トップが語る、「いま、伝えたいこと」
高市内閣は就任から約1カ月が過ぎ、年内でガソリンの暫定税率の廃止を与野党で合意するなど着々と成果を上げています。午前3時から出勤してちょっと騒ぎになったりすることはありましたが、リスクを取って積極的に行動していくという姿勢が好感されているようにも感じます。ただ、前回書いたように金融市場では、隙あらば動きを仕掛けて大きな儲けを出そうという兆候も垣間見えますので注意が必要だと思います。
この原稿は仕事と締め切りの関係で金曜日の早朝に書いていますが、現地時間で木曜日のニューヨーク市場のダウ平均は一時800ドル以上下げました。これは、連邦政府機関の閉鎖が解除されることが確実になってきたことで史上最高値を更新していたのですが、今度は政府機関の閉鎖が続いた影響で消費者物価指数(CPI)の発表が見送られると見られていて、その影響でFRBの利下げも見送られるのではないかという観測によるものだと報道されています。理由は無理やり付けている気もしますので、簡単に言うと上げ過ぎたので調整していると考えればいいと思います。ただ、変動率(ボラティリティ)が高くなっていることは気になります。現代の金融市場ではボラティリティが高いという状態はリスクが高いということにつながります。
日本の市場に影響の大きいナスダックの下落率はダウ平均以上になっているので、6時現在の日経平均先物は前日比1,210円安の50,090円になっています。当面の攻防は日経平均が終値で5万円台を保てるかどうかになるような気がします。
一方緩やかな、でも不気味な円安傾向が続いています。これは積極財政策を取ることが確実視されている高市政権においての財政規律が心配されていることが背景にあります。
思い出されるのは2022年9月にイギリスで起きたトラスショックです。就任したばかりのリズ・トラス首相が打ち出した大型減税を含む経済政策が財政の裏付けがないということで市場からの攻撃をまともに受けて、いわゆるトリプル安(為替安、国債安(金利は上昇)、株安)が起きたことで、就任45日で辞任に追い込まれてしまいました。
国会で議論されている補正予算の規模が20兆円を超えると税制規律に歯止めがかからなくなるので金融筋がトリプル安を仕掛けるのではないかという懸念がささやかれるようになりました。そこで、まず投機筋が円安を仕掛けているのではないかという見方が広がっているようです。女性首相であるという共通性などもあって、タイミングを虎視眈々と狙っているということですが、高市総理はよく勉強されているようなので、うまくかわされることを期待したいと思っています。
もうひとつの大きな懸念はニューヨーク市長に34歳の急進左派とされているゾーラン・マムダニ氏が選ばれたことです。2016年の大統領選挙の民主党の予備選でもう少しで指名を勝ち取るところまでいかれたバーニー・サンダース上院議員やその影響を強く受けているアレクサンドリア・オルシカ・コルテス(AOC)下院議員の支援を受けていて、彼らと同じような民主社会主義者であり、右派から見ると共産主義者というレッテルを貼られるような過激な主張をする市長が世界の金融の中心であるニューヨークに誕生することになりました。
トランプ大統領の就任に匹敵するようなアメリカ政治にとっては革命的なできごとになる可能性があり、マーケットとの関係がどうなっていくか注視していきたいと思います。
今週ご紹介する本は、山内尚子著『神さまライフ あなたの人生を美しくする魔法』(きれい・ねっと)です。誰もが自分の内側に神さまを持っている。それをいかに活かすか、それを教えてくれる一冊です。人生とはシナリオを作っていく過程であり、自分が生まれた時代や家庭など変えようのない『宿命』と、その時代や場所による『運命』の要素に加え、私たちの『自由意志』に基づいて人生は構成されていきます。この部分について意識することは非常に重要であり、新しい時代に自らを誘うには欠かせない部分です。
その為にはどうすればいいのか、自分については自分しか分からない、だから自らを主人公であると当事者意識を持ち、曖昧にしてしまいがちな部分を明確に見える化する。方法論については図を用いて分かりやすく解説されています。例えば人生の流れについて図を作る事で、ネガティブなできごともその後のポジティブなできごとに変換します。それは結果を得るために必要な事であると自覚できるなど、学べばすぐに実践できる内容も多く、容易に生活に取り入れることも可能でしょう。
また、自らを労(いたわ)る意識も非常に重要です。前述の自分への理解を深める要素と合わせる事ができれば、外部からの干渉によって作られた自分ではなく、本来の自分を見つめる事ができ、人生の正しい道、モチベーションを得ることが可能になります。スピリチュアルの要素が色濃くもありますが、全体に共通しているのは、自分の深い部分を見つめ、大切にするという点ではないでしょうか。
生まれ持った環境について、若い世代を中心に親ガチャ等という単語を使ってネガティブに捉え嘆き、モチベーションを低下させる要因となっているいまの時代に、宿命も運命もポジティブに捉えて味方にしていこうという本書に書かれた考え方は、時代に即しているものであり、この考え方を身に付ける事ができれば、一つのアドバンテージになるという点から、ある意味では若い人ほど読むべき一冊かもしれません。
ちょっと蛇足ですが、10数年前ちょうど父が亡くなる前後のことですが、幼い子供を残して配偶者を失ったという同じ境遇であることから、父の話を毎月聞くために子どもを連れて姫路から熱海まで通っていただいた山内先生のことを父は特別に感じていたのだと思います。その恩を息子である私に返そうとしてくれたのか、スピリチャリティーの理屈中心の理解で実践が伴っていなかった私を神社等に連れて行ってくれていって、実地に大いなるものの存在の感じ方を教えてくれていたことがありました。おかげさまで、まだ理屈が勝っていますがある程度は人智を超えた力を感じることができるようになりました。そういう意味では師匠の本でもありますし、とても読みやすいものなのでぜひお読みいただければと思います。
=以上=
2025.11.10:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】「ひすいこたろうさんに学ぶ、やわらかく生きるということ」―「幸せにならなくたっていいんだよ」と言われた日のこと― (※佐野浩一執筆)
2025.11.03:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】サムシンググレートの聖書 (※舩井勝仁執筆)
舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。 2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けた。(※「にんげんクラブ」の活動は2024年3月末に終了) 著書に『生き方の原理を変えよう』 |
佐野 浩一(さの こういち) 株式会社本物研究所 代表取締役会長公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事 ライフカラーカウンセラー認定協会 代表 1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。 著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』 |










株式会社船井本社 代表取締役社長



















