ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2026.02.01(第144回)
全体主義のファシズム体制を目指すトランプ

 日本ではほとんど報道されることはないが、いま米国内は不穏な状況になっている。 トランプ政権に抗議するデモが全米各地で起こっているが、その原因となっているのが、トランプ政権のもとで実施されているICE(移民・関税捜査局)の捜査官による不法移民の強制的な拘束である。特にこれは、知事が民主党のいわゆるブルーステートを中心に実施されている。
 トランプ政権のICEを統括している国土安全保障省は、犯罪歴のある不法移民のみを排除の対象としているというが、実際はまったくそうなっていない。不法移民のみならず、永住権を保持した合法的な移民、市民権を持つ一般の米国民も拘束と排除の対象になっている。
 ICEは陰のグーグルと呼ばれる「パランティア」が開発したアプリ、「エリート」を使っている。ちなみに「パランティア」はトランプ政権の背後にいる勢力、「テック・ライト」の中心的な人物、ピーター・ティールが創業した企業だ。「エリート」は米政府の各省庁が保有する国民の個人データにアクセス可能で、これをもとに都市の中で移民が多く住んでいるエリアを特定できる。
 その後、「携帯電話シミュレーター」というシステムを使う。これは、特定されたエリアの携帯電話のアンテナから、それを通過するすべての通信データをモニタリングできるシステムだ。これを用いると、このエリアの人々が携帯電話でやり取りしているすべての通信がハッキングできる。これを用いて、誰が移民であるのか特定する。
 これが行われると、ICEの捜査官は該当したエリアを強制捜査し、移民と思われる人々をかたっぱしから逮捕し拘束する。しかしそのほとんどが、永住権を持つ合法的な移民か、アメリカで生まれ市民権を持つ米国民だ。ラテン・アメリカ系、黒人、アジア系などの有色人種が対象である。

 同じエリアに住む近隣の人々は、ICEのこのような不当逮捕に抗議し、抵抗する。抗議すると、市民権を有する白人であっても無作為に逮捕・拘束の対象になる。さらに、ICEの車両の運転を妨害したという理由で、近隣を走る車のドライバーが逮捕・拘束される事例も後を絶たない。これは全米のブルーステイトで起こっているが、いまは中西部のミネソタ州が注目されている。レネー・グッドという37歳の白人女性がICEの捜査官によって射殺され、その動画が公開されているからだ。しかし、すでに過去3カ月で16人が全米で殺害されている。
 この事件の後、ミネソタ州では市民の激しい抗議運動が続いている。ちなみに、ミネソタ州州議会の上院議員は、次のように状況の深刻さを報告している。

「日常を過ごしているだけなのに、例えば私の地域では、車を運転していると高速道路や住宅街に放置された車を見かける。ドアが開いたまま、エンジンがかかったままの車もある。こんな光景は、いつどこででも突然目にする。バーガーキングで食事を並んでいる最中に、出勤途中の労働者がICEにさらわれるのを目撃するかもしれない。レストランで食事中、突然14人のICE捜査官が現れ、その店の従業員全員を拉致していくこともある。まさに目の前で起きていることだ。これはいつでもどこでも起こり得る。

 我々のコミュニティで、こうした暴力的な拉致を目撃しない場所などどこにもない。ターゲット(スーパーマーケット)でも、食料品店でも、娘を水泳教室に送る途中でも、教会へ向かう車中でも、仕事へ向かう途中でも。どこにいても起こり得るし、毎日、常に起きているんだ。一日中何度も、同僚や友人、家族から「知り合いや親戚、同僚が連行された」という連絡が入る。これは誰にでも起きることだ。あるいは何気ない会話で耳にする。ICE(移民税関捜査局)は特定の地域に検問所を設置し、出入りする全員の身分証明書を調べている」

●州兵と連邦軍が対峙する可能性
 このようなICEの一般市民に対するあまりに不当な逮捕と拘束に対して、ミネソタ州のティム・ウォルツ知事もICEを非難する緊急声明を出し、市民は連帯して自らを守るように訴えた。そして、ICEと市民のデモ隊が衝突する可能性があれば、州兵を導入するとしている。州兵とは米陸軍と同じ装備を持つ治安部隊のことである。知事は市民をICEから守る目的で、これを導入するかまえだ。州兵はいまスタンドバイの状況にある。
 一方、これに対し、トランプ政権の動きも強硬だ。もし混乱が早期に収拾しない場合、ミネソタ州には反乱罪を適用して、暴動鎮圧のために連邦軍を導入する計画だ。すでに空挺部隊の2個大隊、1500人がスタンドバイの状態にある。
 もし、市民を守る州兵と暴動鎮圧のための連邦軍が同時に動員されると、下手をすると州兵と連邦軍が対峙するという、南北戦争以来の状況にもなってくる。

●内戦を望むかのようなトランプ
 しかし、トランプ政権が不法移民の排除を政策の眼目にしているとしても、なぜ市民権を有する米国民、それも有色人種の国民全体を排除のターゲットにするのだろうか? トランプ政権がこれを続けると、トランプ政権への憎悪で支持率は下落し、ただでさえ苦戦が伝えられる今年の中間選挙で大敗することにもなりかねない。なぜトランプ政権は、こうした強硬処置を実施しているのだろうか?

