
トップが語る、「いま、伝えたいこと」

「閑散相場に売りなし」という相場の格言があるそうです。年末年始を迎えて、株式市場はもはやお休みモードに入っています。アメリカの金融関係者は、儲かっている時はバタバタ仕事をしません。私がニューヨークにいた時に、一番相場のことを教えてくれたアメリカ人のトレーダーはいつも午前中に仕事を終えて、午後は私たち研修生をからかって遊んでいるように見えました。それなのに、私のいた銀行で一番の運用成績を上げていました。
コツを聞いたところ、午前中、できれば午前10時ぐらいまでに目標の金額を勝ってしまって、後は1日遊んでいるのが相場で勝つポイントだというのです。最初に勝ってしまってその後は相場の成り行きをリラックスして眺めていると相場のマクロな動きが見えてくる。午後になってもアタフタしている奴はみんなやられて大変になってしまっていて大きな視点が持てなくなっている。だから、とにかく早く勝ってしまうのがコツなんだという話です。
今年の相場を振り返るとトランプ大統領のおかげで、よく分からないながらもアメリカの株式市場は、史上最高値をドンドン更新する相場が続いています。だから十分に勝っている人が多いので、こんな時はみんな早々に休暇を取って仕事をしません。相場がいい時は、サンクスギビング(感謝祭:11月最後の木曜日)からクリスマスまで金融関係者は働かなくなりますし、普段でも金曜日は午前中で仕事を切り上げてゴルフに行ってしまう人がたくさんいるのが、ニューヨークで仕事ができる人の特性でした。
今年最後の投稿になりました。国内外の旅を通じて、たくさんの方々と触れ合えた有意義な1年になりました。心から感謝申し上げます。近年は、特に外部のイベントやセミナーに登壇依頼をいただくことが多く、普段のおつきあいの感謝の気持ちを込めて、お引き受けしていますが、話せる内容の引き出しが増え、とても自分の勉強にもなります。
お話しする場所はホテルの大宴会場から少人数の勉強会まで様々ですが、今年最も心に残ったのは、ある小旅行のバスの道中、車内はほとんど女性という空間でのことでした。「舩井さん、子どもの将来について悩んでいます。これだけ生き方の選択肢が増え、行きたいところに行けて、私たちのときには考えられないほど体験の幅も広がりました。その分、将来の描き方に迷ってしまうことも多いと思います。親としてどんな手助けができるのか、その距離感に戸惑うばかりです」とおっしゃっていました。
私は、次元についてお話ししました。「多次元を自由に行き来する時代に生まれた今の子どもたちは、柔軟な生き方を感覚的に知っています。私たちの世代は一本の『線』で人生を生きないといけないと思い、親や、前時代からの価値観の呪縛もあったでしょう。その分思いこみにとらわれ、良心の呵責や罪悪感に悩まされることもありました。しかし、これからの子どもたちは人生を自由な『点』でデザインしていけると思います。自分のやりたいことを直感的に自由に試してみて、何か違和感を覚えたら、手放し、また次にやりたいことに果敢に挑戦する。
『潰しが利かない』のような言葉はこれからの時代当てはまらなくなるでしょう。もし本当にご飯が食べられなくなったら、行政でも民間のセーフティネットでも利用すればいいのです。大切なことは、その後自分がリカバリーできたら、社会にちゃんと還元していくこと。それさえできれば、何度沈み込んで、何度立ち上がろうと怖いものはありません。お母さんが教えられるのはそのマインドですかね。」
実はこの「点と線」(松本清張先生の名作の名前と偶然一致していますね)の考え方には出典があります。ミン・ゾン著「アリババ 世界最強のスマートビジネス」(文芸春秋)です。中国のITビジネスはアリババのようなプラットフォーマーが面を提供しているのに対して、そこで成功するカリスマ的なウェブセレブ達が線のビジネスを展開し、それらの線の参加者たちに対してサポートで稼ぐたくましい点の企業家が存在する。
アメリカのGAFAとアリババの最大の違いは、GAFAのビジネスモデルは勝者独り勝ちでGAFAがすべてを持って行ってしまうものですが、アリババは中国国内での共存共栄を考えている。だから、特にウェブセレブ(アリババのEC(通販)で大変な支持を受けているカリスマ的な店舗を運営している人)たちが、アリババが提供する面をうまく使って線で桁違いに儲けることを奨励しているのです。
いまは、感性を活かして点で生きている若者たちの中から線が見えて成功し、やがて面が見えて大成功する人たちが出現してくるのだと感じています。育児相談などあまりされる機会もなく、その場で感覚的に出た答えですが、ビジネスの知識も本物はいろいろな面に応用できるのだと改めて感じました。私自身も感性を大切にしたいと思っています。
来年は社会に、自分に、どのような変化、変容があるのでしょうか。皆さんと一緒に『今ここ』を楽しみながら、味わいながら、タフに乗り切っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
=以上=

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2019.12.09:【いま 一番知らせたいこと 、言いたいこと】パズルの法則 (※舩井勝仁執筆)
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ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』

