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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」という無料メルマガを愛読しています。宮崎先生はいわゆるチャイナウォッチャーで中国に対して鋭い批判を投げかけていますが、7月25日のメルマガで「中国またしても経済政策の方針を転換。財政出動で景気刺激策を前面に 干されてきた李克強首相が舵取りの主役に復活した点に注目」という内容が発信されていました。詳細はメルマガを登録してお読みいただければと思いますが、とても参考になりました。
同日付の日経新聞の朝刊にも「中国、景気刺激鮮明に 金融リスク先送りの懸念も」という記事が載っています。記事によると李克強首相率いる国務院常務会議は景気刺激のために財政出動拡大を示唆し、具体的には23日に人民銀行(中央銀行)が大手銀行向けに過去最大の5020億元(約8兆2千億円)を出したということです。これを受けてしばらく低迷を続けていた上海の株式市場が反応して株高という効果が出ています。宮崎先生のメルマガでは習近平国家主席の政策の失敗とそれによる力の低迷、さらには李克強首相の復活が解説されていますが、トランプ大統領に仕掛けられた米中貿易戦争に対して行動を起こし始めたということになると思います。
日米欧などの先進国のマーケットも中国の動きに対してプラスで応えていますが、それよりも今月末に予定されている日銀の金融政策決定会合で日本の金融緩和方針の見直しがされるのではないかという見方がでて、日本の長期金利が急騰しました。急騰したといってもまだ0.1%を切る水準ではありますが、いつまでも異次元の量的緩和政策を続けることはできないだろうという市場からの出口政策を促すプレッシャーとも取れる動きです。
まだまだ心配するレベルではないと思いますが、金利は景気の先行指標です。これが上がってくるのが一番の危険のサインなので気を付けてウォッチしたいと思います。それほど、心配しなくていいと思っているのは、金利が上がっても(国債の価格が下がるということ)、株価や為替まで揃って安くなるトリプル安になっていないことです。1990年代後半の金融危機の時はこのトリプル安が実現していました。まだまだそのレベルにはないということだと思っています。
最近のマーケットはとにかくトランプ大統領の言動に右往左往させられています。FRBのパウエル議長の発言でさえ一瞬ニュースにはなりますが、1日もたたないうちに影響力がなくなるぐらいの扱いですので、ましてや日銀の動向などはまったく注目されていなかったのですが、アメリカが本格的に出口政策を開始し、ECBもそれなりに出口戦略に言及している中で、次は日銀の番だという先読みが出ているのです。
モリカケ問題で窮地に陥った安倍総理も岸田総務会長が総裁戦に不出馬を表明したことで、どうも3選を果たしそうな雰囲気になってきました。憲法改正の動きなど私と意見が違う面もありますが、安倍総理のおかげで東京にいると確かに景気が良くなってきた実感があります。都心部はどこも建設現場にクレーンがたくさんたっていますし、タクシーの運転手さんと話していてもメチャクチャ景気がいいとはなかなかおっしゃいませんが、一時よりははるかにましになったという言い方をされる方が増えました。
ただ、いまは昔と違って知識を得ることが難しくなくなったので、この好景気に浮かれている人はあまり見ません。株価や不動産価格が高くなっていますが、近い将来必ず下がるだろうと予想している人が多くて、一部の銘柄や都心の超一等地を除いてドンドン値段が上がっていくという状態にはならないようです。でも、それは私たちが少しクレバーになったということなのでいいことだと思っています。
2020年のオリンピックまでは天変地異などがない限り、多分いまの基本は小康状態ですが、大きな目で見ていると少しずつ上がっていく状態が続くのだろうと最近は思いはじめて来ました。首都圏は高速道路網が整備されてきたこともありますが、バブルの頃のようなとんでもない渋滞に出あうことも本当に少なくなりました。バブルが崩壊した時に父と一緒に首都高の湾岸線を走っていると、父が「トラックの数が確実に減っている。これはいよいよバブルが崩壊するなあ」と言ったのをなぜかよく覚えています。
人々がクレバーになったので、みんなが享楽主義を謳歌したあんな時代に戻ることはないと思います。何よりも物質的にはもう十分満たされてしまって、どちらかというと若い人を中心にシェア経済やミニマリスト、あるいは草食男子のように物質的な欲望に興味がない人が増えているようです。人類の進化の方向としては正しい方向に向かっていると思いますが、失われた25年で日本は貧しくなってしまいました。いまの倍ぐらいのGDPレベルにならないと理想的な世の中を作っていくためのオピニオンリーダーになれない状態だと思いますので、まずはみんながお金や経済発展のことを嫌わないでどうすればもう少し豊かになれるかを考えていく流れができればいいなあと思っています。
日銀が金融緩和の出口政策を採らざるを得ない状況に追い込まれるだろうというネガティブな情報ではありますが、経済の世界では久しぶりの日本発の情報で世界のマーケットが動きました。日常的に日本の動向が世界から注目されるようになるために、経済人の方にはがんばっていただきたいと思います。
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ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』

