ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2018.02.01(第48回)
トランプ暴露本と大統領罷免の戦略

 早いもので2月になりました。昨年同様、今年もあっという間に時が流れながらも、私達の社会や世界が大きく変わる激しい一年になるような予感がします。
 今回はアメリカのトランプ政権で起こっていることがテーマです。
 先月の半ば、ジャーナリストのマイケル・ウォルフの『Fire and Fury(炎と怒り)』が発刊になりました。和訳は2月の後半になるようです。英語版であればアマゾンのキンドルですぐにダウンロードして読むことができます。私も早速ダウンロードし、読んでみました。エンターテイメントとしてもよく書かれており、楽しんで読むことができる本です。

●大統領は想定外だった
 著者のマイケル・ウォルフは主にメディアの裏側を暴露本にしたノンフィクションでよく知られたジャーナリストです。今回のトランプの暴露本でも、トランプ政権の200人近い数の関係者にインタビューして書いたそうです。そのせいか、一読するとトランプ政権のドタバタ喜劇を目の前で見ているかのような臨場感があり、引き込まれてしまいます。
 ところで、この本で一番驚かされるのは、トランプ陣営のだれもトランプは勝利するとは思っていなかったことです。トランプは大統領選挙の出馬で知名度をさらに高め、新しいネットワークテレビを立ち上げる計画でした。

 また、イヴァンカとジャレッド・クシュナー夫妻は、富裕な夫婦というだけのこれまでの低い知名度から、大統領選を背後支えた夫婦として有名になり、ビジネスに生かすことが目的でした。さらに大統領顧問のケリーアン・コンウエーは、大統領選の参加で有名になり、ケーブルテレビのスターコメンテイターになることを目指していました。そしてメラニア夫人は、大統領選の喧噪が終わると、いつものなに不自由ない静かで豊かな日常に戻ると思っていたのです。
 また、安全保障担当補佐官に任命されたマイケル・フリンは、モスクワの講演でロシア側からもらった4万5000ドルの講演料が後に問題になるとの指摘された際、どうせトランプは負けるのだからそのようなことは問題にならないと返答していたのです。

 トランプも含めたトランプ陣営の目標は、6ポイント以内の僅差でクリントンに敗北することでした。その後は政治のプロであるクリントンに任せればよいと考えていたのです。
 このように、多くの関係者がトランプの敗北を確信していたのは、関係者のだれもが集中力がなく、散漫で、物忘れがひどく、一貫性がまったくなく、そして衝動的なだけのトランプは基本的にバカなので、大統領になるべきではないと思っていたからにほかなりません。

 しかし、2016年11月8日の大統領選でトランプははからずも勝利してしまいました。そのときのトランプはまるで幽霊でも見たかのように狼狽し、メラニア夫人の目には涙がありました。自分がモデルだったときに撮られたヌードがまた話題にされると恐れたようでした。
 そのようなトランプですが、しばらくすると気を取り直し、自分ほど大統領にふさわしい人物はいないと言い出しました。

●バノンの政権とバノンの放逐
 そのようななか、唯一大統領選の勝利を想定し、具体的な政権構想を持っていたのは主席戦略官となったスティーブ・バノンだけでした。勝利後バノンはFOXニュースチャンネルの元CEOを含め、関係の近いごく少数の人々と集まり、来るべきトランプ政権の外交政策などを協議していたのです。

 しかしそのようなバノンは、トランプ・ジュニアがクリントンに不利な情報を持つといわれたロシア人弁護士と会ったことを「売国的」で「愛国心に欠けた行為」だと非難しました。そしてドン・トランプ・ジュニアは、ロシア人との関係を捜査している当局によって、「卵みたいにかち割られる」はずだと本では語っています。
 本で暴露されたバノンのこうした発言はトランプを怒らせ、バノンからの謝罪も拒否する状況になっています。バノンは政権から離れた後もトランプを背後から支援する活動を行っていました。しかし、今回の暴露本でトランプとの関係が悪化したので、そのような活動も行うことができなくなりました。

●憲法修正第25条適用の可能性
 このような内容のいわば奇想天外な暴露本ですが、やはり大きな違和感を感じるのも事実です。ひとつは、著者のウォルフは関係者からの綿密なインタビューを通して書いたとしていますが、それでもバノンや関係者のプライベートなミーティングの発言が、それこそその場にいたかのような臨場感で描かれていることは不自然です。もしかしたら著者のウォルフの、話をおもしろくするための作り話ではないのかと思いました。

