ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2019.08.01(第66回)
日本は韓国ロビーに敗北する?

 すでに8月になった。思ってもみない日韓の対立が表面化し、これからどうなるのか先がまったく見えない状況だ。今回は日本ではまったく知られていないアメリカの韓国ロビーについて解説する。
 7月1日、おもむろに日本政府は、スマホのディスプレイや半導体などIT機器の製造に必要な原材料の韓国向け輸出規制を強化すると発表し、4日から実行した。
 テレビやスマホのディスプレイに使う「フッ化ポリイミド」や半導体ウェハーに回路パターンを転写するときに薄い膜として塗布する「レジスト」、そして半導体製造過程においてエッチングガスとして使われる「フッ化水素」などの3品目が規制対象だ。

 これまでこれらの製品は「包括的輸出許可」の対象で、個別的輸出許可を必要としなかった。だがこれから外し、韓国に上記品目を輸出するためには、1件ずつ審査と許可を得ることは必要になる。審査には90日以上もかかると見られている。場合によっては、その審査期間を長引かせることも可能だ。
 日本政府は、このような処置を適用した理由として、あくまでも「安全保障を目的とした適切な輸出管理の一環だ」と説明し、元徴用工問題とは関係がないと言っている。だが、元徴用工問題に関する韓国政府の対応への報復措置である可能性は非常に高いと見られている。
 日本製のこれら3品目の世界シェア率は70%から90%もある。「サムスン電子」や「SKハイニックス」など韓国のIT大手製造業にとっては大きな打撃になる。

●韓国の反応
 このような日本政府の処置に対して、韓国では怒りが爆発している。韓国のソーシャルメディアでは「ボイコットジャパン」のハッシュタグが拡散し、日本製品の不買や日本への旅行中止を呼びかけている。
 一方、韓国政府も反発を強めている。15日、ムン・ジェイン大統領は、日本の輸出規制措置に対して「結局、日本経済により大きな被害が及ぶことを警告する」という立場を明らかにし、日本の輸出規制措置に対して3回目の警告を行った。
 またこれから韓国は、輸出規制の対象となっている3品目は、新しい供給先の開拓や国内生産ができる体制を構築するなどして、日本への依存から早期に脱却することを目指すとしている。ムン・ジェイン大統領は、「結局、日本経済に大きな被害が及ぶだろうと警告しておく」と警告し、今回の日本政府の処置がブーメランのように日本に影響を与えるとした。

●海外メディアの反応
 このような日本政府の輸出規制は海外の主要メディアでもそれなりに大きく取り上げている。「サムスン電子」の半導体の世界シェア率は「インテル」を抜き、15.5%と首位である。「アップル」のようなアメリカの最大手のIT企業も「サムスン電子」の供給する半導体に依存している。特に半導体製造には不可欠な「フッ化水素」の輸出規制は、半導体供給のグローバルなサプライチェーン全体を寸断するとして懸念が強まっている。
 海外の主要メディアの記事で日本の主張を詳しく報じ、日本か韓国の一方の側を支持するものはほとんどない。事実だけを淡々と紹介し、サプライチェーン寸断の影響を警告するものがほとんどだ。いわば「困ったことになった」というトーンで、日韓両国に早期の解決を促す記事が主流だ。

●韓国の外交手腕とその成果
 一方日本では、「日韓請求権協定」を一方的に無視し、解決済みの徴用工問題を蒸し返したムン・ジェイン政権への苛立ちから、日本政府の規制を「してやったり」とした論調が目立つ。安倍首相と良好な関係にあるトランプ政権は最終的には日本を支持し、今回の日本の規制に理解を示すはずだとする論調も多い。
 しかしながら、韓国の外交的手腕を見ると、この問題で日本が敗北し、結局規制を取り下げることになる可能性を示す情報も多い。それは、アメリカ政界における強力な韓国ロビーの存在である。
すでに日本では忘れられているようだが、過去に韓国がアメリカの政治に影響を与え、韓国が望む方向に政策を転換させた例は多い。

 一般には知られていないが、1994年に当時のクリントン政権は、従軍慰安婦と戦前生体実験部隊として知られる「731部隊」に関連した日本人の入国を禁止する措置を取った。当時、米司法省は第一次として関連者16人をリストアップしたが、いまはこの数は35人に増えている。
 そして2007年には、慰安婦問題で日本を非難する決議が、アメリカ下院で採択された。それを提案したのは、当時のマイク・ホンダ議員とエド・ロイス議員だった。ロイス議員は2017年には、慰安婦決議から10周年を祝う韓国寄りの学者らも集まった会合で、「独島(竹島)は韓国のものだ」と述べた。2019年1月までロイス議員は、米政権の外交政策に強い影響力を持つアメリカ下院外交委員会の委員長だった。

