ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。
今回は、高市政権の防衛政策に潜む大きなリスクについて書く。ただし、高市政権が中国との関係で高めている緊張についてではない。これは日本でも広く報道されているので、よく知られたリスクである。今回解説するリスクは、それとはまったく関係ないものだ。日本では報道されることはまったくない。それは、高市政権がトランプのアメリカに近すぎることが引き起こすリスクである。このリスクは非常に大きい。
昨年の10月24日、就任したばかりの高市首相は所信表明演説で、防衛力を抜本的に強化すると表明した。今年度に防衛費を国内総生産(GDP)の2%相当まで増額したうえ、次の防衛予算の中期計画を1年前倒しで改定する方針。トランプ米政権から増額圧力がかかるなか、予算の必要性の議論と財源確保が課題になる。
防衛費はまず、今後5年間で必要な資金の総額を決め、各年度ごとに予算を計上する。2023年度にスタートした「防衛力整備計画」では、27年度まで5年間の総額を、これまでの1.5倍超の43兆円とした。歴史的な増額で、米国の強い期待に応えるものでもあった。
現行の計画では、最新鋭ミサイルの開発・量産や装備品の充実、研究開発の強化、自衛隊施設の改修などにお金を使う。予算額は毎年増やしてゆき、27年度は海上保安庁など関連予算を含めて11兆円にする。22年度のGDP(約560兆円)に対して、約2%になる計算だ。
3年目にあたる25年度は、当初予算ベースで8.5兆円を計上した。関連経費を含めると9.9兆円で、22年度のGDPの1.8%だった。高市首相は所信表明で「新しい戦い方の顕在化など、安全保障環境の変化」があると指摘し、防衛力強化の必要性を強調。今後編成する補正予算で防衛費を1兆円程度増やせば、今年度中に2%を達成することになる。
この計画だけを聞くと、緊張感が次第に高まっている国際情勢に対応するためには必要な処置ではないかとの印象を受ける。防衛力を一挙に高度化し、ハイテク兵器にアップグレードしている中国を意識すると、将来起こる可能性のある台湾有事にアメリカとともに対処するためには、当然の政策のように見えるかもしれない。
●「米日技術繁栄協定(TPD)」が日本にもたらすもの
高市政権の防衛力増強の計画は、安全保障の観点だけでその意味を読み取られるべきものではない。さらに決定的な視点が必要なのだ。その視点を提供するのが、昨年の10月28日にトランプ政権との間で締結された「米日技術繁栄協定(TPD)」だ。
これは、日米間で締結された、先端技術分野における包括的な協力枠組みである。本協定は、トランプ政権が進める「技術繁栄ディール」シリーズの一環であり、同年9月の米英間の協定に続くものである。
その内容は、以下の主要技術分野において、研究開発の加速、標準化の調整、および国家安全保障の強化で協力することに合意するものである。
・人工知能 (AI):
イノベーション促進のための政策枠組み策定、インフラ・ソフトウェアの輸出調整、安全基準の策定。
・半導体:
サプライチェーンの強靭化と、AIに不可欠な最先端分野での連携。
・量子技術:
量子コンピューティングの研究保護と進展に向けた共同の取り組み。
・通信 (6G):
信頼性の高い6Gエコシステムの構築と、Open RAN等の活用。
・バイオ・医薬品:
知的財産保護およびサプライチェーンの脆弱性是正。
・エネルギー:
商用核融合炉の開発(JT-60SA等の活用)に向けたパートナーシップ。
・宇宙:
アルテミス計画を通じた月面探査や、民間技術開発での協力拡大。
この協定の締結の背景と目的は、まず中国が巨額投資を行う先端分野で日米同盟が主導権を握り、軍事転用や技術流出を防ぐ狙いがある。さらに、研究の透明性と機密保護を強化し、日米の信頼できるパートナー間でのエコシステム構築を目指す。
●「パランティア」による日本政府のシステム構築
協定の文面だけから見ると、日米関係を強化して中国への依存を減らし、高まる中国の安全保障上の脅威にアメリカとともに備えることに目的はあるとの印象を受ける。
しかし、その実態は、日米の協力で中国の脅威に備えるなどという生易しいものではないことが分かる。結論から言えば、日本政府の行政や防衛力のシステムにトランプ政権のハイテク企業が入り込み、高市政権の日本がトランプのアメリカのデジタル植民地になってしまう方向なのである。
この新しい植民地支配の核となるのが、「パランティア・テクノロジーズ」である。これは普通の企業ではない。
