中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2022.01.20(第88回)
有機給食へのはじめの一歩

 子どもは宝物です。良い食べ物に出会うと、子どもに食べさせたいと思います。すばらしいものに出会うと、子どもに見せたいと思います。
 万葉の昔から、山上憶良が「しろがねも くがねもたまも なにせむに まされるたから こにしかめやも」と歌っています。
 日本人は、子どもをとても慈しみ大切に育ててきました。教育にも熱心で、一番栄養のあるものを食べさせたいという心を持っています。
 この心は、日本人なら全員持っています。総理大臣や官僚から各県、市町村の首長さん、教育長さん、学校の先生や栄養士さん、調理師さん、配送の方、みんなです。だから有機給食は実現します。ゼロからのスタートではありません。うちの自治体はダメだという意識は捨ててください。この慈愛の心を思い出して、前面に出せば良いだけです。しかも首長さんたちは、地域の子どもたち全体の健やかな成長を願っています。有機給食は家庭の経済状況の差を超えて、子どもたち全員を元気にするという優れものです。

◯おとなたち自身が、「食べたものがわたしになる」ことを実感する
 この慈愛の心を思い出す映画を観ることをお勧めします。「いただきます みそをつくるこどもたち」です。農水省推薦映画ですので、市町村が後援してくれます。ママたちの上映会に、市長さんや議員さんにご挨拶をお願いして、すぐ帰らないで一緒に観ていただきましょう。この映像があれば、言葉は要りません。感動が伝わります。
 次に、この映画の次作「いただきますU発酵の楽園」の上映もお勧めします。有機農業の本質が分かる映画です。有機農業がただ農薬を使わないから安全だというものではなく、元気になるための本当の栄養をもっていることが分かります。これも農水省推薦映画ですので、市町村が後援してくれます。これも、ママたちと一緒に、自治体の方や議員さんに見ていただきましょう!
 コロナで会場が取れないとか、日程が合わないとかの障害がありますが、気長にめげずに、声をかけ続けることが大切です。何があっても元気な私がサポートしますので、相談してください。

◯給食が有機食材になると、良いことばかりが起こる、ことを知る
 有機給食を実現した自治体がすでにあります。農村地帯の自治体のいすみ市では、有機稲作技術をマスターする苦労と努力がありましたが、有機米100%給食が実現し、続いて8品目の有機野菜も一部から実現しています。すると、良いことが次々と起きました。
@この町に住みたいという方や、この町で子育てしたいという移住者が増えました。A市民が喜んで、市政への信頼が増えました。B有機農業面積が増え、生きものたちも増え、自然環境が良くなりました。B慣行農法の方たちも、有機農業に移行する方が出てきました。C有機農業を始める新規就農者が増えました。D給食の有機米が「いすみっこ」というブランドになり市民も食べるようになりました。

◯こんな町で子育てしたいという夢を持って、自治体に資料をもって相談に行く・・・相談する順番は、出来るだけ上の方から
 一度上映会などで繋がった議員さんなどのご縁で、市長さんや農林課の方、給食課長さんなどに会えたりします。できるだけ上の方からご挨拶に行くことをお勧めします。市役所の方には、市長さんや教育長さんに同じ資料をすでにお持ちしていることを伝えるとスムーズに聞いていただけます。
 自治体のHPで、給食への取り組みの実態をよく勉強し、努力している点などを知っておくことが大切です。アレルギー対応などで大変な栄養士さんのご苦労もよくわかります。給食関係のみなさまの努力に感謝する気持ちを伝えましょう!
 持っていく資料は、メダカのがっこうが用意しています。有機給食の活動をしているナチュラルスクールランチアクションの副島さんが作成したもの、ママエンジェルスが作成したものもあり、どれも優れていますので、ご自分でコンタクトしてみてください。ご紹介もします。資料は私と一緒に勉強してよく理解してから使ってください。

◯今すぐできない理由を理解する
 自治体はすぐに良い返事が出来ないのが普通です。できない理由はいろいろあります。まず有機農産物が足りないこと、有機農業は難しいという認識があること、JAへの配慮、有機農作物との価格差はどうするのか、有機野菜は小さかったり、泥が付いていたり、大きさが揃っていないので給食の納入基準に合わないこと、栄養士さんと調理師さんの負担がふえること、などなどなどです。これはどの自治体でもぶつかる問題です。
 だからと言って諦める必要はありません。既に実行している自治体が、どうやって乗り越えたかの前例があるので、それを参考例としてご紹介しましょう! そしてうちの自治体はダメだという気持ちは捨ててください。そして、一緒に「元気な子が育つまちづくり」をする応援団に立候補してください。

◯実行は、できるところから、1日から、1品目から、1品目の一部から でよい
 これも良い例があります。今治市では、有機栽培がしやすい野菜(玉ねぎ、人参、大根、ジャガイモなどの根菜類)は90%以上有機ですが、難しい野菜は、有機栽培が可能な旬の次期だけ入れたり、それも全部賄えない場合は、近隣の市町村、愛媛県などと範囲を広げて地産地消の方向性を実行しています。
出来たらみんなに知らせて喜ぶ 喜ぶ笑顔が次の一歩を生むのです。

◯画期的な勉強会のお知らせがあります
 3月17日に有機給食にしたい大人たちのフォーラムを開きます。
 題して「オーガニック給食!誰とつながる!! 関係者をやる気にさせる方法にズームイン」
 これは、主催が、全国有機農業推進協議会で、有機栽培の農家の団体がほぼ集合している協議会で、農水省につながっており、今回のフォーラムも農水省の後援が取れる予定です。

 今まで、有機農業は有機農業推進法が出来てからも全く進展せず、広がりませんでした。それが今年から2050年までに有機農業面積を25%にするという目標を国が掲げ、有機農作物の出口としての公共調達、有機給食が推進されています。今まで冷遇され、苦労されてきた有機農家の方たちが、大きく変われるときが来たのです。
 ですが、それが出来るのは、有機給食の活動をしているパパママと市民なのです。初めは食べる側、消費者サイドからの働きが必要です。お互いに全体像を把握して、動くことが良い結果になると思います。

 このフォーラムは、農家とママたちを繋げる初のフォーラムになります。詳しい内容と申込方法は、次回ご紹介します。

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オーガニック給食を支える有機農業技術大集合

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子どもを元気にする「生命尊重食」=有機給食をいまこそ文科省にお願いしましょう!

22/01

有機給食へのはじめの一歩


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JAに有機栽培の自信がつけば、最大の味方

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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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