 実は、トランプ自身の発言や、JD・バンス副大統領、スティーブン・ミラー次席補佐官などトランプ政権の多くの高官の発言を見ると、トランプ政権は国民の暴力的な反発を契機に、いわば内戦状態になることを積極的に望んでいるかのような印象を受ける。ICEの不当な強制捜査は、国民の暴力的な反発を誘発する挑発のようなものだ。 実は、日本で報道されることはないが、トランプ政権の背後には次に3つの勢力がいる。

1. キリスト教原理主義の福音派
 福音派は全米で1億人近くいる。目標は、聖書の原理に基づくキリスト教国家にアメリカを作り替えることだ。トランプ政権はこれを推進するための手段である。自由と民主主義ではなく、キリスト教国家こそが理想だ。

2. イスラエル・ロビー
 巨額の献金と脅しを通して、アメリカの外交政策をイスラエルの国益を実現するためのツールとして利用する勢力。

3. テック・ライト
 自由と民主主義の政治体制は限界に来ており、このまま行くと巨大な格差を背景にした国民の反乱で、アメリカという国家は滅亡する。これを回避するためには、あたかも企業のCEOが会社を経営するように国民を管理する全体主義の体制に移行しなければならない。

 これらの3つの勢力は基本となるイデオロギーこそ異なれど、民主主義政体のアメリカをファシズムのような全体主義国家に作り替えることでは基本的に一致している。福音派は、もともとキリスト教原理に基づく君主制のような宗教国家を理想としているので、テック・ライトの構想には共感している。一方イスラエル・ロビーは、アメリカの外交政策がイスラエルの方針に一致しているのであれば、なんでもかまわない。むしろ大統領の独裁体制が成立すると、米国内にいまだに根強いイスラエルに反対するリベラル派の勢力を抑圧できるので、都合がよい。

 このように、3つの勢力、特に福音派とテック・ライトの間には、ファシズムのような全体主義国家にアメリカを作り替えるという構想がある。トランプはこの構想を実現するための政権なのである。

 しかしながら、この構想の実現には大きな障壁がある。それは、今年の11月に実施される中間選挙である。この選挙で、上院の3分の1、下院の全議席が改選される。いまトランプの支持率は低迷しており、最近行われたさまざまな州の地方選挙では、すべて民主党が圧勝している。このままの情勢が続くと、中間選挙でも共和党は大敗し、民主党が圧勝する。
 このような状況になると、トランプ政権はレイムダック化して、これまでのような思い切った政策の実行は不可能になる。議会が阻止するからだ。
 これを阻止し、大統領に権力を集中させて、ファシズム的な全体主義の体制への移行を引き続き継続するために実施しているのが、ブルーステートにおけるICEによる米市民の不当な逮捕・拘束なのである。

●統一行政権理論による大統領への権力集中
 明らかにトランプ政権には、大敗する可能性が高い中間選挙を無期限に延期するか、または中止してしまいたい動機は存在する。しかし、一方、選挙の実施日を決定する権限は大統領ではなく連邦議会にある。合衆国憲法第1条第4節により、選挙の時期、場所、方法は各州が定めるが、連邦議会は法律によってこれらに関与できる。1845年に制定された連邦法により、選挙日は「11月の第1月曜日の次の火曜日」と固定されており、これの変更には議会両院での立法プロセスが必要である。これを変更する権限は大統領にはない。
 だが他方、この制限を大統領が突破できる可能性もある。それが統一行政理論という憲法解釈だ。これは「憲法第2条が定める行政権はすべて大統領に帰属する」という考え方だ。これは本来は行政機関の監督権に関する理論だが、極端な論者は「国家の存亡に関わる事態において、行政権の長である大統領は、議会の制定法(選挙法など)に縛られずに行動できる」と主張する。

 いまのトランプ政権は、この統一行政理論を基盤にしている。これは、トランプ政権の政策的基盤である「プロジェクト2025」にもはっきりと主張されている。この理論を適用すると、「選挙の実施が国家の安全を脅かす(暴動を助長するなど)」と判断した場合、大統領は自身の「憲法を守る義務」を果たすために、一時的に他の法律を停止させる固有の権限を持つことが可能だ。

