船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井幸雄グループスタッフによるコラムページです。
日々仕事をする中で感じていることなどを自由に語ったページです(このページでは、便宜上、船井幸雄を“船井会長”と呼び、敬語表現を使わせていただいています。ご了承ください)。

船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
久しぶりの東京散策で考えました。私のオススメの本です。 (テーマ:最近読んでオススメしたい本)
2007.11.21(Wed)
社名:(株)船井メディア
名前:長田 陽一

 私は、今年の4月から港区で一人暮らしをしています。それまでは10年間ほど故郷である山梨県の甲府市で暮らしていました。東京は大学4年間の学生生活と、仕事で3年間を過ごしていましたので、ある程度の土地勘のような物はあるものの、最近の東京については無知なので、久々の“東京見物”を楽しみにしていました。
 さっそく、仕事、プライベートで東京を歩き回り、10年間での東京の変貌ぶりに驚きました。特に、以前職場であった六本木の隆盛、ホームタウンであった渋谷、今まで知見のない東京東部、江東区や江戸川区など、様々な様子を見て、いままでの東京像とは違うという驚きと何かが10年前とは違うという違和感のようなものを感じました。

 週末は必ず書店に通う私の習慣から、一冊の本を手にしました。
 『東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム』 (NHKブックス 1074) (単行本)  東 浩紀 (著), 北田 暁大 (著)です。
 この本は気鋭の哲学者 東氏と北田氏の対談で、大上段に振りかぶったいわゆる「東京論」ではなく、私と同世代で子育てのために新居探し進行中の東氏と大田区に本拠を置く北田氏の旧知の二人が、東京各地を電車の車窓を眺め批評しあうように、自らに「都市論」論となるとなるような哲学者にありがちな抽象論を避ける枠組みの中で語られています。
 長く東京にかかわって暮らしてきた二人の対談の中から、表題にもあるような、所得格差の問題や郊外、ナショナリズムやエスニシティーといった問題が語られていきます。その中のタームとして、東京の「ジャスコ化」がという言葉に興味をそそられました。字義通り、東京がショッピングセンターのジャスコと化していく意味で使われています。日本のどこの都市郊外の国道を車で走ってみても、巨大ショッピングセンターがありオートバックスがありファミレス、TSUTAYAがあるという没個性な均質的なランドスケープが広がっています。そういった空間の外見とは別に、実際にそういった所に暮らしてみれば車がありさえすれば、非常に暮らすには便利なものです。必要なものは簡単に手に入り、セキュリティーはある程度確保され、バリアフリーであり人間工学的に計算されつくした「ジャスコ化した」空間です。

 それと対比されるのが再開発問題で揺れる下北沢です。インディペンデントの劇場があり、ライブハウスがあるといったいわゆるカウンターカルチャーを体現したような街並みです。そこに東京西部の東西方向の幹線道路を補完する目的で「補助54号線」を通すことを契機に再開発が議論されています。確かに現在の下北沢は活気も魅力もある街並みですが、例えば、子育てや介護といった問題を考えた場合、交通アクセスも悪く、住民フレンドリーとは言えません。再開発が実行されれば下北沢の「ジャスコ化」は免れないでしょう。現在の街並みを壊すことになるという開発反対意見も無碍(むげ)にはできませんが、カウンターカルチャー好きの若者や暇も時間もある有産団塊世代のノスタルジーでしかないという意見に有効な反論は見つかりません。
 同様に大規模再開発のあった六本木はヒルズやミッドタウンなどが建設され、米軍居留地のための歓楽街という雰囲気はなくなり、ある種の高級で巨大な「ジャスコ化=郊外化」した空間であるとも言えます。東雲や豊洲と言ったところも同様で、東京の各所に「ジャスコ化」は広がっています。

 この「ジャスコ化」に私の久しぶりの東京見物から感じられた違和感があるのではないでしょうか? 確かに、無味乾燥でよそよそしい感じがする風景です。しかし、「ジャスコ化」の反対の状況を思い描けば「ジャスコ化」はある意味不可避であるとも言えます。
 例えば秋葉原や歌舞伎町に家族で住みたいというような人は少ないと思います。経済価値を最大限に保ち、住民のセキュリティーが保たれ、バリアフリーであるという利便性を追求すれば、人間工学的に快適にデザインされて「ジャスコ化」した空間に行きつきます。日本の地方都市は既に「ジャスコ化」してしまったと言っていいでしょう。
 東京という街は独自性のある街並みと「ジャスコ化」という二項対立からどちらかを選択せざるを得ないのか、それとも共存しえる第三項はあるのかというのは重要な論点です。
 さらに10年後の東京はどのように変化しているのでしょうか?考えさせる、私のオススメの本でした。


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