「パランティア」はトランプ政権を実質的にコントロールしているテック・ライトの中心人物、ピーター・ティールが設立に関与した会社である。ちなみにテック・ライトは、アメリカを全体主義のファシズム的な管理国家にすることを目的にしている。
「パランティア」は裏グーグルとも呼ばれ、高度なAIを駆使してSNSやあらゆる形態のビッグデータを探索することで、指定された個人の情報と行動をすべて追跡することのできるシステムを開発している。さらに、個人の行動を5年先まで予測できる「プレディカティブ・アルゴリズム」というシステムさえ持つといわれている。
「パレンティア・テクノロジーズ」の開発したシステムはテロリストのトラッキングには理想的だとし、CIA、NSA、FBI、そしてモサドなどの情報機関や、各地の警察がクライアントになっている。
そして、特徴的なことは、「パレンティア・テクノロジーズ」が開発したシステムは、ブロックチェーンを基礎にして収集したデータを管理し、統合していることである。彼らのシステムは、まさにブロックチェーンを基礎にして可能となったのだ。
この「パランティア」が中心となってトランプ政権が進めているのが、米国民の管理システムだ。まずトランプ政権は、「パランティア」のシステムを明示的に利用して、全てのアメリカ人のデータベースを作成している。それはメインコアデータベースと呼ばれるものを通じて、隠密な方法で進められている。個人の納税、健康、銀行預金、経済活動、そして犯罪歴を含むすべての詳細な個人データを収集し、米国民一人一人のデータベースを構築している。
さらに、ソーシャルメディアのアルゴリズムを開発し、犯罪を犯す可能性のある個人を特定し、実際に行動する前に予測してマークするシステムを導入している。匿名のオンライン掲示板を標的にする方針だ。
これは基本的に、AIを用いて米国のソーシャルメディア投稿を大量にスキャンし、彼らが「神経精神医学的暴力の早期警告サイン」と呼ぶものを特定するものだ。そのアルゴリズムによってマークされた人々は、裁判所の命令による医師の診察を受けさせられたり、自宅軟禁下に置かれたり、あらゆる可能性が検討されている。
●「パランティア」が日本政府のシステムを管理
そして、先に紹介した「米日技術繁栄協定(TPD)」で日本政府の行政や防衛のシステムの管理と構築を全面的に手掛けることになっているのは、この「パランティア」なのである。ここでは、どのように「パランティア」が関与することになるのか、詳しく見ることにする。
「パランティア」は、米軍や同盟国の意思決定を支援するデータ分析・AIプラットフォーム、「Palantir Foundry, AIP」を提供している。この枠組みにおいて、防衛産業分野のソフトウェア・コア技術として位置付けられている。そしてこの協定で「パランティア」は、日本の官民と強固な連携を築き、日本が米国と共同管理するAIターゲティングシステム、「戦闘意思決定支援」の構築を推進している。
「戦闘意思決定支援」は、衛星画像、ドローン映像、無線傍受、部隊の配置情報といった膨大なデータをリアルタイムで解析し、指揮官に対して「次に取るべき最適な行動」を具体的に提案する仕組みだ。
まず、バラバラなソース(衛星、センサー、諜報活動)からのデータを統合し、戦場全体の「共通状況図」を作成する。次に、敵部隊の異常な集結をAIが自動検知し、即座にアラートを出す。これは、自然言語で「この地域にいる敵の戦力は?」「攻撃に適したルートは?」といった質問に回答する。そして、AIが過去の戦術データや現在の兵站状況を照らし合わせ、戦況を要約・分析する。そして、具体的な攻撃・防御プランを複数提示するのだ。
「パランティア」のこのシステムの結果、自衛隊の「意思決定支援システム(AI-DSS)」は、衛星、ドローン、潜水艦からの膨大なセンサーデータを集約し、数秒で最適解を提示できるようになる。
しかし、そのアルゴリズムのブラックボックスは米国の「パランティア」が握っている。日本の将官がボタンを押す前に、AIがすでに「攻撃の妥当性」を判定しており、人間は事実上、AIの決定を確認するだけの「執行官」へと退化している。
そして、「パランティア」のこのシステムを使うと、日本周辺の微細な地形データ、電波情報、潜水艦の音響データも、リアルタイムで米国のクラウドへ吸い上げられる。日本は自前で情報を分析する能力を失い、米国のプラットフォームが提供する「加工済みの知見」をサブスクリプションとして購入し続けなければならなくなっている。
●自衛隊の自立性喪失と防衛産業の「下請け化」