●国家非常事態を宣言し、中間選挙を無期限に延期
 統一行政理論という憲法解釈に基づくと、中間選挙の無期限の延期が可能になる可能性も出てくる。しかしそのためには、選挙の実施が国家の安全を脅かす事態になるという状況を演出しなければならない。その目的で実施しているのが、現在のICEによる米市民の不法な逮捕・拘束である可能性は高い。
 まずトランプは中間選挙が近づくと、ICEによる不法な逮捕・拘束を一層激化する。すると、これに抵抗する市民の抗議活動も一層激化し、ICEの捜査官が攻撃されるような暴力的な衝突も全米で多数発生するようになる。そのような機会を待って、トランプは国家非常事態を宣言し、大統領にあらゆる権限を集中させる。そして、中間選挙の実施が国家の安全を脅かす事態になるという理由で、中間選挙の無期限の延期を決定する。このようなシナリオだ。

 また、暴動が全土に広がり「内乱状態」にあると宣言すれば、大統領は反対派を令状なしで拘束し、戒厳令を敷くことができる。戒厳令下では民間の法律や裁判所が機能停止し、軍の支配下に置かれるため、事実上「選挙どころではない状況」を物理的に作り出すことは可能になる。

●依然としてハードルは高い
 しかし、このシナリオのハードルはそれなりに高い。大統領が選挙延期の行政命令を出せば、即座に差し止め訴訟が起き、最高裁まで数日で到達する。保守派が多数を占める現在の最高裁であっても、憲法にある議会の選挙権限を無視する解釈を支持することは、司法自体の権威を消滅させることになるため、極めて困難である。
 憲法は選挙の日時を決定する権限を明確に「議会」に与えている。統一行政権は「行政(執行)」の範囲に関する理論であり、議会が持つ「立法権(ルール作り)」を奪う根拠にはならない。
 しかし、このように最高裁が「違憲」と判決を下しても、大統領が行政機構や軍を使ってそれを無視する。また、「治安維持」を名目にICEや州兵を動員し、民主党が強い地域の投票所を封鎖・混乱させる。さらに、 非常事態宣言の下でメディアを統制し、「選挙は延期された」という既成事実を流布するなどの方法が利用可能だ。
 つまり、憲法解釈として「可能」なのではなく、憲法解釈を武器にして、憲法のチェック機能を物理的に破壊できるか」という段階の話になる。

 このシナリオにおいて、唯一の決定的な抑止力となるのは「軍が憲法への誓約を守り、大統領の不法な命令を拒絶するかどうか」という点に集約される。もし軍がこれを受け入れれば、中間選挙の無期限中止は可能になる。いま全米で実行されているICEの不法な逮捕・拘束は、こうした狙いのもとで実行されている可能性はかなり高いように思う。これが実現すると、まさに全体主義国家、アメリカ誕生の第一歩となるはずだ。

*  *  *  *  *  *  *  *  *

●「ヤスの勉強会」第143回のご案内●

「ヤスの勉強会」の第143回を開催します。2026年に入ってからまだ1カ月ですが、世界からは秩序が失われ、ジャングルのような無法地帯になりつつあります。今後いったいどうなるのでしょうか? 入手できるあらゆる情報を駆使して展望します。

 ※録画ビデオの配信

 コロナのパンデミックは収まっているが、やはり大人数での勉強会の開催には用心が必要だ。今月の勉強会も、ダウンロードして見ることのできる録画ビデオでの配信となる。ご了承いただきたい。

 【主な内容】
 ・日本のこれから、いったいどうなるのか?
 ・中間選挙を無期限延期するトランプの計画
 ・米国内戦状態と米国債の暴落、金融危機へ
 ・中国で起こったことはクーデターだったのか?
 ・変化するBRICSの国際秩序
 ・テック・ライトの最終計画とは?
 ・我々の意識の進化
 など。


 よろしかったらぜひご参加ください。

 日時:2月28日、土曜日の夜までにビデオを配信
 料金:4000円
 懇親会:リアル飲み会とZOOMで開催


 以下のメルアドから申し込んでください。

 記載必要事項
 名前(ふりがな)
 住所 〒
 メールアドレス
 参加人数
 懇親会の参加の有無
 ytakashima@gmail.com


…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━

■ヤスの備忘録 歴史と予言のあいだ
 http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
■未来を見る!『ヤスの備忘録』連動メルマガ 毎週金曜日配信
 http://www.mag2.com/m/P0007731.html
■ツイッター
 https://twitter.com/ytaka2013/




バックナンバー
Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

健康の超プロ4名が語った「じぶんでつくる健康未来図」の動画をプレゼント 数霊REIWA公式サイト 佐野浩一 本物研究所 本物研究所Next C nano(ネクストシーナノ) 成功塾説法 舩井幸雄動画プレゼント 高島康司先生の「日本と世界の経済、金融を大予測」 メールマガジン登録 舩井メールクラブ 佐野浩一note