“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2018.10
米中間選挙(衰えぬトランプ人気)

 「共和党はJOB(仕事)を作り、民主党はMOB(暴徒)を作る、民主党に投票するのは狂った人たちだ!」
 中間選挙を前にしてトランプ大統領の舌ぽうは収まりません。もはやトランプ大統領の暴言はいつものことと誰もとがめるわけでもありませんし、普通のことのようになっています。メディアはトランプ氏を批判し、世界中のマスコミもトランプ氏の暴走を非難し続けています。米ピュー・リサーチ・センターが世界25ヵ国の2万6000人を対象に行った国際的な世論調査によると、トランプ大統領への信頼感はロシアのプーチン大統領や中国の習近平主席も下回ってわずか27%に留まったということです。一方でトランプ大統領を信頼していないと答えた人は70%に及んでいるというのです。フランスではトランプ大統領を信頼しているという人はわずか9%、メキシコでは6%という有様です。逆に信頼感がある政治家はドイツのメルケル首相が52%、フランスのマクロン大統領が46%ということです。普段の言動や政策をみているとこのような世論調査における結果は納得できるところです。
 ところがかような世界の調査結果が国内での人気、ないしは国内での選挙結果に直結するわけではありません。トランプ大統領は米国第一主義で他は顧みず自分勝手な振る舞いばかり目立つので他国の人々に嫌われています。一方のメルケル首相などは国際協調派なので国際的な評判はいいわけです。ところがそのメルケル首相は国内の移民政策でつまずいて支持率が急速に落ちて政権維持に暗雲が漂ってきています。一方、嫌われ者のトランプ大統領は中間選挙を前にして国内での支持率が上昇、人気がさらに盛り上がってきているのです。日本国内のニュースだけみたり聞いたりしていれば、「そんな馬鹿な」と思うかもしれませんが、現実にトランプ氏への支持率は上がってきました。
 中間選挙における共和党の候補者はトランプ氏に選挙応援の遊説を懇願している状態で、なんとかトランプ人気にあやかって自らの選挙での勝利を勝ち取りたいと必死なのです。最近の話題となっているのは、かつての共和党の大統領候補の指名争いで激しくお互いを罵りあったテッド・クルーズ上院議員までもトランプ人気にすがろうと応援を頼んでいたことです。かつての共和党の大統領指名争いでは激しく対立した二人ですが、そのトランプ氏がクルーズ氏を応援する姿は話題となって、世界中にホットなニュースとして流されました。
 10月21日のNBCと米ウォール・ストリート・ジャーナルの世論調査によればトランプ氏の支持率は47%と9月より3%アップ、中間選挙を前にして過去最高となったのです。因みにCNNの調査においてもトランプ氏への支持率は9月より3%アップで支持率44%と上昇してきています。この勢いですと中間選挙において大方の下院の民主党優勢の報道を翻して上院、下院ともトランプ氏率いる共和党勝利という番狂わせも考えられるでしょう。

●トランプ氏の選挙戦略
 トランプ氏の選挙への戦略は巧みです。その手法は徹底していて、自らの支持者に向けてその要望をかなえるべく強引な政策を推し進めるわけです。これが支持者に受けて支持者はトランプへの信頼をますます揺るぎないものにしていくわけです。
 事あるごとに世界から非難されるトランプ氏ですが、彼ほど公約を守るために奔走し、実現していった大統領もいないでしょう。就任直後にはTPPからの脱退、その後、今年にはメキシコ、カナダとの貿易交渉で従来の3国の協定だったNAFTA(北米自由貿易協定)を徹底的に見直しました。メキシコとカナダに激しい圧力をかけたわけです。普通同盟国にはかような圧力をかけることはしないのが当たり前の国際関係の礼儀ですが、トランプ流はそのような常識は通用しません。ですからトランプ氏は他国の国民から嫌われるのですが、逆に米国の支持者はトランプ氏に熱狂するわけです。トランプ氏は自らの人気について「支持者集会で自分に向けられる愛のレベルは見ていて美しいほどだ」と自画自賛していますが、本人は本気でそう感じているものと思います。またかようなトランプ氏への熱狂的な支持者は米国全土にあまたいるのです。

 特に全米で一番力のある団体、キリスト教福音派のトランプ氏への支持は強烈です。
 福音派はキリスト教の伝統的な価値観を大事にしています。ですから妊娠中絶や同性婚、LGBT(性的少数者)の容認を義務化するような現在の流れを苦々しく感じているわけです。彼らにとっての従来の価値観が否定されつつある現状をなんとか変えたいという強い衝動があるわけです。それがトランプ氏への圧倒的な支持となって現れています。トランプ政権によって、性的に不適切な行為を行ったとして告発されている保守派のブレッド・カバーノ氏が最高裁判事に指名されました。マスコミ論調をみるとこの人事は非難の一色ですが、全米の世論調査をみるとこの決断でトランプ氏への人気は高まっているのです。我々、米国を外からみている人からみて、「こんな事をして!」と思われるような行為のほとんどが実は米国内においてはトランプ人気の原動力になっているわけです。
 以前にもこのコラムで書きましたが、キリスト教福音派の牧師までもトランプ氏を熱烈に支持するわけです。彼らからみるとトランプ氏の女性問題も金銭問題も暴言も大きな問題ではないのです。彼らにとって自らの価値観ほど大事なものはなく、それを守ってくれるトランプ氏はまさに彼らの守護神であって、トランプ氏に道徳感を求めていません。政治家とは思い切って政策を実行する力こそが一番大事なわけで、その資質を備えているトランプ氏は多少のスキャンダルがあっても関係ないという考えです。聖職者を選ぶのであればその人物に清廉さを求めるかもしれませんが、政治家に求めるものは政策を実現する実行力です。その点ではトランプ氏は極めて稀な資質を有している優れた政治家というわけです。
 トランプ氏は何故、極端な世間の反感を買うような政策を実行するのでしょうか? トランプ氏は広範囲な支持を得ようと思っていないのです。選挙戦略として自らの支持者を確実に固める戦略です。この戦略が功を奏してキリスト教福音派のトランプ氏への支持は8割近いのです。

