“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2020.11
真のリスクとは(コロナ危機は終了)

「90%を超えて95%に近い並外れて高い有効性だ!ワクチン開発の急進展により、パンデミックが大幅に長期化することはない!」
 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、今回のコロナ危機も時間の問題で収束していくとの見方を示しました。
 日本では寒くなってきたことや、Go Toキャンペーンで人の移動が活発化したことにより、ここにきてコロナ感染者が急増、11月26日、東京都の小池知事は飲食店に対して営業時間を午後10時までに短縮するように要請しました。

●ワクチンにまつわる様々な見解
 一方、世界的にコロナ感染は爆発的に増え続けています。世界を見渡すと、日本の状況は極めて抑制された状況です。米国での感染者は1260万人を超え、インドでの感染者も920万人を超えてきています。全世界では感染者が6005万人を超えました。死者は約141万人です。
 かような状況をみれば、この冬はどうなるのか? と不安になる気持ちもわかります。しかし報道によれば、米国でのワクチンの接種開始は、最も早い場合12月11日、まさに2週間後に始まるということです。しかもこのワクチンは尋常な効き目ではありません。通常ワクチンの効き目は70%もあればいい方と言われているのに、今回開発されたワクチンは臨床段階において95%という驚異の有効性をみせたのです。仮にワクチンの接種が本格的に開始されれば、単純に想像できますが、コロナの感染拡大は予想を超えてあっという間に収束してしまうでしょう。ところが日本人は悲観的な観測が大好き、世の中では先行き不透明との暗い見方ばかりが広がっているのです。曰く「ワクチンは迅速に行き渡らない」「来年のオリンピックなど開けるわけがない」「ワクチンを運ぶにはマイナス70度を維持しなければならず、そのようなことは容易にできることではない」など様々なことが言われています。
 連日マスコミはじめ、コロナ感染のニュースばかり報道されている状態ですので、日本人の多くが悲観的な見方に傾くのもやむを得ないかもしれません。株式市場などもワクチンへの期待から世界中で劇的に上昇しているのですが、世間一般の見方では「ワクチンへの期待が盛り上がりすぎる、株価の高騰は危うい」との見方が強いのです。これら一連の悲観論は今回のワクチン開発の事実、並びに現在起こりつつある技術革新の意味など、今回進んでいる事態の画期的な意味と、逆に新しい技術開発に伴う恐るべき真のリスクを十分理解していないように思えます。
 今回開発されたワクチンとコロナ危機収束への道、そしてこのワクチンが開発されたことをきっかけに起こるだろう、本当の意味でのリスクを考えて見たいと思います。

 今回のワクチンの特徴は、その全てが人工的に作られているということです。
 従来ですとワクチン開発は極めて時間がかかり、数々の臨床を繰り返して10年近くかけて有効性と安全性を確認して、使用許可に至るというケースが当たり前でした。ですから今回のファイザーやモデルナ、そしてアストロゼネカのワクチンのように、1年も経たないうちに使用許可となることなどあり得なかったわけです。それだけ今回は世界的なコロナ危機ですから、緊急の開発が要請されていました。
 そこで今回新しい技術、<メッセンジャー(m)RNA>という画期的な技術が使われたのです。このmRNAは遺伝子に基づく技術を利用しています。従来ですとワクチン開発は生きたウイルスや細胞を培養して作り上げてきたわけです。
 ところが今回のワクチンの製造過程では全てが人工的に作り上げたものなのです。これが画期的で、人工的に作り上げてきたので開発速度が爆発的に早いのです。
 この遺伝子の技術を使っているところ、そしてそれを容易に作り出してきたところが人類のバイオテクノロジー分野における劇的な進化を示しています。
 前述したファウチ所長によれば「mRNAは迅速、かつ柔軟なワクチンのプラットフォームになる潜在性を秘めている」とのことで、今後、「遺伝子配列から始まり、mRNAは数週間で生産できる可能性がある」というわけです。
 実際、今回ファイザーにしてもモデルナにしても、ワクチン開発は驚くべき速さで成し遂げられ、その臨床実験に時間がかかっているだけに過ぎません。
 仮に今回の緊急使用許可で、その有効性が広く認識される結果となれば、この新しい遺伝子を使った技術はワクチンだけでなく、ガンや心臓病、その他の感染症など様々な疾患に対して応用されることとなっていくでしょう。これこそが今回のワクチン開発成功の画期的な意義なのです。

