
トップが語る、「いま、伝えたいこと」

トランプ大統領が貿易問題で中国との暫定合意を目指すという報道がなされています。 FRBに利下げを迫り、強硬派のジョン・ボルトン大統領補佐官を解任(辞任したという話もあります)し、中国との合意の可能性をほのめかし、という見事な株価引き上げ策で、マーケットも素直に反応していて、いつもなら出遅れる日本株も含めて上がり基調が鮮明になってきました。1か月ぐらい前はついに金融市場の崩壊が始まるかとマーケットが一瞬身構えたことを考えると見事なリカバリー・ショットを打ったと言えると思います。
ただ、ボルトン氏の解任は外交面での超タカ派というカードを失ったということに繋がりますし、中国との暫定合意を目指すという発言も貿易戦争で意外な中国の抵抗に驚いて戦線を自ら縮小しようということにも見えます。反トランプのアメリカのマスコミは、ちょっと皮肉も込めて一連の動きを報道するようになってきたようにも思いますが、超一流のディールメーカーであるトランプ大統領がこれから本領を発揮して、来年の大統領選挙を勝ち抜くことができるかどうかで世の中の行く末がずいぶん変わりそうな気もします。
当面の金融崩壊は先送りされましたが、悪くいけば年内に起こる可能性が消えたわけではありませんし、いろいろな問題が根本的に解決されたわけではありません。問題を内包しながらそれでも行き先のないマネーが投資先を求めて世界のマーケットをさまよっている状態です。少し気になるのは、マイナス金利政策が世界中で深掘りされていく様相を示していることです。
欧州中央銀行(ECB)が銀行に課すマイナス金利の幅を上げることを決定し、量的緩和策の再開も決定しました。トランプ大統領がアメリカもマイナス金利政策を模索すべきだという発言をしたという報道も見かけますし、日銀もできることと言えばマイナス金利政策を強化することぐらいだろうという見方もあります。実際に日本の長期金利はマイナス幅が大きくなってきていて、こうなると心配なのは銀行経営が持つのだろうかということになります。
預貯金にもマイナス金利を付さなければいけない事態がいずれやってくるような気がします。その時の対処の仕方を大きく考えておくことも必要なのかもしれません。蛇足ですが、タンス預金はあまり得策ではないと思いますので、何らかの投資の勉強を日本人もしなければいけないのだろうと思っています。
9月1日、第6回日本の看取りを考える全国フォーラム@岡山県高梁市に登壇させて頂きました。看取りの第1人者、柴田久美子先生と共著「いのちの革命」(きれい・ねっと)を出させてもらってから早5年になります。本で対談をしていた頃は、看取り士さんが全国に20人程度だったのに、この5年で600人になったということを聞いて柴田先生のご苦労が結実されていること、そして変わらない先生のひたむきな志に胸が熱くなりました。
会場には、全国の看取り士さんはじめ、実際に近しい人の看取りに立ち合った経験者の方が一堂に会していて、体験談の発表もありました。看取り士さんとして活動されている方には、医師、看護師さんなどがとても多いことが印象的でした。
柴田先生は、当初この活動を西日本ある無医島で始められました。この活動がマスコミで大きく取り上げられて柴田先生は有名になっていきました。若い女性が柴田先生の看取りの考えに賛同して、たくさんこの島にやってきたのはいいのですが、(はっきりと書くのは憚れますが)地元の古い慣習に色々と随分嫌な目にあったと言います。先生は立ち上がり、自治体とも戦い島を出ていまは岡山を拠点に看取り士の活動を広めています。
いまでは超大物有名財界人が、この取り組みに深く感銘を受けて、応援してくれるまでになったそうです。そのことも素晴らしいのですが、私は命の終わりに多く立ち合っている、前述のような医療関係のプロが、続々と看取り士の資格を取りにやってこられるということに、より感動しました。みなさん、自分の職業に誇りを持っておられるからこそ、人間らしい最期を大事にしたいと、目に見えない魂の存在をもっともっと勉強したいと思われるのだろう、と、とても貴い気持ちになりました。
ちょうどこのコラムの載る前週9月13日に、柴田さん原案・企画の「みとりし」という映画が封切られました。榎木孝明さん主演、他にも宇梶剛士さんなど名だたる役者さんがたくさん出演されています。私はいままでに試写会で1回、そして9月1日の全国大会でのプレ上映の2回この映画を観ました。最初のときは涙が止まらずに、日本人ならぜひ見なければいけない映画だという思いを強くしましたし、さすがに2回目はかなり冷静に見ましたが、多くの方にこの映画を観ていただきたいという思いはますます強くなりました。
東京では、老舗映画館である有楽町のスバル座のファイナル上映に選ばれました。もう一度観にいって、来週、感想を書きたいと思います。
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2019.09.23:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】みとりし (※舩井勝仁執筆)
2019.09.16:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】いのちの革命 (※舩井勝仁執筆)
2019.09.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】本当の愛 (※舩井勝仁執筆)
2019.09.02:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】これでいいのだ (※舩井勝仁執筆)

ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』

