中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2021.06.20(第81回)
OKシードマークをご紹介します。

 OKシードプロジェクトとは、遺伝子組み換えやゲノム編集をしていない種子と種苗、それを元に育てた作物、それを元に作った加工品などに、OKシードマークを付けてもらうプロジェクトです。

 なぜこうする必要が生じたかといえば、表示が義務付けられていないゲノム編集の食品が出回り始めたからです。
 ご存じない方のために、ゲノム編集の説明を簡単にしますと、魚や、家畜には、筋肉をつける遺伝子と抑制する遺伝子があるのですが、その抑制する方の遺伝子を取り除き、身体を通常より大きく太らせるという技術です。タイやフグなど養殖魚はすでにおととしから市場に表示されずに出回り始めています。
 この5月からは、ゲノム編集トマトが出始めました。ギャバが多くて高血圧やイライラに効果的な機能性食品だといううたい文句です。このトマトは遺伝子の中のギャバを抑制する遺伝子を取り除いたのです。しかも、それを出しているサナテックシード社は、ゲノム編集トマトの苗を3000株も無償で配布したのです。この配布を喜んで受けた家庭菜園の方がいらしたというのも事実です。

 ところが、トマトを栽培している農家で、ゲノム編集は作りたくないと思っている農家にとっては脅威です。いつゲノム編集トマトの花粉をハチが媒介して交雑するかわからないからです。また種子の世界においては、今まで遺伝子組み換えやゲノム編集という概念がないため、これから有機農家は、どの種子がゲノム編集なのか、どの種子を買ったらいいのかがわからないのです。そうなると収穫物も分からなくなり流通業者もお店の人も判別がつきません。そうなると消費者もどの食品が安全なのか判断できません。

 ということで、遺伝子組み換えやゲノム編集でない種子や種苗、作物や加工品につけるOKシードマークを作ったのです。(漫画をみてね)


 さて、ゲノム編集技術は今礼賛されています。科学の進歩を喜ばないなんて、野蛮人と言われるかもしれません。ノーベル賞もとりました。NHKスペシャルでもやりました。
 その中でやっていたのですが、中国ではデザイナーズベイビーと言って、容姿端麗、頭脳明晰、その上病気にも強い人間を作ることを目的に研究されています。お金持ちは思ったとおりの子孫を残すことが出来るようになるようです。
 また、医学の世界では、すでにブタに人間の遺伝子を編集し、豚の体内で人間の心臓や腎臓や肝臓を作らせ、移植するということが可能だそうです。これで臓器が足らないということがなくなり、臓器提供者を待つこともなく、必要な時に移植手術ができるようです。科学の勝利なのでしょうか?

 私はNHKスペシャルを見ているうちに気分が悪くなりました。特に動物たちに人間の臓器製造をさせるという、道具として利用している点は、とても日本人の自然観、生命観とは相入れないものだと思います。ゲノム編集の魚や家畜も、健康的に生きる自由を奪われ、肉の製造機にされている点で、とても受け入れられる感覚ではありません。動物愛護は西洋から始まったと思いますが、日本人の感覚とは全く違う愛し方なのでしょう。

 話が脱線しましたが、このゲノム編集食品を表示せずに解禁するという事態に、ささやかながら、OKシードマークで防衛することにしました。現在の日本にはゲノム編集の種子は全く出回っていません。今年の秋にゲノム編集トマトの種子が出来るまでは。ですから、今日本中のトマトの種子、トマト、トマトジュース、その他の加工品にこのOKシードマークを付けたいのです。ことは急ぎます。

 トマトの次はジャガイモだそうです。ジャガイモは芽に毒があるので、ゲノム編集でその毒を取り除いたそうです。農家の話では、獣害がひどい山間地でも、ジャガイモだけはやられないそうです。ジャガイモは芽の毒で身を守っているからです。その毒を取り除いたとして、ジャガイモは生命ですからどんな変化をするかわかりません。これって一つ一つは小さな編集かも知れませんが、生態系や自然界はどう出てくるでしょうね。どこまでも生命をもてあそぶ恐れを知らない人間とは、袂を分かちたいです。

 皆さんOKシードマークはニコニコしながらお役に立つデザインになっていて、私はとても気に入っています。かわいがってくださいね。


21/12

国が推進するゲノム編集の進捗状況とOKシードプロジェクトの中間報告

21/11

私の炭生活

21/10

導かれて炭に目覚めた私の炭遍歴

21/09

秋にこそ楽しむマコモの浄化力

21/08

今は亡き稲葉光國先生の功績に感謝して

21/07

映画「食の安全を守る人々」

21/06

OKシードマークをご紹介します。

21/05

有機給食を支える技術と政策、育てる心

21/04

野菜の栄養価をみえる化したら…有機給食が実現する

21/03

ゲノム編集トマトの苗分け始まってしまいます!

21/02

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21/01

有機給食と有機農業の素晴らしい関係が始まりました


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オーガニック給食は有機JASの食材である必要はない

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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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