 また2013年のカリフォルニア州、ロサンゼルス郡、グレンデールにおける慰安婦像など、カリフォルニア、ニュージャージー、ニューヨークなど全米10カ所に上る公共の場所で慰安婦像や碑文の設置に成功している。ちなみにグレンデール郡で日系人を中心に慰安婦像撤去を提訴したが、2017年には米最高裁判所の判決で敗訴が確定した。
 さらに2014年にはバージニア州公立学校で、駐米日本大使館が「日本海」表記の現状維持を要望したにもかかわらず、州の下院議会では「日本海」の表記と並んで韓国が呼称の変更を求めている「東海」を併記する法案を、賛成81、反対15の圧倒的な差で可決した。現在使用されている教科書にはこのように併記されている。米政府は「日本海」の標記を改めないとしているものの、在米韓国人の多い地域では併記の動きが進みつつある。

 2017年には、カリフォルニア州の公立高校で使われる「歴史・社会科学」の教育カリキュラムに「日本軍慰安婦」の記述が追加された。慰安婦を「姓奴隷」であると明記し、以下のような記述している。
 「慰安婦全体の数の推定は様々だが、多くのものは数十万人の女性が日本軍占領期間中、こうした施設に無理やりに入れられたと指摘している」
 このような、アメリカ政府、ならびに州政府や地方政府が韓国の望む方向の政策を実施する例は枚挙にいとまがない。
さらに韓国は、経済問題でもアメリカに対する外交手腕を発揮している。
 2018年3月、トランプ政権は鉄鋼およびアルミニウムの輸入制限措置を、日本をはじめ7カ国に適用する方針を発表した。政府は日本を対象から除外するように働きかけたが実現しなかった。一方韓国は、カナダ、メキシコ、オーストラリア、EUなど7カ国に先駆けていち早く適用除外の対象となった。これは韓国の外交手腕の成果だと見られている。

●韓国のアメリカロビー
 このように、韓国のアメリカに対する外交手腕にはあなどれないものがある。そしてその背後に存在するのは、アメリカの強力な韓国ロビーである。ちなみにロビー活動とは、望む政策を実現するために議員や議会、そして省庁に働きかけを行うことだ。最近発表された監視団体、「責任ある政治センター(Center for Responsive Politics、CRP)」の報告書によると、トランプ政権が誕生した17年1月以降、アメリカでロビー活動を行った133の国と地域のなかで、韓国が費やした金額は約78億200万円で最多であることが明かになったとしている。

 2017年、韓国政府はアメリカでのロビー活動に57億4500万円を費やし、さらに18年7月末までに約2億4400万円を費やした。

 韓国の非政府組織がアメリカのロビー活動に費やした金額は、2017年が約11億3000万円、18年7月までで6億8300万円だった。また、2017年には、「韓国国民銀行」が7億1200万円、「韓国貿易協会」が1億3600万円、政府外郭団体の「韓国対外経済政策研究院」が1億2900万円、「韓国文化財財団」が7600万円、「韓国中小企業振興公団」が5900万円を支出している。
 また、資金監視団体の「オープンシークレット・ドットオルグ」によると、2018年の合計では官民合わせて31億621万円を支出している。これは政府の12億450万円、「対外経済政策研究院」を中心とした民間の19億576万円の合計である。
 2017年から18年にかけては日本の支出も大きく、ロビー活動費では世界第2位につけているものの、やはり首位の韓国にはかなわない。25%程度、韓国の支出が日本を上回っている。

●福音派の宗教ネットワーク
 このように、アメリカに対する韓国のロビー攻勢は激しい。資金的な支援を受けているアメリカの政治家や団体、組織は多い。ましてや、人口数では日系人を40万人も上回る在米韓国人のコミュニティーが存在しており、全米各地のロビー活動の展開では中心的な役割を果たしている。
 そして、日本ではほとんど知られていないようだが、韓国のこうしたロビー活動を一層強力なものにしているのが、福音派の宗教ネットワークの存在だ。福音派、個人的な苦しみや問題の発生を原罪の現れとして理解し、問題から解放されるためには罪を悔い改める「改心」の必要性を認識しているプロテスタントに働きかけ、強力な説教によって瞬時に改心させることを特徴にしている。これはアメリカに特有なキリスト教の形態である。
 このような福音派は教団ではなく、全米各地の個別の教会を中心にした運動だ。しかしその勢力は巨大で、全米で8000万人の信者がいるとされる。米政界への影響力も非常に大きく、マイク・ペンス副大統領やテッド・クルーズ上院議員をはじめ、共和党の最大勢力である「キリスト教保守派」を形成している。福音派の81%がトランプに投票しており、トランプ政権の最大の支持基盤のひとつになっている。無視できない存在だ。

●ヨイド福音教会と政治のネットワーク
 実は、韓国はキリスト教徒の多い国だ。人口の約30%がキリスト教徒だ。そしてカトリックはそのうちの10%から11%程度だから、残りの19%から20%はプロテスタントだ。なかでもアメリカ由来の福音派の信者は非常に多い。