 事実、ウォルフはメディア王のルパート・マードックを描いた暴露本でも同じように指摘されています。ジャーナリストというよりも、作家としての側面が強い人物かもしれません。
 そして次の違和感はトランプの描き方です。自分の行動をコントロールできない認知症初期の患者のような描き方なのです。トランプはここまでバカなのかと、強く読者に印象づける作為的なものを感じます。

●大統領罷免に向けた動きの一部か?
 民主党や共和党主流派の一部の強硬な反トランプ陣営は、ロシアゲートでは大統領選挙へのロシアの明確な関与を示す決定的な証拠に欠け、トランプの弾劾では暗礁に乗り上げているのが現状です。そのようななか、注目されているのが「合衆国憲法修正25条4項」を使って大統領を罷免する方法です。

 これは「クーデター条項」と呼ばれるものです。副大統領および閣僚の過半数が、上院の臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務を遂行することができないという文書による申し立てを送付するとき、副大統領は直ちに大統領代理として、大統領職の権限と義務を遂行するとしたものです。
 その後、大統領が上院臨時議長および下院議長に対し、不能が存在しないという文書による申し立てを送付することが可能です。そのときには大統領は、その職務上の権限と義務を再び遂行できます。ただし副大統領および閣僚の過半数が、上院臨時議長および下院議長に対し、大統領がその職務上の権限と義務の遂行ができないという文書による申し立てを4日以内に送付するとき、これは打ち消されます。この場合、連邦議会は48時間以内に会議を招集し、多数決でどうすべきか決定します。副大統領と閣僚の異議が通ると、大統領はこの時点で罷免されます。

 これを適用するためには、大統領が明らかに執務遂行が困難であることを証明する必要があります。今回発刊された『Fire and Fury』の暴露本は、本全体がトランプの大統領としての不適格性を示す描写ばかりが目立つ構成になっています。事実、著者のマイケル・ウォルフは、インタビューで本執筆の目的を聞かれると、「トランプは裸の王様であることを証明し、側近のスタッフも彼がバカで間抜けであると思っている事実」を描きたかったと発言しています。
 この本は一大ベストセラーになっています。ということでは、これから米国内では、これほど衝動的で間抜けな人物が、大統領としての執務が果たせるのかという強い疑念が国民的な世論として盛り上がり、これを追い風に反トランプ陣営は憲法修正第25条の適用を視野に入れ、トランプを追い詰める戦略をとることでしょう。

●Qアノンのリークと暴露本
 しかし、さらにこの本には別な隠された側面があるようなのです。それは、いまアングラのオタク系掲示板「8Chan」に投稿されているQアノンと呼ばれる人物のリークとの関係で明らかになります。
 いまアメリカにあるアングラ系掲示板の「4Chan」や「8Chan」にトランプ政権の内部関係者としか思われない人物のからの情報のリークが続いています。初めての投稿は昨年の10月28日で、投稿はすべて読者に答えのリサーチを求める質問形式になっています。米エネルギー省の国家最高機密アクセス権限であるQクリアランスを持つという匿名(アノニマス)の人物による投稿です。そのため、ニックネームとしてQアノンと呼ばれるようになりました。
 当初は単なる陰謀系オタクによるいたずらか妄想にすぎないと思われていましたが、そうではないことが次第に明らかとなりました。トランプ政権の内部にいる人物ではないと分からない情報があまりに多いのです。トランプのツイッターもそうした証拠のひとつです。トランプの投稿の前日や数時間前に、その内容を示唆するリークがQアノンからあるのです。
 たとえば、11月20日、「4Chan」に投稿している何人かがQアノンに、本当にトランプ大統領の周辺にいる人物であることを示す証拠として、「wonderful day(すばらしい日だ)」というキーワードをトランプにツイートしてほしいと頼みました。

 Qアノンはこれに同意しました。24時間後のトランプのツイートには、実際にこのキーワードが散りばめられていたのです。
 さらに、テロや大きな政治的な出来事が起こる前にそれを示唆する投稿も多いのです。
これらの証拠から、Qアノンがトランプ政権の内部にいる本物の内部告発者である可能性は高いと思います。そして、こうした一連のQアノンの投稿から分かることは、トランプ政権はディープステーツと呼ばれるCIAをはじめとした既存の支配勢力を打倒するために結成された本格的な革命政権であり、既存の政治勢力と命懸けの戦いを繰り広げているという水面下の状況です。そうした戦いの渦中にいるトランプは、暴露本で描写されているバカで間抜けなトランプ像とはあまりに掛け離れています。

