中村陽子の都会にいても自給自足生活
このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

お米不足の日本で今起こっているおかしなこと4つ
@「計算上は日本のお米は足らないはずはないが、流通の段階で買い占めや出し渋りなどの問題があるようなので、備蓄米を放出する」と言い、農林水産省は今年も減反を行っています。
Aアメリカのスーパーマーケットで日本のお米が大量に日本よりも安く売られているというアメリカ在住の邦人からの情報があります。
B日本のスーパーマーケットでアメリカのお米が日本米よりも安く売られている実態があります。輸入米の量は過去最高になっています。
Cお米価格が高騰しているので、学校給食では米飯給食の日が減り、パンの日が増えた自治体も出ました。
原因は何?
きっかけは気候変動による夏の高温障害による昨年の不作と、南海トラフの地震予告によるお米の買いだめかも知れません。そのほかにインバウンドによるお米の需給増加も原因だと言われています。流通とJAを犯人にしている農水省官僚OBの方もいますが、違うと思います。お米だけは自給できていた日本で、この程度のことで市場が米不足になったのには、根本的な原因があったはずです。
根本的な原因はどこにあったのでしょうか?
それは、農業従事者と農地と生産量の大幅な減少です。
農業従事者の人数は2005年224万人でしたが、2023年には116万人になり、18年で108万人減少しています。平均年齢は72歳です。また、農地は1960年に609万ヘクタールでしたが、2024年には427万ヘクタールになり、60余年で182万ヘクタール減少しています。先進国の中で、お米の生産が1960年から4割減っているのは日本だけです。
また、9割以上の農家に後継ぎがいません。どうしてかというと、農業で食べていけないから、子どもに継がせるわけにはいかないと思うからです。3月30日に「令和の百姓一揆」があり、お米農家の時給は10円だという計算がありましたが、以前私も計算してみた時には200円ほどでした。それでも自分の代までは先祖から受け継いだ農地を守って米作りをしようと体力の限界まで頑張っている農家によって、私たちのお米は生産されているのです。
2001年にメダカのがっこうを始め、田んぼの生きもの調査をしていて気が付いたことは、田んぼの生きものたちは農薬を使わず水を張るだけですぐ復活するということ、絶滅危惧種はトキやメダカではなく、作業をしてくれる農家だということでした。農家の収入アップが何より必要なので、お米1俵60sを最低でも37000円以上の適正価格で買うことにしました。これに賛同してくれた会員の皆様のおかげ様で、農家の所得はアップし、後継者もほぼ全員決まっています。消費行動で農家や田んぼの自然環境が守れるということです。
小規模家族農業の衰退を放置し大規模スマート農業を推進する勢力
「農家を守れ!農家に欧米並みの所得補償を!」とコールしながら歩いた「令和の百姓一揆」のあと、「農家にだけなぜ所得補償をするのか、苦しいのはサラリーマンも同じだ」などと、かなり批判的なコメントがありました。その後「プレジデント」などでも、時給10円なら、なんで農業を続けているのか? 小規模農業だと収入は低いが、規模を拡大していくに従い、収入は多くなっていく計算を示し、大規模スマート農業への移行を促した記事が出ました。土から離れて損得と効率でしか判断しないビジネスマンには、先祖からの土地を荒らしては申し訳ないと思って、田畑を守っている農家の気持ちはわからないのでしょう。とにかく今の主流は、小規模農業の否定と、大規模スマート農業の推進の論調です。法律も企業が農業に参入できるように整えられているので、外国の企業もどんどん入って来ています。そして大規模農業が目指すものは輸出の拡大です。同時に輸入も拡大します。おかしいと思いますが、こうするとすべてに企業が入り利益が出るのです。わが祖国日本危うし、営々と田んぼを築いてきた先祖にも、それを引き渡せない次世代に申し訳が立ちません。
小規模家族農業を見直して守っていきましょう!