●根強いトランプ氏人気
 米国では現在社会が分段されて価値観も二分されている状況です。これは米国だけでなく世界的な傾向でもあります。保守とリベラルの考えの違いはますます先鋭になってお互いがお互いを認めない傾向が強まっています。SNSなどの普及によって人々は情報やニュースも自分の好きなメディアから取るようになっています。SNSなどのニュースは同じような考えを持った人が流していますし、その方が受け取る方も気持ちがいいわけです。こうして自分の好きなニュースや考え方ばかりに接しているうちに、自分の考えがますます強くなってきて、他の考えや思想を受け入れがたくなっていくわけです。こうして保守とリベラルはますます分段し、他の考えを否定するようになるわけです。ある意味政治が暴力的になってくるわけです。そのような流れを政策面で後押しして助長させているのがトランプ氏とも言えるでしょう。
 一方、これも以前このコラムで書きましたが、米国の民主党はここにきてかなり左傾化しています。前回の民主党の大統領指名争いでも最後まで激しい戦いをしたバーニー・サンダース氏は相変わらず全米で人気です。自ら社会主義者と言明して大学授業料の無料化などを訴えるサンダーズ氏は特に若い人に人気があるわけです。かような左傾化の流れを受けて民主党の候補者でも社会主義を信奉するような過激な候補者の勝利が目立ってきました。現実に米国の若者の意識調査をみると、社会主義の方が資本主義より人気が高いのです。若者の意識調査によると18歳から29歳までの人は資本主義より社会主義の方に魅力を感じているようです。特にこの傾向は民主党支持者で顕著で、民主党支持者に限ると、資本主義より社会主義の方が魅力的と答えた人が過半数との調査結果がでています。一方の共和党支持者は社会主義を否定する人が大半です。
 かように極端な政治情勢が米国全土で広がっていて、保守的な考えの支持者はトランプ氏支持に固まってきています。あまりに左傾化が激しい現在の米国の民主党をみると、今回の中間選挙はともかく、今後大きく党勢を伸ばせるかどうか疑問に思います。
 トランプ氏の人気は根強く、2020年の大統領選挙でもトランプ氏が再選される可能性がかなり高くなってきたように思えます。民主党はトランプ氏に対抗できるような大統領候補者がさっぱり現れません。CNNの調査によると2020年の民主党大統領候補のトップはオバマ大統領時代に副大統領だったジョー・バイデン氏(75)で二位はバーニー・サンダース氏(77)です。これでは民主党はトランプ氏に勝てるとはとても思えません。
 トランプ氏の出現によって世界は不安定化して対立が激しくなっています。そのトランプ氏は常にニュースになり、言動や政策が批判にさらされています。11月に行われる中間選挙ではトランプ氏率いる共和党が負ける予想が大半です。しかし米国においてトランプ人気は依然健在でトランプ氏の圧倒的な人気は持続しています。米国第一主義は実は米国人に評価されているのです。共和党が予想に反して中間選挙で勝利する可能性もあるでしょうし、2020年の大統領選挙においてもトランプ氏の再選が濃厚に思えるのです。


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バックナンバー
18/10

米中間選挙(衰えぬトランプ人気)

18/09

輝き失った金相場

18/08

急進化する米国政治

18/07

衰えぬトランプ人気

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米中対立とトランプ劇場

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監視社会

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イラン攻撃はあるか?

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強権、独裁化の時代

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新著『株の暴騰が始まった!』まえがき

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イアン・ブレマーの警鐘

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ビットコイン相場は終了へ

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年金が大黒字

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止まらないデフレの行く末

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衝撃的な英国の離脱派勝利

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トランプ旋風が写すもの

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新著『世界経済のトレンドが変わった!』まえがき

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中国の結婚事情

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郵政上場

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荒れた株式市場の先行きは?

15/07

異常気象の連鎖

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値上げラッシュ

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新刊『株、株、株! もう買うしかない』まえがき

15/04

日米同盟強化の恩恵

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アベノミクス その光と影

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ギリシアの悲哀

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止まらない<株売却ブーム>

14/12

アベノミクス

14/11

バンザイノミクス

14/10

新刊『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(舩井勝仁との共著)まえがきより(※目次、舩井勝仁のあとがきも含む)

14/09

加速する物価高

14/08

新冷戦という脅威

14/07

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14/06

深刻化する人手不足

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14/04

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09/01

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ドバイの落日

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ターミネーター


暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
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Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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