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このページでは、舩井幸雄が(2014年1月19日の舩井幸雄の他界後は舩井勝仁が)いま一番皆様に知ってほしい情報をタイムリーにお伝えしていきます。
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2008年5月12日
日本国増税倒産

 私と親しい財政学者に森木亮さんがいます。彼への連絡は、FAX03−3227−0108で、できますので、不明な点は彼のジャマをしない範囲で直接お聞きください。ともかく森木さんは、財政史家としては、日本一の権威者です。
彼が今年4月30日刊で、光文社から『日本国増税倒産』という本を出しました。定価は952円(税抜き)です。
 ぜひ買ってお読みください。
 日本の政治家や官僚の多くが、いかにおそまつかがよく分ります。
 この本の第一章は『増税国家ニッポン』ですが、そのはじめの方に「日本株一人負けの真因は税制無策にあった!」と題する小文があります。よく分る文章ですので、とりあえずこれだけをつぎに紹介します。

日本株一人負けの真因は税制無策にあった!

 国家運営の根幹backboneは税金taxにある。国家にとって収入revenue とは税金なのだから、これは当然である。しかし、この税金を取るシステム(税制)が現実status quo に即していないと、国家は衰退し、国民生活も衰退する。
 では、現行の日本の税制はどうであろうか?
 私の見るところでは、まったく現実とズレている。しかも、さまざまな点で不公平unfairness がまかりとおり、いびつな社会構造social structure を招く原因にもなっている。さらに、世界各国の税制ともズレているため、日本が国際競争力global competitiveness を失う結果も招いている。
 しかし、最大の問題は、これらすべてのことに政府・官僚たちが気づいておらず、財政難financial difficultyから単に増税tax hike しようとしていることである。目本国の最高頭脳集団the best and the brightest とされる財務省が「金がないから国民からもっと取ろう」というのだから、あきれはてるしかない。増税は最後の手段last measure である。それは、考えることを放棄したという意味である。                        
 現在、日本国の税制tax system の方向をほぼ決定する立場にあるのが、「与党税制協議会」である。ここで、現在の与党ruling party である自民党LDPと公明党New Komeito が年末にとりまとめる税制改正大綱が、次年度の税制の動きを決定する。       
 自民・公明の両党は、この協議会で、それぞれの税制調査会が各省庁や業界団体から出た改正要望requests を聞いたことを持ち寄り、協議のうえで大綱を決定make a decision する。これが、事実上の政府税制調査会の結論となり、この大綱broad policyが政府の進める税制の基本方針となる。          
 では、2007年12月の税制大綱には、どんな内容が盛り込まれたのか?           
 結論から言えば、まったく新鮮味がなく、やる気も展望も欠くものだった。別の言い方をすれば、完全な「先送り文書」であった。というのは、それまで議論を重ねてきた消費税consumption tax、所得税income tax 、法人税corporate tax の見直しrevision をすべて見送ったからである。                    
 税制は、冒頭に記したように国家運営の根幹foundation だから、それに手をつけることによって、旧来構造を変革reform し、経済economy に活力を与える役割を担っている。しかし、福田政権はこれを放棄したのである。
 2008年が明けてから、日本株は連日の暴落collapse をくり返し、大幅に株価が下がった。これは、アメリカ発のサブプライム危機crisis of subprime lending も大きく影響しているが、じつは日本の税制無策が招いた結果である。そうでなければ、一人負けの状況を説明できない。
 日本株だけが暴落するということは、日本市場、ひいては日本経済にまったく魅力がないことを意味している。現在、東証の株売買stock trading の担い手は外国人であり、彼らが世界のどの市場よりも先に日本市場を見限ったのである。
 その理由は、改革の停滞、というより後退regression である。それは、たとえば証券優遇税制を元に戻すとか、非居住者の金融取引課税を強化するとか、税制においてグローバル経済に反するようなことcounter to global economy を、与党税制協議会が平気で決めたからである。さらに、現在の世界各国は法人税や所得税を下げ、企業誘致attraction of enterprises の大競争をしている。国外からの投資foreign investment なくしては成長できない。しかし、税制協議会は、そんな世界情勢などは眼中になく、なにも決定しなかった。
 これでは、サブプライム問題などなくても、日本株は急落して当然なのである(転載ここまで)。


 ともかく、日本の税率(個人所得の最高税率は日本では国税40%、地方税10%で、計50%)ですが、これは主要国では、ベルギーとともに世界一であり、所得の最高税率は、ドイツが45%、フランス・イギリスが40%、アメリカが35%であるうえ、課税最低限額も先進国中、もっとも低いことなどが、本書を読めばだれでもはっきり分ります。すでに、日本は世界一の重税国家なのです。
 納税者を、もっと大事にしなければならない……ということとともに、「このままでは大変なことになる」と分る一冊です。
 ぜひこの本をお読みいただきたく、ここへ紹介しました。
                                              =以上=

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