中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2023.01.20(第99回)
1/18日本の有機農業技術大集合で感じたこと、わかったこと

 今回の第10回 田の草フォーラム特別編は、日本の有機農業技術の5大代表格を集めたものでしたが、かなり専門的なものだったにもかかわらず、農家や自治体農林課の方や、JAの方、地方自治体の議員さんたち、有機農業の団体、認証団体、だけでなく、オーガニック給食を希望する多くの市民の参加がありました。会場120名ほど、オンライン500名ほどの参加があり、その関心の高さは数年前には考えられないほどです。

 オーガニック給食を進めている自治体では、サテライトにて視聴してくださいました。佐渡からは9名が遠方にもかかわらず、リアル参加されました。10/26全国オーガニック給食フォーラムの有機の風が実際に動き始めた感があります。翌日の日本農業新聞にも載りました。時代のニーズに応えられていることをうれしく思います。

 さて、7時間半にも及ぶ6つの講演と、農水からの説明、有機米給食宣言は、8つの動画に編集されて、アーカイブ配信されていますので、関心のある方は、メダカのがっこうオンラインショップから、申し込めます。資料集の内容もデータでお送りしていますが、印刷が容易でないので、リアルな資料集も500円という実費で販売しています。

 ですので、今回は、会の報告に紙面を費やすことなく、私が感動したことを3つお伝えしたいと思います。

 1つ目は、日本の有機農業の考え方と欧米のオーガニックとの違いです。
 日本の有機農業面積が0.6%で、世界ランキングで109位だそうですが、その中身と哲学が欧米とは全く違うということに気が付きました。
 欧米でのオーガニックとは、農薬化学肥料を使わない栽培方法なのですが、日本のように、草や虫や菌の働きに注目し味方につける考え方はしません。日本の有機農業技術が世界トップレベルの技術であることの根底に、この自然観があることがうかがえます。つまり宇宙の法則に従っている本物の技術だということです。最後に控えている真打登場の有機農業技術ということです。

 2つ目は、有機農産物の優位性を証明できるのは、日本だけだということです。
 欧米でも、有機農作物の優位性をデータで測ろうといろいろな試みがされたそうですが、残念ながら、証明することが出来ませんでした。それに挑戦したのが、BLOF理論の小祝さんです。彼が毎年開催している栄養価コンテストでは、4つのチャートがあり、糖度、ビタミンC、抗酸化力、硝酸イオン、をグラフ化し、慣行農法の農作物との違いを際立たせています。美味しくて栄養がありガンや老化を防ぎ、身体を傷つける硝酸イオンがほとんどない作物が、人間の体にとって一番良いものであることを、見える化してくれています。これが証明できたのは世界の中で日本だけということです。

 3つ目は、各技術の連係プレーと指導者の方たちの和です。
 いすみ市の例ですが、まず太田市長がコウノトリの里にしたいと無農薬の稲作を始めた1年目、草だらけの田んぼになり、挫折しかけた時に、民間稲作研究所の稲葉さんが、田植えから稲刈りまで1回も田んぼに入ることなく多収穫のお米作りができる技術を指導し、1年目から草対策に成功し3年間の技術指導を受けました。その後、もう少し収穫を上げたいと思い土壌分析から地元の有機物でたい肥作りをするBLOF理論の小祝さんの指導を3年間受けました。その後、それでも田んぼによる差があることから、自然農法センターの岩石さんが田んぼごとの分析をして対処するという指導に入っています。このように、いすみ市は、今回登場願った有機農業技術の指導者の方々に連係プレーをお願いして、有機稲作を始めた農家をフォローしているのです。

 朝10時に始まったフォーラムが、17時半のパネルディスカッションを迎えた時にはみなの疲労がピーク達していましたが、前に並ぶ講師の先生方の和やかな協力体制が披露され、お互いに「後出しジャンケンの方が良い」などという冗談も飛び交い、一気に疲れが癒されました。

 最後に「有機米給食宣言」が読み上げられると、会場から拍手が湧き、満場一致で採択されました。後ほど、パソコンの前でも拍手をしたとのメールもいただきました。

 哲学的にも、技術的にも、和の心においても、素晴らしい方たちに、日本の有機農業はけん引されているのだということがわかったうれしい1日でした。

アーカイブ配信のご案内→ https://npomedaka.thebase.in/items/70725841
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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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