中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2022.12.20(第98回)
オーガニック給食のオーガニックという言葉に込める意味

 「オーガニック」の和訳が「有機」だと言われているが、違う気がします。「有機」というのは、1971年に出てきた言葉で、農薬の危険性が分かってから、日本有機農業研究会の創始者のひとりの一楽照雄さんが漢文の「天地に機有り」という言葉から取ったものです。
 「機」とは天のからくり、宇宙の法則、という意味で、この法則を知らずに、草が生えれば除草剤、虫が出れば殺虫剤、肥料はチッソ・リン酸・カリの三要素だけを抽出した化学肥料に頼った農業をすれば、土も人間の健康も壊れてしまうことが分かりました。具体的なキッカケは1970年頃、母乳からBHCが検出されたことで農業界が猛反省をしたのです。

 この根本の有機の意味に立ち戻れば、有機農業は、有機肥料とは何の関係もありません。農水省の有機農業の定義に、有機堆肥を使う農業だとされているのは違います。有機肥料という言葉は、化学肥料に対する言葉であって、正しく使うことは否定しませんが、間違って使うと自然界のバランスを崩し、草や虫を大発生させてしまうからです。
 有機農業と自然農法と対立していません。有機農業が宇宙の法則にしたがう農業である限り、自然農法はその中に含まれます。有機農業は突き詰めていくと、その農地で太陽と植物と虫たちが生産した栄養やミネラルだけで充分持続可能は栽培出来て、限りなく自然農法に近づいていきます。
 江戸時代の農業書では、収穫が落ちてきた農地には、海水や海藻や貝化石などの、海のミネラルを入れるといいことが書かれています。これも自然界ではあり得ることなので、農業は所詮人為的なものである以上、許されると思います。

 「有機」に対して、「オーガニック」という言葉の語源は、内臓とか生命体、生きているものという意味があるようなので、日本ではこの言葉をうまく使って、オーガニック給食には広い意味を込めたらいいと思います。
 なぜかと言えば、オーガニック給食の実現には、総力戦で臨みたいからです。子どものために最良の食べものを与えたいという心があれば、それぞれの方法が違ってもいいと思うのです。何が子どもを元気にするのか、体験を整理しながら、それぞれの地域で進化させていったらいいと思います。
 人にもいろいろあって、風邪をひいても絶対に薬を飲まないで食養生で治す人もいれば、寒気がしたらすぐ葛根湯を飲む人もいます。

 今回1/18オーガニック給食を支える有機農業技術大集合を開催し、5つの有機農業技術の勉強をするのも、何も比較したり細かい違いを探し評価するためではありません。心を一つにして総力戦で臨むためです。有機の機、宇宙の法則を中心にして、様々な技術が生まれたのです。少々農法の知識をかじった市民がかき回さない様してほしいところです。

 有機認証という制度については、地産地消のオーガニック給食については必要なく、お互いが分かっている関係で、子どものために農作物を作る農家、その農家に感謝して食べる子どもがいれば、何の問題もありません。それがオーガニックな人間関係で地域が繋がっているということです。
 木更津市に、オーガニックなまちづくり条例がありますが、無農薬という言葉も有機という言葉も入っていません。ですが、実際に2026年までに有機米100%給食の実現に向かって着々と進んでいます。子どもたちや農家や田んぼの生きものたちに心が向いているというベクトルが大切なのです。

 給食センターは必ずしもオーガニック給食が出来ないわけではありませんが、地元の子どもたちや農家や業者への心がない場合、大規模給食センターが出来ることによって、食材は大手メーカーの加工品やカット野菜などに切り替わり、地元の農家や業者との関係が切られ、子どもたちを育む心もなくなり、餌と化し、オーガニックな人間関係が失われてしまうようです。
 やはり、オーガニック給食に相応しいのは、自校式の給食室です。子どもたちのおいしい顔を想像しながら作ってくれる調理師さん、午前中に流れてくる美味しい匂いにお腹を空かせ、調理師さんに感謝して食べる子どもたち、この関係を取り戻したいところです。
 オーガニックという言葉が、みんなを包み込み、命を育む世界へ向かえるよう、みんなで意識して使っていきましょう!オーガニックという言葉は、初めは妥協のように感じてもただ入れておくだけで、中身がだんだん良くなる力を持っています。

「オーガニック給食を支える有機農業技術大集合」のご案内
日時:2023年1月18日(水)10時〜18時15分
場所:参議院会館1階101会議室
費用:資料代500円
申込み:http://npomedaka.net/news/tanokusa10


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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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