実は世界の食料生産の80%は小規模家族農業が担っており世界の人たちを養っているのです。それでは小規模家族農業の良い点を挙げてみましょう。
@国土の自然環境を復活できる
田んぼの生きものたちが暮らせる田んぼ環境は、小規模家族農業の方たちが、草や虫をよく観察しながら水の管理や草刈りをしなければ守れません。大規模スマート農業だと、ドローンによる農薬散布、RNA農薬による殺虫、ゲノム編集などを駆使した農業になってしまいます。小規模農業と言っても、単に具体的な面積だけを比較しているわけではありません。メダカのがっこう関係の有機農家たちは、周辺の農家がやめていった田んぼがどんどん集まり、20,30,40,50…100ヘクタールとどんどん広くなっています。ある農家に、どうして断らないで増やし続けるのか尋ねたことがあるのですが、「ほかの人に任せると農薬や化学肥料を使ってしまうから、自分が引き受けることにした」という答えが返ってきました。ですからどんなに農地が広くなっても、生きものを観察する目があるので、自然環境を守りながらお米作りを続けています。
A気候変動に強い
最近では気候変動が激しく、農作物ができない年が頻繁に起きています。こんな時、一番大きな被害を受けるのが、大規模農業です。FAO(国際連合食糧農業機関)では、2008年の気候変動による大凶作の年に、大規模農業の弱点に気が付き、小規模家族農業こそが世界の食料を担うことができるとし、小規模家族農業の10年を開始しました。
私たちはどうしたらいいのかについて、少し厳しいですが、今私が思っていることをいくつか書きます。
@メダカのがっこうのような考え方で、国土の自然環境を取り戻してくれる農家のお米と農作物を適正価格で買い支える市民と農家を繋げるNPO法人や会社が、日本にあと100くらいあれば、状況は良くなると思いますが、すぐにはかなわない場合、出来る立場の出来るだけ多くの日本人が、買い物は投票という武器を持つということです。今の日本は戦争の真っ直中だという認識が必要です。私の野草と黒焼の師匠の若杉友子さんは、「食べ物は沈黙の兵器」だと言っていました。そうだと気付けば、価格に関係なく、次世代に残したいものだけにお金を使うことです。
Aそれと、気を付けてほしいことは、日本にとって大事な働きをしている人や会社やJAなどを貶める発言をする人たちに騙されないことです。マスコミが報道することと報道しないことがあることは皆さんご存じだと思いますが、マスコミに叩かれているものはたぶん日本にとって大事な存在ですので、注意してください。オーガニック給食の活動をしていて感動したのですが、JA常陸のように、有機農業技術に自信がついたら、JAほど頼りになる存在はいません。確かに有機農業に抵抗しているJAはまだまだありますが、それはできないと思っているからで、出来るという自信をつけていただくまで、お願いしたり励ましたりするしか解決する方法はありません。今JAを潰せばさらに世界的な企業に日本が乗っ取られるだけです。
以上が今回のお米騒動で私が考えたことです。ここで皆さんにお願いがあります。
それはお米調査に協力していただきたいということです。題して「大人の自由研究…どんなお米を食べているの?」です。協力範囲が広がれば、かなり実態がわかると思います。
ご自分が買って食べているお米の品種はご存じだと思いますが、子どもが学校給食で食べているお米、家族で外食する時のレストランのお米、気に入っている居酒屋や食堂のお米、家族がお世話になっている病院や施設のお米、など身内が食べているお米の品種を調べてみてくださいませんか? お店の場合は、できれば、調査するといったかたい感じではなく、「このお米美味しいですね、なんていう品種ですか?」と会話しながら聞いてくださると感じがいいと思います。
調査は第一期を5月31日(土)までとし、ここで集中して全国のデータを集めたいと思います。6月2日(月)の結果発表を受けて、第1期のがんばり具合を参考に、手薄だったところを調べていきたいと思います。よろしくお願いします。
https://forms.gle/fNppuuJA9BD6vNvg7

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首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。
1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。
長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/