積極的な関与と支援が必要になる。

●「敏捷な統治」という概念
 この本では、以上のような6つを新型コロナウイルスのパンデミックが引き起こした深刻な問題として提起し、これを解決するためには現在のグローバル資本主義のリセットが必要なのだと力説する。そして、このリセットを実行し、これらの問題に対処するために必要となるとこの本が提示するのが、「敏捷な統治」という概念だ。

 「敏捷な統治」とはピンとこない概念だ。はっきり言って、なにを言いたいのか判然としない。あえてイメージをぼかした言葉を使っているのだと思う。しかし、その内容は極めて明確だ。ビッグデータ、AI、ロボット、そしてブロックチェーンなどの先端的なITテクノロジーを徹底的に駆使して、社会問題が発生する前にそれらを予期し、事前に対処してしまう体制のことだ。
 そして、ここで「統治」という言葉が使われている理由は、この方法が国民を支配し、国家を統治する方法として考えられているからにほかならない。つまり、高度なテクノロジーを最大限活用した新しい統治形態と管理のシステムのことだ。

●「敏捷な統治(Agile governance)」という論文
 この概念は、このメルマガの記事で将来やってくることを幾度も警告している高度管理社会のことであろう。それは間違いないと思う。では、「ダボス会議」は彼らが「敏捷な統治」と呼ぶ高度管理社会を具体的にどのようなものとして構想しているにだろうか?
 実はその全体像とおぼしきものは、やはり「ダボス会議」が出した「敏捷な統治 第4次産業革命において政策立案を再形成する(Agile Governance Reimaging Policy-making in the Fourth Industrial Revolution)」という論文に示されていた。そして重要なのは、この論文が発表された時期である。それは2018年1月であった。つまり、新型コロナウイルスのパンデミックが起こる2年近くも前に発表されていたのだ。

 これは、リセット以後の統治機構のデザインはすでに2年以上も前に大枠ではすでにできあがっていたことを示している。逆に見ると「ダボス会議」は、新型コロナウイルスのパンデミックを「敏捷な統治」を導入するための絶好の機会として使ったのかも知れない。
 長くなるので、この「敏捷な統治」という体制の具体的な内容は、またの機会に詳しく紹介する。早ければ来年にも導入が始まる可能性がある。これを知っておくことは大変重要だ。変化はあまりに早い!そして、この構想には日本も具体的に絡んでいる。ぜひ読んでほしい。

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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