 これは大げさでなく人類史を変える可能性を秘めたものです。というのも、人工的に作られた遺伝子の技術開発によって人間そのものを変えることが可能となるからです。

 2018年11月、香港から衝撃のニュースが飛び込んできました。遺伝子を改変する技術を使って受精卵を操作してルルとナナという双子の女の子が誕生した、というニュースです。
 この時、これを行った中国の南方科技大学の賀教授は、ゲノム編集技術を使って受精卵の遺伝子を改変し、エイズにかかりづらい体質の双子を誕生させたと発表したのです。まさに遺伝子を使った技術を応用すれば、人間そのものを劇的に変えてしまうわけです。この場合、新しくできた人間は今まで生きてきた人間と違う種の人間かもしれません。
 ですからこの話に世界は驚愕、神の領域を侵した、と非難が殺到したわけです。この賀教授の記者会見では、記者から厳しい質問が相次ぎました。「倫理的にどう考えているのか」「なぜかような研究を秘密裏に行ったのか」など賀教授の行為を称賛する意見はほぼ皆無で非難の集中となったのです。
 この時、賀教授は「それなら皆さんにお聞きします。もしあなたの子供や親、そして親戚や愛する人など、そのような大切な方が病気になって治らないとしたらどうするのですか。どうしても治してあげたいと思うのではないですか!」と居直って発言したのです。そしてこの時、明確に答えられる人はいませんでした。
 本当に自分の身内が不治の病であれば、何としても治したいと思うのは当然ですし、誰でもそのためにはあらゆる医学的な技術を使いたいと思うでしょう。
 このような病の時、いわゆる非常時、緊急時には普段では許可されない技術が緊急事態ということで許可されるケースがあるわけです。今回使われたmRNAという技術も遺伝子を使った技術であり、実際は使用するハードルはかなり高かったのです。ところが、コロナの世界的なまん延という現実をみて、この新しい遺伝子を使った技術の使用が緊急に許可され、使用が急がれ、今回の早期の臨床試験、並びに早期の緊急許可となっていく流れが生じたのです。要するに、コロナの波が新しい技術に道を開かせたわけです。
 結果、この技術は有効性95%という驚くべき成果を出しました。普通、ワクチンはそれほど効きません。インフルエンザワクチンのことを考えてみてください。おそらく有効性は70%程度がいいところで、現在のインフルエンザワクチンでは完璧にインフルエンザを抑えることなどできません。ところが今回のファイザー、モデルナの作り出したワクチンは有効性95%ですから、ほぼ100%に近いわけです。
 新しい技術でこれだけの有効性を示すのは驚異的としかいいようがないのです。いわば水面下の研究からバイオテクノジーの技術は驚くべき進化を遂げていて、遺伝子の操作や治療を使うことで、今後人類は、様々な疫病や体質改善において新しい治療法を見出した可能性が高いわけです。
 こうなると人類は必然的に変わっていきます。この遺伝子の技術は当然のことながら、今後、多くの分野で試されていくこととなるでしょう。最初の動機は病気を治すためという大義名分があるのですが、いずれ、肥満体質を治したい、とか、もっと進んでいくと、優秀な子供を作りたい、とか容姿のいい子供も産みたい、とかあらゆる人間の欲求を満たすような様々な技術が生まれてくることでしょう。このようなことを実行していけば、人間は今までの人間とは違った種になっていくでしょう。

 1億年前の人間と現在の人間ではおそらく生物学的には大きな差はないでしょう。ところがこの遺伝子技術がさらに大きく発展していって、あらゆる分野に応用されるようになれば、人間そのものがバイオテクノロジーの力で全く違った種に生まれ変わる可能性が高いわけです。今回のコロナの波で、ワクチンの早期完成が求められ、その結果として遺伝子を使った技術によって新しい治療法が確立しつつある段階です。これはかように人類史という観点からみれば画期的なことです。人間そのものがバイオテクノロジーの力で変わっていくわけです。こうなっていくと変わる速度は速いです。かような恐るべき劇的な変化こそが、今回のコロナの波でワクチンという形で実現されたということが最も重要な、かつ恐るべきことと思います。人類、人間自体がバイオテクノロジーの力で本質的に変わっていくわけです。
 かような流れを拒否する人も多いと思います。「そんな人工でつくられたワクチンはとても怖く接種したくない」「そのような遺伝子の技術に触れたくない」と感じる人が多数かもしれません。しかしそうはいかないでしょう。おそらくワクチンを打った人はコロナの波から逃れられる種となっていくでしょう。そしてこれからも地球温暖化の流れの加速などから、今まで発生していなかった様々な疫病がわれわれの目の前の現れてくるに違いありません。そのたびに遺伝子を使った今回の治療法が適用され、ワクチンを接種した人たちは疫病の災いから逃れることができるでしょう。ところが「そんな技術は怖くて使いたくない」と主張する自然派の人たちは、容易に疫病に感染して健康を害するか、下手をすれば死に至るかもしれません。
 現在でも話題になっているのは格差の問題です。ワクチンが出来ても、欧米諸国や日本などの先進国ではワクチンを接種できるが、アフリカなどの発展途上国ではワクチン接種ができないという問題も起こってくるでしょう。その場合、先進国と発展途上国との格差が更に劇的に広がっていくでしょう。これと同じで、ワクチンが遺伝子の技術なので、使いたくないと拒否する人たちは発展途上国の人々のように置いてきぼりになるかもしれません。要は現在の世界は激しい変動の最中になって、気候変動や今回のコロナ騒ぎをみても明らかなように、まさに人類全体が大きな岐路に立っているわけです。そこでは私の考えでは、新しい波に乗れない人たちは置いていかれると思います。まさにわれわれは人類史の目撃者となって、この激しい劇的な体験を実践としてリアルに体験していく種となるのではないでしょうか。ですから今回のコロナの波を振り返ると、一番重要なことは、かような遺伝子を使った治療法が確立されて、「人間を内側から変える扉が開かれた」ということのように思えます。コロナの波は予想以上に早くワクチンの広がりと共に消え去るでしょう。オリンピックも綺麗に大々的に開催されるでしょう。しかしながらコロナの波から人類が発明した技術が今後ますます発展して、われわれ人類そのものを根底から変えていくでしょう。これこそが今回のコロナの波で起こる最も重要、かつ恐ろしい変化です。人間そのものがバイオテクノロジーの力で劇的に変わっていく、この技術によって人間各々が生物学的な格差が生じてくるわけです。現在、われわれの住む世界ではあらゆる意味で全てのことで、急激、かつ重大な変化が起きつつあります。そのような中、環境に適応すべきと思います。迷わず早急に新しいワクチンを接種すべきでしょう。「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのではなく、唯一生き残るのは変化できる者である」ダーウィン

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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