●Qアノンは情報機関中心のチーム
 Qアノンとはいったい何者なのでしょうか? 実はこれまで分からなかったQアノンの真の実態を示す情報が出てきました。

 アメリカのオルタナ・メディア最大手のひとつに、アレックス・ジョンーズが主催する「Infowars.com」があります。ここの番組には、しばしばCIAの局員で現在秘密工作を担当しているザックと呼ばれる人物が、声だけで出演することがあります。アレックス・ジョーンズがもっとも信頼する情報提供者です。現在、モロッコにいるようです。
 これまで提供された情報は非常に正確で、大きな事件が起こる前に予告することが多かったのです。また、トランプ政権が水面下で繰り広げている既存の支配勢力との闘争の実態も明らかにしてきました。
 このようなザックですが、つい最近放映されたアレックス・ジョーンズとのインタビューで、Qアノンは自分も含めた4人のチームであること、そしてこのチームにはトランプ政権の中枢にいる人物が加わっていることが明かされました。

●ウィキリークスからリークされた暴露本
 このインタビューでは、トランプ政権の水面下で起こっている出来事の詳しい内部情報がリークされました。そしてそれとほぼ同じ内容が、1月7日に「8Chan」に投稿されたのです。それらの投稿には、この暴露本の発刊には別の意図があることを示していました。
 1月7日の投稿でQアノンは暴露本の『Fire and Fury』の全編がジュリアン・アサンジが主催する内部情報リークサイト、ウィキリークスからダウンロードできることを告げていました。さらにダウンロードした本の2つの章を見るように指示されていました。
 すると、暴露本の第6章、「AT HOME」と第9章の「GOLDMAN SACHS」が、ダウンロード版ではそれぞれ「AT HQME」と「GQLDMAN SACHS」というように、Oであるべき箇所がQに変更されていたのです。これはQアノンが、ウィキリークスを通してこの本をダウンロードできるようにしたのは自分であり、そしてQアノンはジュリアン・アサンジと関係を持っていることを示しているようでした。事実、これらのことを「8Chan」でだれかがQアノンに直接聞いたところ、そうだとの返答でした。
 そして、ザックとQアノンの投稿はジュリアン・アサンジに関して以下の情報を伝えてきました。

・ウィキリークスの創始者でロンドンのエクアドル大使館に亡命していたジュリアン・アサンジは現在アメリカにいる。Qアノンのチームが守っている。早ければ来週中にもアサンジはアメリカで解放され、自由になるはずだ。

・その後アサンジはQアノンのチームに協力して、11人の王子が逮捕されたサウジアラビアで最近起こったような政変を米国内で引き起こす。

 さらに、1月7日の情報リークとザックの証言は、とても重要なある事実を伝えてきたのです。それは、暴露本の発表のタイミングとバノンの放逐、そして北朝鮮攻撃は連動しているという事実です。

●北朝鮮攻撃は間近か?
 1月7日、Qアノンとザックは北朝鮮に関して次の情報をリークしてきました。

・北朝鮮のキム・ジョンウン体制は近いうちに崩壊させられる。すでに米中ではこの方向で合意ができている。実際に手を下すのは中国である。

・しかし、これは戦争にはならない。1月7日、フロリダ州のケープ・カナベラルから、スペースX社が開発したファルコン9が打ち上げられた。搭載されているのは、国防省のズーマと呼ばれる謎の衛星である。この衛星は北朝鮮の攻撃用衛星だ。電磁パルスによってミサイルを中心とした攻撃システムを機能停止にするEMP兵器だ。

・中国はこの衛星による攻撃と連動してキム・ジョンウン体制の崩壊に向けて動く。

・中国はアメリカと協力する条件として、アメリカに亡命中の中国の不動産王、マイルス・クワーク(本名、郭文貴)の引き渡しを要求した。クワークは、1990年代から中国共産党中枢と関係があり、大規模な汚職の実態を体験してきた。いまはユーチューブを通して、中国共産党の激しい批判を展開している。こうしたクワークの活動に共産党は反発し、引き渡しを要求している。

・北朝鮮は、キム・ジョンウンが統治しているわけではない。CIAのあるセクションが作った国家だ。トランプ政権はクワークを引き渡して中国と協力し、CIAのセクションもろとも葬り去る計画だ。

 これはなんとも驚くような情報です。実はバノンに資金を提供している新しいパトロンが、このクワークなのです。ここで暴露本の発刊のタイミングと結び付いてきます。
ディープな情報ですが、今後どうなるでしょうか?

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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