 韓国で福音派は大きな勢力となっているのは、アメリカの福音派教会が20世紀初頭から韓国の布教を熱心に展開したからだ。日本統治時代には福音派教会は、抗日運動の拠点にもなり、韓国国民の結集の場になった。
 さらに朝鮮戦争後は、北朝鮮にいた相当数の福音派も含めたプロテスタントの牧師が韓国に亡命して拠点を築いた。それらの教会は、北朝鮮と共産主義への非難を展開する拠点になった。また韓国で民主化要求運動が高まった1970年代から80年代には、福音派を含むプロテスタントの教会が民主化要求運動の拠点であった。
 このように韓国には、アメリカから入ってきた福音派がしっかりと根付いているのである。そして、そうした福音派のなかでも最大の教会が「ヨイド福音教会」である。ここは、83万人の信者を擁する世界最大規模の福音派教会だ。
 一方、在米韓国人におけるキリスト教徒の割合を見ると、本国よりも多いのが分かる。71%の在米韓国人がキリスト教徒であり、そのうち70%が福音派である。
 こうした宗教的ネットワークが築く人間関係の政治における影響はなかなか見えにくい。なぜなら、それらは個人を中心としたネットワークとして発展する傾向が強いからだ。だが、同じ教団の信者であり、同じ教義を信奉する人々の関係は非常に強いものがあるとみて間違いないだろう。いっときの利害の打算を越えた宗教的使命感による団結も十分に可能だ。

 ましてや、副大統領も信者であり、「キリスト教保守」と呼ばれる福音派の影響力が大きいトランプ政権下の共和党である。両国の福音派同士の強力なネットワークが存在し、日本の対韓国輸出規制の問題では、韓国の望む方向にアメリカの外交政策が変更される可能性は十分にあると見ておいたほうがよい。

●日本が方針の転換を迫られる可能性
 一方日本には、こうした米政界に食い込むことのできる宗教的ネットワークは存在しない。日本はキリスト教国ではないし、ましてや日本国内の福音派の信者は非常に少ない。日本は基本的には仏教国である。米下院の仏教系の議員の割合は0.4%に過ぎない。これは、88.2%のキリスト教系議員の割合とは大きな違いだ。

 このように見ると、韓国は米政界へのロビー活動の巨額の費用を支出しているだけではなく、利害を越えた宗教的ネットワークを利用して、米政界に影響力を行使できる立場にいる。これまで韓国は慰安婦問題や「東海」の呼称問題、そして関税適用除外処置などで大きな成果をあげてきたが、その背景にはこのような宗教的ネットワークの存在があったことが予想できる。ということでは、今回の日本にはよる対韓国輸出規制問題では、しばらくすると日本に方針転換を強く迫る圧力がトランプ政権からある可能性も否定できない。
 日本で参院選が終わり、おそらく日米の貿易交渉が本格化する見込みだ。このタイミングで、トランプ政権は圧力をかけてくるかもしれない。これからどう展開するのか、要注意だ。

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●「ヤスの勉強会」第65回のご案内●

 「ヤスの勉強会」の第65回を開催します。日韓の対立は予想を超えて激しくなり、先行きがまったく見えない状況です。この対立の果てにはなにがあるのでしょうか? オリンピックを一年後に控え、日本では次第に大国主義のナショナリズムが高まる兆しが出てきています。2019年は激動の2020年の前兆となる年になるでしょう。激動の2020年代を含め、なにが起こるか全力で予想します。

【主な内容】
・日韓対立の果て
・姿を表した極右思想の普遍的な内容
・グローバリストの指導者が消えるヨーロッパ
・イラン攻撃の可能性は?
・オリンピック以後の日本の状況
・最先端の脳テクノロジーと意識の変化


 よろしかったらぜひご参加ください。

日時:8月31日、土曜日
時間:1時半から4時半前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)


 いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。

記載必要事項
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参加人数
懇親会の参加の有無
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高島康司先生3回シリーズ「私達の未来」第2回(8/9)

第2回 2019年8月9日(金)
 <8月度テーマ>
・世界情勢から地球外生物までを含めた8月までの最新情勢
・だんだん形を現す新しい国際秩序
・我々はどのような未来を望んでいるのか?

第3回 2019年9月13日(金)
 <9月度テーマ>
・9月までの最新情勢
・2020年代にどう備えるか?
・我々の内面にある本当の力をどうやって呼び覚ますのか?


受  付 18:15〜18:30
  講  演 18:30〜20:30
質疑応答 20:30〜20:45

参加費:にんげんクラブ会員 6,000円(各回)
     一般の方 7,000円(各回)

会 場:船井本社 大会議室
東京都港区芝 4-5-10
ユニゾ芝四丁目ビル8階
◆JR田町駅三田口より徒歩6分
◆都営三田線・浅草線 三田駅A9出口より徒歩3分
※10階建の茶色のビルです。

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
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★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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