日日日是好日 〜熱海だより〜 -熱海秘書 相澤智子-

このページは、2009年11月から(株)船井本社 熱海本社で船井幸雄の秘書として勤務することになった相澤智子(あいざわ さとこ)によるコラムページです。
日々、船井幸雄やまわりの人たちと接する中で気づいたこと、学んだことなどを皆さまにお伝えしていきます。
2010年9月22日
日本の素晴らしい町工場の職人

 こんにちは。
 やっと厳しい暑さを過ぎ、青空がすがすがしい季節となりました。
 外を歩くと、風が気持ちいいですね。
 皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 
 さて、『岡野雅行』さんという方がいます。
 岡野さんは1933年(昭和8年)生まれの、東京都墨田区にある町工場の金属加工の職人さんです。
 私は岡野さんを、何年か前にテレビで紹介されているのを見て知りました。お人柄も下町の人情味あふれる素敵な方です。
 岡野さんのことを知り、素晴しい方だと感動いたしましたので、ぜひ皆さまにもご紹介させていただきたいと思います。

 岡野さんは、「携帯電話を世の中に普及させた人」として有名な方です。
 岡野さんは携帯電話のリチウムイオン電池のケースを作り、そのおかげで携帯電話は小型化され、世に普及されるようになりました。
 深絞りというのは、一枚の金属の平らな板を、どこも溶接せずに筒状にするという技術です。岡野さんは今では、「世界的職人」「金型の魔術師」と呼ばれ、ペンタゴンやNASAなどからも注目されています。


 岡野さんは、「痛くない注射針」を作ったということでも知られています。
 私が見たテレビ番組の中で、岡野さんが痛くない注射針(ナノパス)を作るまでのお話が紹介されていました。

 岡野さんはある日、テルモ(医療機器メーカー)から、「糖尿病の患者さんのために、痛くない注射針を作りたい。ぜひ岡野さんの力を借りたい」と依頼があったそうです。
 詳しい話を聞くと、そのテルモの社員の男性は、ある日、小児糖尿病の子供に出会い、そのお子さんが毎日決まった時間にお腹にインシュリンの注射を打っているということを知ったそうです。そのお子さんのお腹は、毎日の注射のために皮膚が硬くなり、針が通りにくくなっていました。毎日食事のたびに痛い注射を我慢し、治療している人がたくさんいるということを知ったテルモの社員の男性は、岡野さんに針の製造をお願いしたのだそうです。
 「痛くない注射針」というのは、蚊と同じような針で、学者の人に「そのような細い針を作るのは物理的に無理です」と言われたそうです。しかし岡野さんは今までとはまったく違った発想で製造に挑戦し、世界一細い「刺しても痛くない注射針」の量産化に成功しました。
 その後、今まで一万回以上インシュリン注射を打っていた小学生のお子さんに「ぜんぜん痛くなかった。ありがとう」と言われたそうです。岡野さんはその時のことを「これまで生きてきて何より感激した」と、出演されていたテレビの中で話していました。

 私はこれまで、日本にこのような素晴らしい技術を持った方がいるということも、日本の町工場の技術が世界に誇れるものだということも知りませんでした。
 岡野さんのお父様も同じく金型の職人であったそうなのですが、昔は、素晴らしい技術を持った職人さんというのはたくさんいたのだそうです。しかし現在は、昔のような技術を持った職人の数は少なくなっているそうです。
 ほかの国には作れない、日本が誇れるすばらしい技術を持った人がどんどん減ってきているというのは悲しいことです。
 現在のハイテク産業を支えるローテクな部品を作れる職人がいなくなるということは、このままいくと、作りたいものがあっても理論上ではできるが、技術がないばかりに作れない、という状況になってしまうそうです。

 岡野さんは、「もっとはみ出して、人がやらないことをやるんだ」と話します。そして世渡り力を身につけることも大事だと言っています。これは、船井が話す「長所進展」と「調和が大切だ」という話と共通しているように思います。

 岡野さんは、『学校の勉強だけではメシは食えない!』(こう書房刊)という書籍の中で、このように述べています

 将来、何をやっていいのかわからない!と言っている君らに俺は言いたい。誰だって、自分の好きなこと、やりたいことの一つや二つはあるだろう。それをしないから、ふやけた大人になってしまうんだ。余暇で好きなことをやっているのは、仕事が好きでないやつがすることなんだ。人生の大切な時間を、そんなことでごまかしちゃダメだよ。
         (中略)
 これからは、安定か不安定かで選ぶより、まずは自分が本当にやりたいことを早く見つけるんだ。親からは「勉強しろ。安定した仕事に就け。」と言われるかもしれないけれど、俺から言わせたら、いい学校に入っていい会社に行くことがどれほどの意味があるんだろう。
 そんな気持ちばかりで生きたら、人間が小さくなってしまう。一体何が面白いんだ。少しでも、相手より優位にいたくて、人の足ばっかり引っ張るやつも出てくる始末だ。そんな卑怯な生き方はいけないよ。もっとお互いを認めあって、つまらない競争をするよりも自分を高めよう。食いっぱぐれたくなかったら、好きなこと、人がやらないことをするのが一番だ。どのみち、仕事はどれも大変さ。だったら好きなことを仕事にしたほうがいいんだ。好きこそものの上手なれって言葉もあるからな。
 好きなことなら、どんな大変でも少しはガマンができるだろう。ヤル気だって湧くだろう。嫌いな仕事も長くやっていればそれは愛着はわくけど、できれば好きなほうがいいに決まっている。
         (中略)
 何度も言うけど、君が、自分の人生の主人公なんだ!ほかの人は、君の人生を生きてくれないぜ。みんな自分のために生きることがひいては、世のため、人の役にたつことなんだ。
 いい人生が訪れることを祈っているぜ!(ここまで)


 岡野さんは、生きていく上で大切なことは、

・自分が本当にやりたいことをやること
・常に技術、知識を磨くこと
・他の人がやらないことをやること
・失敗と経験を積むこと
・人から得た恩は忘れないこと


 であると述べています。

 ストレートな岡野さん節に読んでいて勇気をもらえます。たくさんいろんなことをご経験され、成功されている岡野さんの言葉だがら説得力があり、胸に響きます。
 岡野さんは現在77歳ですが、現在も最先端で活躍されていて、こちらが逆にパワーを頂いてしまうくらいエネルギッシュな方です。お話は、落語を聞いているように痛快です。
 書籍も何冊か出ていますので、興味のある方や元気になりたい方にぜひおすすめいたします。

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Profile:相澤智子(あいざわ さとこ)

船井家の愛犬ゴンちゃんと一緒に。

1981年仙台市生まれ。6年間美容室に勤務後、一転して、2008年に船井幸雄グループに入社。学生時代から、船井幸雄の著書を愛読し、2007年の「船井幸雄オープンワールド」に参加。その後、すぐに「にんげんクラブ」に入会。2009年11月より、(株)船井本社の熱海本社にて、船井幸雄の秘書業務に携わる。現在、大好きな船井幸雄のそばで、いろいろな刺激を受けながら楽しく働いている。好きなものは、音楽鑑賞、ジブリ映画、犬。



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