中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2021.07.20(第82回)
映画「食の安全を守る人々」

 今日は、このタイミングによく作ってくださったなと感心し、感謝している映画をご紹介します。
 それは、「食の安全を守る人々」という映画です。プロデューサーは、元農林大臣の山田正彦さんで、「僕の最後の命を懸けた仕事です」とのこと。みんな80歳のその言葉の重さと緊急性を感じて、この映画製作に協力しました。
 監督は、原村政樹さん、ドキュメンタリーを多数手がける方です。今回は山田先生がインタヴュアーとして、世界で食の安全を守るために戦っている方たちから、大事なことを聞き出すところを、余すところなく写し撮ってくれています。内容は現実なので恐ろしいのですが、山田先生が優しい気持ちで相手に寄り添い、肝心なことを真っすぐと聞き出してくださっているので、恐ろしさより温かさを感じます。

 作ろうと思った直接のきっかけは、2018年8月、アメリカで校庭の管理をしていたジョンソンさんが、モンサント社のラウンドアップという除草剤を撒いていて癌になったと訴えていた裁判に勝ち、2億9千万ドルの賠償金が決定した時です。このニュースは世界中に流れてトップ記事になったのに対し、日本のマスコミはほとんど伝えなかったのです。唯一ネットのヤフーニュースは伝えていました。ほとんどの日本人は新聞やテレビが伝えないことを言っても信用してくれません。それで、本当のニュースを集めて日本人に見せなければと思ったそうです。

 このように、世界の流れと日本が違っているということが、日本に住んでいると分かりにくく、本当のことを伝えるメディアが必要になってきます。この映画は、ジョンソンさんをはじめ、アメリカのママたちにNONGMOとオーガニックの食で子どもたちのアレルギーや自閉症を改善することを拡げたゼンハニーカットさん、ジョンソンさんの裁判を勝利に導いた弁護士ロバート・ケネディー・ジュニア、遺伝子組み換えの餌をラットの寿命と2年間与える実験で除草剤ラウンドアップの毒性を証明したフランスのジル=エリック・セラリーニ教授、日本の脳神経学の第一認者、木村―黒田純子先生、長野県上田市こども園の園長で農薬の空中散布による子どもへの影響に危機感を感じている田口操さん、これらの農薬や化学物質過敏症の根本治療を目指している高橋クリニックの高橋嗣明院長、ゲノム編集のマダイを開発した京都大学の研究者、木下政人博士、遺伝子組み換えの問題点を論文にしEUに影響を与えたイグナチオ・チャペラ教授、放射能汚染や遺伝子組み換え汚染を長年研究している河田昌東先生、日本の農業政策を正そうと長年研究している東京大学の鈴木宜弘教授、遺伝子組み換えの研究をやめ北海道でも育つバナナの研究開発で知られる田中節三氏、アメリカモンタナ州で3000ヘクタールの農場ですべてオーガニックの小麦を作っている有機農家、ロイ・ベンジャミンさん、日本の有機稲作技術の指導者、民間稲作研究所の稲葉光國先生、その他にも韓国の有機給食の学校や、有機米を出している農場を取材したり、いすみ市の有機米給食の様子も取材してくれています。

 私たちがとても会うことも話すこともできない食の安全を守っている世界の方たちのお話は戦いのすごさを感じさせてくれます。家族が歩いていたら上空から農薬をかけられたり、研究で発見した事実を取り下げられたり、日本では流されないニュースがたくさんあったり。なぜだろうと昔は不思議に思っていたのですが、答えは簡単。それは今が目に見えないけれど、戦争中だからです。農薬や化学肥料は生物兵器から作ったもの、人工香料も人工甘味料も農薬と同じ原料、ですから、弾に当たって死ぬ戦争とは違って、いつ弾に当たったのかわからないけれど、いつの間にか子どもは発達障害が増え、おとなは2人に一人はがんになり、3人に一人は死ぬというところまで戦火は広がっているのです。

 今が戦争中だと気が付くのは大変難しいです。しかしたった1か月、3か月、1年でも弾を避けた食生活をすれば、健康を取り戻す子どもやおとなはたくさんいるはず。「食物は沈黙の兵器である」とは、私の師匠若杉友子さんの言葉です。まず一番守らなければならないのは、子どもの脳です。子どもの脳関門は未熟なので、農薬の残留基準がどんなに低くても入り込んでしまうことがあるそうです。脳に入ったものを取り除くことは今の医学ではほとんどできません。できるだけ早く、日本でも食の安全を守らなければなりません。

 それには、有機給食の実現が最も有効だと思います。現に有機給食が実現している韓国やいすみ市があることから、みんながその方向を向けばできることが分かります。私たちが後に続けるように道をつけてくださっている方たちのお話は、とても参考になります。

 最後に、前回予告した、OKシードプロジェクトが始まりました。ゲノム編集でない種子や種苗、それで育てた作物、その原料で作った加工品などに付けていただき、消費者はそれを目安に買い物をするというプロジェクトです。ゲノム編集だけでなく、2023年に表示できなくなる遺伝子組換えでない食品にもつけることが出来ます。このOKシードマークを拡げれば、日本の食の安全をかなり守ることが出来ます。

 そこで皆さんにお願いです。農家、生産者の方、流通の方であれば、OKシードプロジェクトの申請をしてください。消費者の方は、サポーターの登録をお願いします。それからみんなボランティアで急遽立ち上げたため、皆様からのご寄付で活動を続ける予定です。今年の目標は500万円です。どうぞよろしくお願いいたします。
https://okseed.jp/


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導かれて炭に目覚めた私の炭遍歴

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「食は命」を知っている料理人

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生きものいっぱいの田んぼへ行こう!(メダカのがっこう紹介)

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もし逆表示でなかったら農産物はどういう表示になるのか
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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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