「戦闘意思決定支援」のようなシステムが日本に導入されることはなにを意味するのだろうか? もちろん導入されるのは「戦闘意思決定支援」だけではない。「パランティア」をはじめとしたテック・ライト系の米企業はあらゆるタイプのシステムを日本の防衛省と自衛隊に提供し、自衛隊のシステム全体がこれに依存することになるはずだ。
高市政権は「防衛産業の強靭化」を掲げているが、しかしその実態は、日本の重工業メーカーを米国のテック・ライトの「ハードウェア製造部門」へと再編することである。ドローンや次期戦闘機の「脳(AI)」は米テック企業が提供し、日本の重工業メーカーはそのAIを載せるための「器」を作る下請け業者へと格下げされる。利益率の高いソフトウェアとデータ利権は米国へ流れ、日本側には低利益でリスクの高い製造工程だけが残される。
要するに、高市政権の防衛力整備計画の元で、日本の安全保障の要である防衛システムは、トランプ政権のアメリカによって完全に支配されるということだ。もはや自衛隊単独では機能しなくなっているのかもしれない。自衛隊の防衛システムの機能は、アメリカのテック・ライト系企業が提供するクラウドサービスに完全に依存した状態となる。アメリカにあるデータセンターが管理・運営するこのクラウドには、日本の防衛に必要なあらゆるデータが格納されている。
これは、まさに日本がアメリカのデジタル植民地となる状況だ。これまでも日本の国防はアメリカ頼みではあったものの、自衛隊はアメリカのシステムからは独立した軍隊としての体裁は保持していた。しかしながら、高市政権のもと日本の自衛隊は、アメリカのテック企業の提供するシステムなしではもはや機能しないような隷属状態におかれつつある。
●トランプ政権では同盟国という概念は存在しない
我々はこうした状況に向かっている。これは植民地のような状態であり、高市政権がもたらす新たなリスクであることは間違いない。
ところでいま日本では、あいかわらず日米同盟を強化することで中国の脅威に対抗するという論理で日本の安全保障が語られることが非常に多い。しかし、我々が認識しなければならないのは、トランプ政権にはもともと「同盟国」などという概念は、存在しないかもしれないということである。
アメリカとの一体化を要求しているカナダや、あからさまに領有を要求しているグリーンランド、また他方では勢力圏を定めてパートナーとして共存を目指す中国やロシアなどの扱いを見ても分かるように、トランプ政権には利益を収奪できる植民地か、ないしはパートナーとしての大国しか存在しないのだ。
この意味では高市政権の日本は、東アジアにおけるアメリカの明白な植民地なのだろう。この植民地的性格を意識することなく強化してしまうのが、高市政権のリスクなのである。
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●「ヤスの勉強会」第144回のご案内●
「ヤスの勉強会」の第144回を開催します。世界の激動はさらに激しくなっています。イラン攻撃は行われるのでしょうか? これが実施されると原油価格の急騰から世界経済は失速するかもしれません。もちろん日本も例外ではありません。いつものように、あらゆる情報源を使い、全力で予測します。
※録画ビデオの配信
コロナのパンデミックは収まっているが、やはり大人数での勉強会の開催には用心が必要だ。今月の勉強会も、ダウンロードして見ることのできる録画ビデオでの配信となる。ご了承いただきたい。
【主な内容】
・日本のこれから、いったいどうなるのか?
・中間選挙を無期限延期するトランプの計画
・イラン攻撃と世界経済の危機
・したたかに動く中国、目が離せない
・変化するBRICSの国際秩序
・アメリカで進むさらなる全体主義化
・我々の意識の進化
など。
よろしかったらぜひご参加ください。
日時:3月28日、土曜日の夜までにビデオを配信
料金:4000円
懇親会:リアル飲み会とZOOMで開催
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社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』
(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』
(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
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